2025年11月23日 10:00
事業計画書(3)
バックグラウンド
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
事業計画書を作るとき、市場規模や売上予測、収支計画といった数字に目が向きがちです。 しかし投資家などの相手に本当に理解してもらうために重要なのは、その裏側にある「背景」です。 なぜこの事業なのか、なぜ自分たちがやるのか、その理由を伝えるストーリーが欠かせません。
ここでいう背景とは経営者自身の経験やお客様の声、どのような課題に直面してきたのかといった「その事業にたどり着くまでの道のり」です。 ビジネスモデルだけを説明するよりも、どんな想いがあり、どのような過程を経て今の事業構想に至ったのかを伝えることで説得力が増し、相手の心にも届きやすくなります。 アイデアそのものなら思いつく人は世の中にたくさんいます。 大切なのは「なぜそのアイデアを、あなたが、今やるのか」をきちんと伝えることです。
経営理念から背景までを一つの流れとして伝えることで事業全体のストーリーが立ち上がってきます。 そこに具体的なエピソードが加わると投資家にとっても「なるほど」と腑に落ちやすくなりますし、これは対外的な説明だけでなく社内にとっても大きな意味を持ちます。 社員が事業の背景を理解していれば日々の判断や行動にも一貫性が生まれます。
事業計画書の「背景」は経営者の視点や問題意識、想いと覚悟を伝えるための重要なパートです。だからこそ経営理念と同じくらい時間をかけて言葉を磨き、丁寧に作り込むべきページだと考えます。