
自身のオーディオコレクションを記録管理する目的で年代別に価格と共にリストアップしているのですが、ここで面白い事実が見えてきました。
それは、70年代から80年代のアンプではサンスイが圧倒的に数が多いということです、またスピーカーではダイヤトーンです。
そして、90年以降になるとデノンやオンキョーの製品群が数を増やしていきます、どの年代にもリストに乗っているブランドがヤマハ・ソニー・ケンウッド(トリオ)でした。
これって、オーディオの歴史とオーディオメーカーの黄金時代そのものを素直に反映しているということが解ったのです。
つまり、私も素直にオーディオの時代における変化をそのままに受け入れていることということです。
時代が変わっても頑なに一環として自身の考えを通す人もいれば、私のように時代の変化に順応して自身を変えていく人もいるのです。
どちらにしても、どっちつかずの中途半端に時代に翻弄される人よりも良いかと思うのです。
それにしても、見事なまでに時代を反映しているコレクションデータに流石の私も驚きました。
今回の手持ち製品の発売時期や価格を改めて調べ直していくうちにいろいろなことが解ってきました、コレクションとはただ集めるだけではなく歴史やその周辺の状況などを学べます、これがコレクションギークの一つの愉しみなのです。

AVアンプと複数のスピーカーを使用して本格的なホームシアターを愉しみたいけど、とてもそんな予算もスペースも無いという場合に有効な手段があります。
それはサウンドバーという存在です、各社から売り出されているサウンドバーとは基本は横長のスピーカー(本体)1本ですがサブウーハーとのセットで売られているものもあります。
このサウンドバーの本体をテレビの前に、サブウーハーとセットの場合はサブウーハーをテレビの脇に設置するだけでホームシアターのようなサラウンドが実現します、アンプ内蔵のホームシアター版サラウンドアクティブスピーカーと考えれば解り易いでしょう。
ただサウンドバーという製品はいろいろな方式があるのでしっかり仕様を確認してから購入する必要があります、単なるテレビ音声の高音質化を図るものも存在しているし、疑似的なドルビーサラウンドを体験できるものまであります。
ドルビーサラウンドに対応しているものは、1本の横長スピーカーの中にフロントLR・センター・サラウンドLR用のスピーカーが配置されています。
サラウンドスピーカーユニットは斜め上面や斜め横面を向いており、天井や壁反射によって疑似サラウンドを行うように考えられています。
本格的なサラウンドを実現させたいと思うなら、最低でも5~6万円以上のサラウンド対応のサウンドバーならある程度の効果を期待できます。
10万円以上するものは、細長いスピーカーに小さなユニットがびっしりと埋め込まれており音質もそこそこ耐えられるものです、特にサブウーハーとのセットの場合はかなり音質が向上し長時間聞いていても疲れません。
音質だけをとればテレビだけで映画を観賞する場合に比べればかなりの効果が期待できます、ただしバラエティやニュース番組などではテレビの音声とほとんど変わりません。
手軽にホームシアターを経験してみたいという人にはお薦めの製品かもしれません、またベッドルームで高音質でテレビや映画を愉しみたいというニーズには手軽で良いかもしれません。
ただし、AVアンプと複数のスピーカーを使ったサラウンドシステムとは次元が異なる効果しか期待できないという事だけはお伝えしておきます。
サウンドバーのような使い方でもBOSEのテレビ用アクティブスピーカーはテレビの下に平べったい箱を敷くタイプで、エンクロージャの容積を稼ぎテレビの音質を向上させるものでありサウンドバーとは異なる目的の製品です。
しかしテレビの音質がガラッと良くなり、それなりの音質で映画やライブを愉しむことが可能です。
補足ですが、BOSEの家庭向け製品の多くは独特の籠った感じの低音域でパンチのある音色は期待できないものです、人によって好みがはっきり別れる音色だということだけはお伝えしておきます。

