「失われた30年」という言葉はこの30年間の日本の経済活力の弱さを表した言葉であり各種のメディアでも使われ始めました、事実韓国や中国に始まった海外に開発・製造拠点を移すオフショアリングはその後タイ・ベトナム・フィリピン・マレーシア・インドネシア・ミャンマーと人件費が安くなる国へと矛先を移してきました。
ここに来てそれらの国から再度日本へ開発・製造拠点を戻すというリショアリングが盛んになってきています、そんな中シチズングループが50年ぶりとなる日本での新工場を新設したというニュースは驚きを隠せませんでした。
この背景には原油高などによる輸送コストの問題や管理方法の問題がありますが、最も重要視しているのが高品質を求められる精密部品は最終的に日本で製造するのが最も安くつくというという計算になったからです。
安かろう悪かろうでは世界にブランド力を示すことはできません、こういった傾向は今後益々各カテゴリの日本メーカーに現れてくると予想されます。
製造コストは単純に人件費だけで済む時代ではなくなったのです、品質が悪ければ歩留まり率の低下により最終的には1個当たりの価格は上がってしまいます、その点では日本の技術や製造能力は世界最高ですから歩留まり率も極めて高くなり1個当たりの単価を抑えることに繋がるのです。
そして輸送リスクは自然災害だけでありゼロに近い数値となります、これが堅実経営のバックボーンとなり企業活力が上昇するのです。
こうした「ものづくり大国日本」が復活すると何が起きるでしょうか、それは組み立て用の重機ではなくそれを精密コントロールする為のIT技術が重要になってくるのです。
現在の工場の製造ラインは旋盤などを除き全てが無人のロボットです、このロボットにはIT技術が不可欠となります。
そしてリモート制御にはIoT技術が不可欠であり、その信頼性の保障担保はブロックチェーンを活用するという流れが確実に起きてきます。
また無人ロボットに欠かせないのがAI技術です、これらの何れかの技術をコアにしてスタートアップを謀るのはITベンチャーの経営者として考えざるを得ないのではないでしょう、この段階で未来ビジョンを正確に読んでいる経営者ははたして何人いるでしょうか?
知らないうちに自分のパソコンを使われている、そんな事件が近年多発しています、その正体は計算能力の乗っ取りを仕組んだWebサイトです。
このサイトで記事や動画などのコンテンツを閲覧しようとアクセスすると知らないうちにパソコンのCPUやメモリがこのサイトに仕組まれたシステムの配下に置かれ勝手に使われてしまいます。
その主な用途の一つは暗号通貨によるマイニングです、マイニングとは暗号通貨を発掘する行為で多くは自身の用意したコンピュータにスマートマイニングなどのマイニングソフトをインストールして実現されます。
このオートマイニングWebサイトは他人のコンピューターを勝手に自身のマイニングの為に使ってしまおうという何とも身勝手なことをやっているのです、警視庁はこういった被害が続出しているとしてサイバー防犯プロジェクトによって摘発を進めています。
この行為は他者の資産を無料で使用するという行為であり犯罪行為です、コンピューターもさることながら電気代を相手に負担させているのですから、こういったサイトから守る手はないのでしょうか。
実は簡単に見破れるのです、そのサイトでコンテンツを開こうとした際に突然CPU負荷率が重くなりなかなかコンテンツが開いてくれないことで解ります。
多くは画面が固まり数分間待っても何も変化がありません、この間にCPUとメモリが使われてしまっているのです。
またコンテンツなどは何もなく、ただのテキストバナーに過ぎないという悪質なケースもあります、「有名なサイトでPR広告を出しているから安全」などという保障はどこにもありません、もしこのようにコンテンツが開かない場合はすぐ閉じるようにすればよいのです。
中には完全にCPUが乗っ取られて閉じることもできない場合もあります、こういった場合は強制的にリセットするしかないでしょう、そして二度とこのサイトには行かないようにすることです。
BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)は毎年のように未来に起こる経済や社会現象を予測しレポートを発表しています、近年では毎年のように「デジタルトランスフォーメーション元年となる」という事項がありますが既に本格化する兆候が見られます。
さてデジタルトランスフォーメーションとは何かというと、これまでの企業における業務フローの多くをデジタル化(IT化)しようとする企業内改革を指しています、これまでIT化には疎遠だった介護や訪問販売といった業種も早急にIT化に取り組まざるを得ないといった話しも聞かれるようになりました。
これからの経営コンサルタントはこれまでのアナログからデジタルへの移行、つまりIT化コンサルティングが主流となります、つまり経営コンサルティングのサービス自体がITコンサルティングに移行していくのです、これは世界中の経営コンサルタントはITスキルを身につけなくては生きていけないことを意味しています。
アメリカでは既に大手企業の多くは、これまでの経営・財務コンサルタントに加えCDO(チーフ・デジタル・オフィサー:最高デジタル責任者)を顧問として迎える現象が起こっています。
さてデジタルトランスフォーメーションには、大きく4つのカテゴリが存在しています。
一つは「顧客体験の進化」、これは簡単に言うとオウンドメディアなどを使った企業と顧客の価値観の共有を図ろうというものでVRなどを駆使した仮想体験などもこれに含まれると考えています。
次に「革新的商品・サービスの展開」でデジタルを駆使したこれまでに無かった商品やサービスを展開するというものです、例えば24時間何時でも受け付ける銀行や役所業務など人間からデジタルに置き換わることでこれまでで実現できなかったことが実現可能になってきます。
