2024年7月 5日 07:00
私のオーディオの愉しみ方の一つに、私が本格的にオーディオ道楽にハマった70年後半から80年代後半のバブル経済終焉までの間に発売された古き良き時代のアンプとスピーカーでジャズを聴く、というのがあります。
当時のアンプはアナログ全盛期で、電源トランスに最終段増幅回路が音質を決めるというような時代です。
ミドルクラス以上のアンプは電源回路での大型トランスと大型電解コンデンサ2つでアンプ内の3分の2を占め、まるで鉄の塊のように重いものでした。
そのアンプから出力される音は、押し出すパワーが凄いというか骨太な音なのです。
そのアンプに繋ぐスピーカーは、やはり当時のウーハーに30Cm口径ユニットを使った大型3ウェイブックシェルフなどで、アンプの骨太な音をそのまま素直に空気振動に変えてくれるものです。
こういった往年のオーディオシステムで聞くジャズは、言葉で表現できる音ではなく身体で体感する音と言えます。
つまり、聴いたことのない人にはどうやっても伝わらないのです。
でも一度でも聴いてみれば、イマイマのオーディオの音とは次元がまったく違う音だとすぐ解ります。
良い子の音ではなく逞しい大人の音なのです、これを私は「愉音」と呼んでいます。
徹夜の連続は当たり前でバリバリ仕事をしていた元気絶頂だった頃の生活の原点に在った音、世も好景気に踊り日本中がお祭り騒ぎでした。
この時代に存在していた音、これを聴いていると懐かしいというよりも身体の中からエネルギーが湧きあがってくるのです。
デジタル全盛時代の現在のオーディオ界にあって、古き良き時代の音が再び求められています。
オーディオマニアの間では、こういったビンテージものが当時の発売価格以上の高価格で取引されています。
どんなに高額になっても、私は手持ちのビンテージアンプやスピーカーを1台でも手放すことは無いでしょう。
古き良き時代の音は、今のオーディオ製品ではどんなにお金を積んでも得られないのですから当然かもしれません。
また、当時のマニアはオーディオ製品を大事に使っていて状態が極めて良いのが特徴です。
オーバーホール専門の会社も在り、当時のアンプやスピーカーが新品同様に蘇らせることも可能です。
こういうウォンツを背景に、イマイマのデジタル時代に当時のような重厚なオールアナログアンプを出すメーカーは必ず現れてくると思います。
何故なら真空管アンプが復活し多くのメーカーが新規参入しているからです、ニーズがあれば供給する者が現れます、それが経済の原点なのです。
でも、きっと今の時代に最新の部品を使って同じようなものを作ろうとしたら、おそらく最低でも50万円以上にはなるでしょう。
それでも、往年の音を求めて飛ぶように売れると思うのです、何故なら当時のマニアは皆隠居して時間を持てあましているからです。
それまで、私も軍資金をガッツリ貯めながら首を長くして愉しみに待っていましょう。