これオーディオDIYの記事で取り上げるほどの製作なのかな?
フォステクスの10CmフルレンジスピーカーP-1000Kを、フォステクスのP-1000K専用エンクロージャP-1000Eに取り付けてみました。
「かんすぴシリーズ」の最上位製品で本来は小型デジタルアンプも付いたDIY入門者向けセットですが、数千円の安価なデジタルアンプは不要なのでユニットとエンクロージャの単品をそれぞれ別々にネットショップで購入しました。
左右ペアセットで送料込みで1万円程度、DIYオーディオ超初心者向けとして手軽にオーディオDIYを楽しむスターターキットとしてはお奨めの製品です。
フォステクスP-1000K 10Cmフルレンジスピーカーユニット
フォステクスP-1000E 組み立て済み専用エンクロージャー
ユニットの結線に半田付けは不要で、端子をカチっとはめて後はネジでユニットを固定するだけで終わりです、1台当たり5分もかからず完了してしまいます。
最も時間がかかったのが、ユニットをまっすぐに固定するための予備穴マーキングです、これでDIYキットといえるのかは疑問が残るところです。
夏休みの工作で、お子さんにスピーカーを作る喜びを教えるには良い教材かもしれませんが、大人にはちょっと物足りなさ過ぎて面白味がないです。
あっという間に完成!
自動車や家電などではオーバーホールというメンテナンスサービスが存在しています、オーバーホールは医療でいう蘇生手術と同様で古い機種を全て分解して悪い個所や部品を直しながら新品の時と同様の性能が出るようにするサービスです。
例えば、40年以上経ったボロボロになったアンプが当時の元気な姿で再度使用できるようになるのです。
フルオーバーホールされたサンスイAU-6500
綺麗に傷防止テーピングや湿気防止のラッピングされて戻ってくる
この究極のメンテナンスとも言うべきオーバーホール料金が半端じゃありません、技術者が全て手作業で行いますので当然かもしれませんが、既に手に入らない部品まで手に入れて交換するのですから手間と時間を考えれば相応の料金だと思います。
交換された部品は、このように別袋に入って付いてくる
これは、何をどれほど交換したかというエビデンス
今回はトランジスタとレギュレーション用サイリスタが交換されたようだ
そんなニーズが昨今多くなったのか、オーディオメーカーを引退した人が細々と個人事業主として行っているケースもあり、メーカーよりも安価で丁寧に対応してくれますので好評のようです。
概ねですが70年代のミドルクラスのプリメインアンプですと購入価格以上の費用がかかることもあります、したがってオーバーホールされた名機は当時の定価の倍の中古価格であっても決して高くはないのです。
普通なら買い替えたほうが良いと考えるのですが、70年代の音はどんなにお金を積んでも今では手に入らないのです、音の価値とはこういうことです。
スピーカーやアンプは音の媒体にすぎないというのが私の持論です、したがって価値があるのは音そのものなのです。
その価値ある音を得るためにお金を払う、そんな考え方をすればオーバーホールで現在に無くしてしまった音が蘇るのであれば願ったり叶ったりです。
またオーバーホールに出すと基板のクリーニングや錆びついたトランスも綺麗にペイントされて戻ってくることもあります、コネクタもつまみ類もピカピカ、スイッチ類の接点不良なども全て綺麗になって帰ってくるのです。
オーディオ製品は機械ですが大病を患って入院し元気になって退院するという、まるで生き物のように感じてしまう瞬間です。
サンスイ指定業者でオーバーホールした検査合格証
いまだに当時のサンスイのシールが使われているなんて・・・
ホームシアターと言えばサラウンド、サラウンドと言えばドルビーサラウンドですがドルビーサラウンドとはいったいどんな代物なのでしょうか?