次が「ビジネスプロセスの革新」で流通や販売などにおいての入口業務から出口業務までをデジタル化しようというものです、企業内業務フローはこれによって一変し人間が行っていたことが自動化され事務職社員は大幅に減りオフィスは限りなくコンパクトになってきます。
最後に「デジタル変革・実行力の獲得」で、これはこれまでの3つのカテゴリについて実際に実現可能にする計画や取り組みをいいます。
さてここでデジタルトランフォーメーションと一方で独自の成長を遂げているブロックチェーンの関係とは如何なるものになるのでしょうか、包括的に言えばブロックチェーン技術はデジタルトランスフォーメーションの一部の分野であり、金融業や不動産業などに関してはデジタルトランスフォーメーションに組み込まざるを得ない取り組みになります。
大手4銀行は今後2年間で社員数を半減させるという人員計画を発表しました、この裏に有るのがデジタルトランスフォーメーションの実現であることに他なりません。
今後多くの仕組みがデジタル化されています、その破壊力と新たな秩序の快進撃は企業を二極分化するでしょう。
つまりデジタル社会に適応し生き残る企業と古い体質のまま淘汰されていく企業とに別れることになります、これは予測などではありません、すぐそこに迫っている未来における現実なのです。
経済学や経営学において時々「イノベーションジレンマ」という言葉が登場します、このイノベーションジレンマとは改革をしなくてはいけないと解っていてもできない状況を指します、多くは大企業がその状況に陥ります、そしてその明確な理由も存在しています。
一つは組織が大きすぎて末端まで浸透させるのに多くの時間とコストがかかってしまうからです、この予算をどうやってひねり出すか、余裕の無い中では経営者が解っていてもなかなか実行できない理由がここにあります。
もう一つは既存のサービスや業務フローが確立されており、これを壊すという行為が精神的に大きなストレスを生みます。
コンサルティングで多い質問が「既存のシステムと連動できるか?」、「既存のシステムからどうやって移行するのか?」が大半を占めます。
私は秩序が変わるとき一旦は生まれ変わる必要があると考える派です、「しばらく併用させ来たる時期に完全移行する」、これが最良の方法だと思います。
古い体質にしがみついていては新しいものが誕生し成長することは無いでしょう、よく例えられるのが「恐竜の絶滅」です。
地球環境に大変動が起きたとき恐竜は対応できずに絶滅しました、方や小動物は新たな環境に適応するように進化を遂げて生き延びました。
現在あらゆる業界で新たなる秩序が生まれようとしています、それがブロックチェーンやデジタルトランスフォーメーションであり、これらの先に在るAIと結びついた未来形のIT技術です。
これらの技術革命はこれまでにない大きな地殻変動となります、アナログから完全デジタル時代への移行、どの業界もこの地殻変動に進化を遂げなければ生きてはいけません。
今後あらゆる業界で新たなる秩序が生まれます、そしてその中で淘汰されていく企業が後を絶たないでしょう変化するときに変化する、これができなかった企業は当然のこと淘汰されていくのです。
そして台頭するのが新たなる勢力です、この数年間で全ての業界MAPが大きく塗り替わろうとしています。
産業用ブロックチェーンにおいては今年の後半から黎明期を脱し成長期へと移行しつつあるように感じます、特にアメリカとイギリスのブロックチェーン投資額はこの3年で倍以上と伸びてきています、対して日本の場合は現在イギリスの30分の1に過ぎません、これでは欧米のみならず中国やASEAN諸国にも追い越されていくのは時間の問題でしょう。
ここで疑問ですが日本のブロックチェーン投資が伸びない理由は何でしょうか、私個人的には日本の文化に依存しているのが要因だと考えています。
日本の古くからある文化とは「個人顧客を差別することなく大切にする」というところです、これは世界に類を見ないほど素晴らしい文化だとして誇れます。
例えば、日本の場合は未成年者どころか生まれたての子供であっても個人口座が簡単に作ることができます、この背景には大人になったときにそのままメインバンクとして使ってもらえるという先行投資をしているからです。
ところが先進諸国の多くは利用金額や利用頻度でサービス内容が変わるなどのサービス格差が少なからずあるのが当たり前のように存在します、まして発展途上国では国民の半数以上が銀行口座を持てない国など珍しいことではありません。
では何故この日本の古き良き平等文化がブロックチェーン推進の障壁になっているのでしょうか、その一つに顧客数の多さにあります、例えば銀行では1年以上使ってない口座でも勝手に解約することはできないという理由から人口以上の個人口座を管理しているという現状があります。
もう一つにどんな顧客に対しても同等のサービスをしていかなくてはならないという企業文化です、特に個人顧客を相手にする以上はサービス向上の意味でも対応する要員を大幅に減らすことができません、したがって現在の日本のブロックチェーン案件はバックオフィスシステムの構築に留まっているのです。
ここで結論を申し上げましょう、ブロックチェーン全盛期に急成長を遂げる事業は個人顧客から法人顧客に限定したサービスになると考えています。
つまりビジネスモデルはB2Bに特化することで勝算が生まれます、法人に限定すればオーバーな話しがリアル営業をしなくても事業推進が可能です、つまり徹底したデジタルマーケティングとデジタルサポートの実践です。
相談やコンサルティングなどは全てリモートで行えば良いのです、大手法人顧客を数社得るだけで事業が成り立ち利益率は大幅に上昇することになります。