オーディオ黎明期の60年代~70年代には真空管アンプで、70年代後半以降のトランジスタ時代になっても常に高級ハイエンド製品で日本のオーディオ界を牽引してきたラックスマン、2000年以降も真空管アンプの復活や話題性に満ちた製品を出し続けています。
そんなラックスマンの栄誉ある道のりの途中には屈辱的な試練の時代も在ったのです、独占的な60年代とは打って変わり60年代後半からオーディオブームに乗って大手家電メーカーは勿論のこと、それまで無線機や電気部品を作っていたメーカーがこぞってオーディオ業界になだれこんできます。
70年代中盤にはラックスマンの牙城であった高級ハイエンド製品を各社が揃って出してきます、特に70年中盤に起きた各社一斉に投入したプリアンプとパワーアンプでのセパレートアンプ戦争はオーディオマニアは狂喜乱舞でしたがメーカー各社は戦国時代の真っ只中です。
そんな70年代の戦国時代を制したのが、後にオーディオ御三家と呼ばれるサンスイ・トリオ・パイオニアでした。
この御三家の快進撃の裏で経営的に窮地に立ったのがラックスマンでした、70年代最後の年に対抗策として赤字覚悟でのL-400などのライバル会社と同額程度のリーズナブルなアンプを出すも更に経営を圧迫することになります。
そのラックスマンを救ったのが当時カーオーディオ界で栄華を誇っていたアルパインです、1981年に名門ラックスマンはカーオーディオキングのアルパインの経営傘下に入ります。
しばらくは低価格ながらもラックスマンらしい製品を作り続けるのですが、1985年にアンプ798戦争が勃発するや、なんと高級ハイエンドで地位を固めていたはずのラックスマンはALPINE/LUXMAN(アルパインラックスマン)のブランドで製品を出すのです。
その製品とはラックスマンの冠には相応しくないブラックフェースで、プリアンプがFET、パワーアンプの初段が真空管、パワーアンプの終段がMOS-FETという何とも中途半端なハイブリッドアンプを創出し798戦争に参戦したのです。
この時の製品がLV-105とLV-103という製品で、しばらく続作も出しますがイマイチぱっとしない製品で終わってしまいます。
並行してLV-102という中段に真空管を使わずFETのみのシンプル設計のプリメインアンプも出しており音的には私はこちらの方を高く評価しています、また真空管を中途半端に使うよりも故障も少なくて音質的にも解っている人はこちらを選んで買ったことでしょう。
結局90年代に入り本来のラックスマンの姿に戻りますが、この85年からの5年間はラックスマンの長い歴史にあってもっとも屈辱的な時代ではないかと思うのです。
いまだにLV-105とLV-103は「名機じゃなく迷機」と言われています、ちなみにマニアが注目しなかったLV-102はコストパフォーマンスが極めて高くラックスマンらしい音質を伝承した隠れた逸品です。
しかし面白いもので迷機の数々はラックスマンの屈辱的遺産としてマニアの間で後に静かなブームを生みます、今もなお中古をオーバーホールしては高値で取引されているのです。

1980年代に起こったスピーカー598戦争(1台5万9800円、セットで約12万円)は、オンキョーのD-77の発売によって勃発しました。
そんな激しいミドルクラスのスピーカー598戦争ですが、その裏でも別の598戦争が水面下で繰り広げられていたのです。
その裏の598戦争とは、1988年に勃発したCDプレーヤーの598戦争でした。
この年の5万9800円のCDプレーヤーを一気に列挙してみましょう。
ついでと言ってはなんですが、それぞれの製品の要であるDAC仕様も調べましたので合わせて紹介しましょう。
・ソニー CDP-228ESD バーブラウンPCM58P(モノラルDSPを左右分離で使用)
・ケンウッド DP-7010 バーブラウンPCM58P(モノラルDSPを左右分離で使用)
・ビクター XL-Z521 バーブラウンPCM56P+2bitディスクリートDAC
・パイオニア PD-717 アナログ・デバイセスAD1860N-J(モノラルDSPを左右分離で使用)
・テクニクス SL-P777 松下電器MN6741(独自の1bitマッシュ方式)
さて、その後CDプレーヤーやユニバーサルプレーヤーで名を馳せるデノンはCDプレーヤー598戦争を他所に6万円ジャストの値付けでマイペースな製品作りをしていたのは面白いです。
アンプ798戦争やスピーカー598戦争、そういった世の流れには翻弄されずのこの我が道を行くという姿勢は立派です。
今となってはですが、どの業界でも他社動向に翻弄される企業よりもマイペースに進めていた企業がバブル崩壊後に拡大成長していった、この事実は事実として記憶してほしいと思います。

ホームシアターとハイファイオーディオでは求める音質が異なる為に、同じシステムで両立させようとするとどちらかの音質が犠牲になることになります、しかし物は考えようで工夫すれば両立も可能になります。
まず重要なのがフロントスピーカーです、何故ならホームシアターとハイファイオーディオで共有するスピーカーが唯一フロントスピーカーだからです。
AVアンプでステレオモードにすると、センターもサラウンドの各チャンネルもパワーアンプ部がシャットダウンしてフロントのパワーアンプ部だけが稼動するようになっています。
ちょっと昔のAVアンプではセンターチャンネルやサラウンドチャンネルは手動でオフするスイッチが付いていましたが、現在のAVアンプは全て自動で行ってくれます。
さて、その共有するフロントスピーカーをハイファイオーディオ用の高音質トールボーイや、ブックシェルフなどのハイファイオーディオに耐えうる音質のスピーカーを使うことが再重要です。
またAVアンプは基本的にハイファイオーディオ用のアンプに比べて音質は劣ります、これをサポートするのがハイファイ用のプリメインアンプかパワーアンプとなります。
AVアンプのフロントスピーカー端子に直接フロントスピーカーを繋ぐのではなく、AVアンプのフロントプリアウトにプリメインアンプかパワーアンプを繋ぎ、その先にフロントスピーカーを繋ぐのです。
この時にフロントスピーカーのスイッチをオフにするとAVアンプのフロントパワーアンプもオフになり無駄な電力消費を抑えることができます、つまりこの場合のAVアンプはサラウンドプロセッサーとして機能します。
さて結果的にどうなるかというと、ホームシアターではAVアンプはサラウンドプロセッサーと化してセンターとサラウンドのパワー部のみ稼動することになります。
フロントはAVアンプのプリ部だけを通してプリメインアンプやパワーアンプの高音質の音質で駆動することになり、ホームシアターでは勿論、ステレオモードで高音質のハイファイオーディオを堪能できるのです。
これでCDでのハイファイオーディオもブルーレイやDVDでのホームシアターも高音質で堪能できる両立システムが出来上がります、理論を知ってテクニックを駆使すればどんなことも理想通りに実現させることができるのです。