2024年3月 1日 07:00
ハイファイを追求するオーディオマニアの皆さんは、口をそろえて「デジタルアンプはイマイチ使う気がしない」と言います。
私も、ある瞬間までは多分にもれなくその一人でした、その瞬間とは何時ものプリメインアンプをデジタルアンプに繋ぎ換えてみるまではです。
オーディオファンの間で、デジタルアンプ云々と言われるようになったのは2000年以降です。
それまでは、ハイファイオーディオの土俵にはデジタルアンプは上がってこなかったからです。
そもそも、デジタルアンプは電力効率を重要視されて開発された増幅方式です。
電源電圧を入力信号に従って電流増幅するという極めてシンプルな回路で、最近ではICを使った所謂D級アンプと称するデジタルアンプが台頭してきています。
ちなみにA級・B級・C級以外の増幅方式のアンプを全てD級と呼んでいます、その意味ではハイファイデジタルアンプもクラスで言えばD級となってしまいます。
最近では、更に再分割されE級というクラスも登場してきていますが、定義は曖昧です。
D級アンプは電力効率の良さを優先され、誕生以来カーオーディオや電子楽器用のアンプ、ライブやコンサートで使うPA(大衆オーディオ)用のアンプ、カラオケ用アンプ、館内や駅構内などの放送用アンプに使われてきました。
ところで、ライブハウスやコンサートに行ったことがあるでしょうか?
物凄い音ですがうるさいとは感じません、カラオケもみんなで大音量で歌ってもうるさいとは感じません。
むしろ、身体で感じる音に感動さえ覚えます。
うるさいと感じるのは音質のバランスが悪いからであり、音質バランスが良ければ人間の耳は音が大きくても自動的にフィルターをかけてうるさいと感じないのです。
ところが、どんなに良いA級アンプでも音質バランスが悪いとうるさく感じて良い音とは感じません。
これは、限られた周波数帯だけが大きいと、耳(聴覚神経)がその周波数帯域だけをフィルタリング出来ずに全体的にうるさいと感じるようになるからです。
D級アンプはノイズ性能が悪いと言われますが、それはあくまでもスペック上の話であって家で聞く音量の域においては実際にそのノイズ特性の悪さなどを感じる事はありません。
それよりも、消費電力が極めて少ない事をもっと評価すべきです。
D級アンプは電球で言うところのLEDライトと同じです、特にホームシアターに求められるのは音質以上に迫力や臨場感ですからAVアンプのパワーアンプ部はD級でも良いのではないかと思うのです。
AVアンプも一気に小型化し低価格になりますし、もっとホームシアターが普及するようになるでしょう。
また、PCオーディオ用アンプやアンプ内蔵スピーカー、モバイルオーディオ、ハイファイオーディオやホームシアター用のサブウーハー、テレビの音質向上用のサウンドバーなど、現在では全てと言ってよいほどD級アンプが使われています。
繊細な表現を求められるクラッシックならいざ知らず、ジャズやロック、ポップスを聴くならD級デジタルアンプで充分だと思います。
何故なら、ライブやコンサートホールで使うアンプのほぼ全てがD級アンプなのですから。
更に、映画館のような音を家庭でも楽しめるのがホームシアターというわけなのですが、そもそも映画館の音響設備も現在ではほぼD級アンプとPA用スピーカーです。
今後、地球温暖化対策とかエネルギー対策という旗印の下、確実に音質を向上させ低消費電力を謳ったデジタルアンプが主流になるのではないかと思います。
部品数も少なく、小型軽量でシャーシ兼放熱板にすればリサイクルも容易で地球に優しい製品作りが可能です。
ハイファイオーディオにおいても、2005年くらいから各社からハイファイデジタルアンプが発売されています。
これらのアンプの音質を1度でも聴いてみたら解ります、中途半端なアナログアンプよりも余程しっかりした音質なのです。
ただ、何故かいまだにデジタル=D級=粗悪というイメージが拭えないのでしょうか、イマイチ受けが悪いように思います。
そして、中華アンプと言われる格安のD級アンプが世に溢れ、デジタルアンプのイメージを一気に落としてしまっている感がするのは私だけでしょうか?
国産の10万円前後のハイファイデジタルアンプも確かにクラス分けではD級となります、しかしIC一発使いの格安D級アンプとは次元が異なる製品であることを理解すべきです。