工夫次第で大いに愉しめるミニホームシアターコンポ~オンキョー BASE-V20X
2024年4月20日 07:00
何の考えも無しに買ってしまう、私にとって珍しい事ではないのですが、そんな最初で最後のミニホームシアターコンポがこのセットです。
90年代にはミニコンポ、2000年以降はホームシアターのミニコンポの超お手軽セットが各社から発売されました。
本来であれば超エントリークラスのセットものは絶対に買わないのですが、酔った勢いで無意識のうちに買ってしまったのがオンキョーBASE-V20X(2004年発売、セット価格7.8万円)です。
オーディオ道楽封印の際に処分することを躊躇ったということは、何かに使うだろうとの思惑がきっとあったのでしょう。
オンキョー BASE-V20X
このBASE-V20Xは、サラウンドコントロールアンプ(小型AVプリアンプ)・6Chパワーアンプ付きサブウーハー・センタースピーカー・サラウンドスピーカー4セットがセットになっていてテレビ音声をソースにしてのホームシアターを手軽に始めるには最適なシステムコンポです。
購入当初は寝室のサブホームシアター用にしばらく使っていたのですが、ソースによって音場がふわふわして浮遊してしまい一向に音の定位が固定しません。
音質的にもいろいろ気になってしまってフロントスピーカーを変え、センタースピーカーを変え、サラウンドスピーカーを変え、半年後にはサラウンドコントロールアンプとサブウーハー以外は全てを交換するはめになってしまいました。
もう一つ、このセットを購入した動機にサラウンドコントロールアンプに興味を持ったからです。
つまり、システムの要のサラウンドコントロールアンプはスペック的に5.1Chの超安価なAVプリアンプという代物なのです。
また、FMチューナーが付いているのでFM放送もサラウンドで愉しむことができます。
サラウンドコントロールアンプ(小型AVプリアンプ)
取っておいた理由の一つに、全てのチャンネルにハイファイパワーアンプをそれぞれ接続すればハイファイ音で愉しめるホームシアターに簡単にグレードアップできると考えたからです。
先ず試したいのが、AVパワーアンプを繋いでみたいと思います。
サブウーハーには、全てのチャンネルのパワーアンプが搭載されており、コントロールアンプと専用の6Ch・RCA+コントロール信号がセットになった専用の幅広ケーブルで接続します。
そして、サブウーハーに全てのスピーカーを接続するという構成になっています。
スペックには示されていませんが、発売年数から考えるとおそらく1チップのD級アンプだと思います。
ただ、スピーカーは安価なシステムにありがちな後ろに単純に穴が空いていてケーブルが出ているだけというような安っぽい作りではなく、コネクタ使用で汎用性もありサランネットも着脱可能な本格的な作りです。
各スピーカーエンクロージャーも箱鳴りするような安っぽい作りではなく、結構しっかりした作りです。
超小型のフロント&サラウンド用スピーカー
この辺りは流石にオンキョーです、エントリークラスでもやっつけ感がなく手を抜かない姿勢は立派です。
各チャンネルの定格出力20Wは、手軽なミニホームシアターでは充分であり音量の不足感も無くサラウンドを堪能できます。
総合的な音質は当然価格がそのまま出てしまう音質で、これがホームシアターの音だと勘違いされてしまうとちょっと悲し過ぎます、あくまでもラジカセよりも良い音で鳴ってる程度の入門者用と考えてほしいのです。
サブウーハーのカットオフ周波数が高めに調整されているようで意外にも効きがよく、サラウンドとセンタースピーカーの足りない低音域を上手くカバーしています、このクロスオーバー周波数の設計は立派!
ちなみに、全てのスピーカーを一ヶ所にまとめて音を出すと凄くバランスが良い音質でトータルでの音質調整がされているのが解ります。
ただ、所定の位置に離して設置するとサブウーハー効果が一気に薄れてフロントとセンターが特に貧弱な音になってしまいます、まずは、取り替えるとすればフロントとセンターでしょう。
フロント・センター・サラウンドスピーカーをセットでそれぞれ8・3・4万円(5個合計15万円)以上のものに変えれば、このエントリークラスのサラウンドコントロールアンプとサブウーハーをベースに迫力あるサウンドが愉しめると思います。
フロント・センター・サラウンドの5つのスピーカーをしっかりしたスピーカーに変えれば一気に音質が向上し、そこそこの音質で愉しめるホームシアターシステムに生まれ変わると考えています。
アップグレードで使わなくなったスピーカーは、PCデスクトップ用に利用しても音質的には問題ないでしょう。
こういった小型軽量の汎用性の高いスピーカーは、音質が若干悪くても各種の実験などに利用でき使い道はけっこう有るのです。
センターとサラウンドスピーカーはウーハーが6.5Cmの超小口径ユニットですが、ミドルクラスのアンプに単独で繋いでみたら意外や低音域が出るのには驚きます。
この時代の小型ブックシェルフの名機D-212EXなどにも使われているオンキョーのニューOMF素材のコーンを使っているので、ユニットだけでもDIYオーディオファンにとっては価値が見い出せると思います。
逆に高音域が張り出してきません、トーンコントロールで高域をMAXに上げてもまだ張り出してきません、BGM用としては耳触りがよくて良いのですがピュアオーディオ用としてはこの高域特性では無理があります。
おそらくツイーターの音圧が低いのです、ツイーターとネットワークを外してウーハーだけのフルレンジ仕様にした方が音質バランスが良いかもしれません。
定価から逆算するとセンタースピーカーが6,000円、サラウンドスピーカーが1台4,000円程だと思うのですが、その価格からすれば下手なDIYで作る小口径ユニットを使ったスピーカーよりもコストパフォーマンスが高くしっかりと鳴っています。
前述したようにサラウンドコントロールアンプにパワーアンプかプリメインアンプを繋げば大音量の高音質で愉しむことができます。
FMチューナー付は好感できますが、難点は接続できるソース入力が1つだけということでAVプリアンプとしては不十分だという事くらいです。
ただし、AV入力セレクタを外付けすれば映像も音声も何も問題はなく多入力仕様にグレードアップできます。
尚、FMチューナーは受信感度が良いのか、一定のレベル以下の局をカットする機能が無いのか簡単なアンテナでもかなりの局を受信できます、マンションのテレビ用のアンテナ端子に直結すれば完璧です、意外と知られていませんがマンションのテレビアンテナ用コネクタにはFM電波も分配されています。
如何様にもグレードアップを図れる超エントリークラスのホームシアターシステム、グレードアップを愉しみながらホームシアターを愉しめる一石二鳥のサラウンドミニコンポです。
こういったアイデア次第で如何様にも改良が加えられる仕様でなかったら、どんなに安くても絶対に買ってなかったでしょう。
グレードアップできるポイントが幾つも見つかるシステムは、極めてレアで貴重な存在だと思います。
尚、現在もオンキョーではこういった手軽な超エントリークラスのミニホームシアターコンポを10万円以下で製品化していますので、ホームシアターの入門用として、また数々の実験用として購入するのもアリだと思います。
聴く目的のオーディオではなく、各種愉しめるオーディオ製品が在っても良いのです。
DIYオーディオファンは、こういった製品の若干難ありのジャンクに近いものを安価で購入して改造を大いに愉しむという手も勿論アリです。
※ピュアオーディオ&ピュアホームシアター製品の評価記事はこちらのブログを参照下さい。