2024年12月25日 07:00
ちょっと面白い実験をしてみました、その実験は人間は如何に目に見えているものに騙されているかというものです。
5.1Chのホームシアターシステムでは、映画やドラマのセリフやナレーションは真ん中に位置するセンタースピーカーが受け持っています。
しかし同時に左右のフロントスピーカーや斜め後ろのサラウンドスピーカーからもセリフやナレーションの音が若干ですが出ています。
センタースピーカーは左右のフロントスピーカーの音を足したモノラル音を出しているのですが、低音域がカットされている為に中高音域しか出ません、つまりこの原理でセリフやナレーションが左右のスピーカーの配置に関係なく強制的に中央から聞こえるようにしています。
また、サラウンドスピーカーには左右のフロントスピーカーの音の差異を出すようにしてあります、これによってボイスのエコー部分や音が左右に流れるような効果音が後ろ側から聞こえるのです。
ここでセンタースピーカーの音を意図的に出ないようにしておいて他者に聞いてもらいます、そして「セリフのボイスは何処から聞こえてくる?」と質問します。
ここで面白いのが10人中10人がセンタースピーカーを指すのです、音を出していないことを伝えても信じません、またセンタースピーカーのかなり近くまで行って耳をかざしてもセンタースピーカーから聞こえると言います。
そこで、フロントスピーカーの左右どちらか一つのスピーカーを切るとセンタースピーカーから音が鳴っていないのが解ってくれます。
これが、「オーディオはオカルト」と言われる所以なのです、そのスピーカーは鳴らしていなくても鳴っているかのように聞こえてしまうのです、ここには目で見えているものに囚われる心理的作用で脳が麻痺してしまっているのです。
ホームシアターシステムを自身であれこれと実験して愉しんでいる人はセンタースピーカーが鳴っていないことはすぐ解ります、それは中高音域の定位がフワフワと不安定に聴こえるからです。
ホームシアターは最低でも4つ以上の音源を使い一種の仮想音空間を作り出しているのですから、センタースピーカーの音を切ってもセンタースピーカーから音が出ているかのように聞こえるのはむしろそのシステムの調整が上手く行われている証拠でもあるのです。
面白いことに調整が極めて絶妙だとその部屋の何処に移動しても直接音と反射音の音量バランスが調い音の定位がずれないのです、ところがちょっとでもバランスが悪いと場所によって音量が変わったり聞こえる音が変わったりします。
ちなみにダミーのスピーカーを四方八方にたくさん置いて実際に鳴らすのは4つにして同じように聞いてもらうと、今度は全員が「どれが鳴っているのか解らない」か「全部鳴っている」と答えます、同じように目に見えているものに囚われているとこのように騙されてしまうのです。
実際にホームシアターシステムの音は、スピーカーから直接耳に入る以上の音量で直接音の合成や壁と天井に反射した反射音との合成された音が耳に入ってきています。
これは指向性マイクで測定するとすぐ解ります、調整が調っていると現実に部屋の全方位から音が聞こえてきているのです、周波数や左右の音のバランスによってあらゆるところから音がしているのです。
見えているものに騙されやすい人は、ホームシアターの音のトリックに見事に騙されてしまいます。
測定機無しで音のする方向を確かめたい時には先ずは目を瞑ることです、そして頭に全方位が見渡せるパノラマ空間を想像します、そこで頭を左右上下にゆっくり動かしながらじっくり聞けば大凡の方位が解ると思います。
まあ何事も自身でいろいろチャレンジして目と耳ではなく身体で音を感じる術を磨くことです、そして見事に調整されたホームシアターシステムでいろいろな音源を体験することです。