2024年8月10日 07:00
音質を自在に操るスゴ技マシンが昔から在ります、それはグラフィックイコライザー(略称:グライコ)という、マルチトーンコントローラーです。
70年代後半から85年ごろまではホームオーディオで大人気製品の一つだったグラフィックイコライザーの中でも、グレードが高く高級仕様で大ヒットしたのがビクターSEA-70(1980年発売、6万円)です。
オープンテープデッキでFMやレコードを好みの音質に変えて録音しては2年程大いに愉しんだものでした。
90年代に入ると、ライブハウスやスタジオで使用されるプロフェッショナル仕様のグラフィックイコライザーが多発しました。
今現在は、ホームオーディオカテゴリでは製品化されているものがなく、現存するのは全てがプロユースの製品ばかりです。
その意味ではピュアオーディオ用の本機はいまだに使用しているマニアもいるくらいです。
ビクター SEA-70
ミドルクラスのプリメインアンプが7万円という時代にマルチ周波数とはいえトーンコントロールだけで6万円、でもこれが当時は大いに役に立ったのです。
グラフィックイコライザーとは、本機の場合では12段階に左右別々に周波数を分別してトーンコントロールが可能で、特にレコードやFMチューナーからカセットテープやオープンテープに録音する際に劣化しやすい高音域などの補正に効果を発揮し、録音で音質が落ちるのを見事に補正してくれるトーンコントロールアンプです。
80年代後半になると録音性能やMDなどの高音質デジタルメディアの誕生で徐々に使われることが無くなったのですが、再生音質の向上用にいまだにニーズが高く中古でも発売当時の定価以上するものも少なくありません。
こういった製品は上手く使うと、どんなスピーカーでも詳細に音質向上が図れ、小型スピーカーが中型スピーカーに、中型スピーカーが大型スピーカーに化けてしまうのです。
ちなみに実験ではサラウンド用の70Hzまでしか下が伸びていない小型スピーカーが無理している感はあるものの40Hzくらいまでは下に伸びてきます。
またセンタースピーカーの中音域を上げてやるとリアルなボイスが飛び出してきます、使い方次第でいろいろと愉しめます。
更には、アンプやスピーカーの欠点や癖までも見事に補正してしまいます。
また、部屋による左右の反射の違いの補正なども行え、現在でも意外に各所で使えるのです。
現在、グラフィックイコライザーはプロ用しか出ておらず、ホームオーディオ用は皆無ですが、また再び脚光を浴びる日が来るかもしれません。
何といってもレコードやカセットデッキが復活して、当時の製品が大人気なのですから。
※ピュアオーディオ&ピュアホームシアター製品の評価記事はこちらのブログを参照下さい。