ドルビーサラウンドシステムは、1977年に公開された映画「スターウォーズ」で使われた効果音システムを家庭でそのまま楽しめるようにと考えられたシステムで、ドルビーラボラトリーズによって1981年に技術的仕様が公開されました。
そのドルビーサラウンドは、その後ドルビーサラウンドプロセッサーとして外付けでの装置が誕生しましたが、それをいち早くアンプに取り入れたのがデノンのAVアンプでした。
デノンは世界で初めてドルビーラボラトリーズから認定を受けたメーカーなのです、その後ドルビーサラウンドはセンターチャンネルを追加しての本格的システムとして1989年に「ドルビープロロジック」が公開されました。
ここから本格的なホームシアターブームが到来したと言っても過言ではありません、そして1995年にはデジタルディスクリート化を施したドルビーデジタル及びDTSが、更に2007年にはロスレス音声を採用したHDオーディオに発展していきます。
そして現在最も新しい方式が2014年に公開されたドルビーアトモスで、これまでのようなマイナーチェンジではなくサラウンドの大革命ともいうべき仕様なのです。
これまではチャンネル単位での音作りであり基本はステレオだったわけです、それが一転してチャンネルベースからのサラウンドではなく、オブジェクトベースによるサラウンド方式へと別次元のサラウンド方式に変更されたのです。
つまり、ドルビーアトモスで記録されたDVDやブルーレイを本格的に楽しむにはドルビーアトモス対応のAVアンプが必要になるのです。
尚、ここでもデノンが先行してAVアンプに取り入れ、視聴会では「5.1.4Ch」方式と説明されていましたが、その後「9.1Ch」と表記されるようになりました。
尚、ドルビーアトモス方式から3Dサラウンドという立体音像が家庭でも容易に体験できるようになりました。
このようにサラウンド方式がどんどん変化して行きますので、その意味でAVアンプとDVDやブルーレイプレーヤーは定期的に買い替える必要があるのです。
つまり、AVアンプとDVDやブルーレイプレーヤーには記念品的な価値は生まれても継続的な実用価値は生まれないのです。
もし、現在中古で買うのであれば2015年以降のドルビーアトモス対応ということになりますが、当時の中古を買うなら現在の新品の方が仕様が更に上で価格は新品なので高いのですがコストパフォーマンス的には現在の方が高いと言えます。
したがってAVアンプの中古は常に二束三文で取引されるのです、ここがオーディオのビンテージアンプやレコードプレーヤーと最も異なるポイントです。
1985年に始まった世に言うアンプ798戦争、その終焉はバブル景気の終焉と重なり90年代初頭でした。
その後各社の主力ミドルクラスの価格は上昇し始め10万円前後で落ち着きを見せ始めました、どう考えても798戦争時代の主力製品はそもそも10万円前後でもおかしくないスペックだったのですから当然の結果とも言えます。
さて798戦争で圧倒的な強さを誇った勝者はサンスイでした、次から次へと斬新な回路を引っ提げては新機種を出し続けソニーやオンキョーの追従さえも許しませんでした。
そんなサンスイも90年代に入ると価格を上昇させ初めます、それでもトップの座を90年代中盤まで継続させたのだから凄いです。
ところが誰しも20年間続けているサンスイの牙城が継続すると思われていた1996年に思わぬ伏兵が台頭してきます、それはソニーでもオンキョーでもなく798戦争時代にマイペースにデジタル化への移行やホームシアター向けのAVアンプに注力していたデノンだったのです。
当時のサンスイの7シリーズの前衛隊長はシリーズ20周年記念モデルAU-α607MR(10万円)、これに対抗すべくデノンが擁立したのはPMA-2000(1996年発売、10万円)で価格も宣戦布告の意図が丸見えの同額としています。
90年代に入るとサンスイもブラックフェースからシャンパンゴールドに変え大人しいイメージに変貌しています、デノンは伝統のちょっと黄色が強めのシャンパンゴールドに加えデザイン面でもPMA-2000は新しい時代の幕開けを予見させるような洗練された感じを受けたのは確かです。
更にジャンルを選ばないオールマイティな音質は、バブル景気が終焉した後のジャズやロックファンにも受け入れられたと思われます。
バブル景気が終焉すると日本中が祭りの後のように全てに冷静さを取り戻し始めます、こういった精神的な意味でも豪快な音質よりもマイルドな音質が好まれる傾向に当時はなっていったのではないかと推測しています。
そしてデノンPMA-2000は同社のハイエンド名機S1のテクノロジーをダウンサイジングしたスペックで空前の大ヒット&ロングセラー作となり、AVアンプと合わせてデノンは一気にアンプのシェアを拡大していったのです。
思わぬ伏兵の台頭に慌てたサンスイは、翌年の1997年に7シリーズにNRAを投入しますがデノンの快進撃を止めることはできませんでした。
このNRAは後にジャズファンのマニアから、「サンスイがサンスイサウンドを捨てた愚作」とまで言われる始末でサンスイも音質戦略を変えずにいられなかったということでしょう。
こうして20年以上続いたサンスイのオーディオ界における牙城が脆くも崩れたのです、その後のサンスイの衰弱はあまりにも急速で悲惨なものでした、ハイファイオーディオだけでなく当時流行りのミニコンポもAVアンプも何を出してもトップの座を奪還することは無くあっという間に経営危機に見舞われていったのです。
ミニコンポのジャンルでは既にオンキョーやケンウッドが強固な要塞を固めていました、またAVアンプではデノンが先導しソニー・ヤマハ・オンキョーがピタリと追従していました。
この一連の騒動、どんな業界でも時代の流れを見誤るとあっという間にトップの座を追われるという教訓として私の胸の奥に何時までも存在し続けています、良い状況のときほど慢心せずに更に気を引き締めろということでしょう。
45年前のダイヤトーンDS-35B、懐かしい70年代の音を再現したFM放送を聴く為のシステムとして当面の間現役に復帰させようと思っています。
そんなDS-35Bですが、流石に往年の高級システムだけあって本体のユニットは完璧に健在ですが、サランネットは経年経過でかなり傷んでいます、この機会に補修して綺麗に蘇らせようと思います。
DS-35Bのサランネット
結露などのシミが広がっています
流石、70年代の高級スピーカー
サランネットといえどもアルミダイキャストフレームを使ってお金をかけています
イマイマのスピーカーは高級ハイエンドでさえ型抜きのプラスチックですから
まずは、ダボの取り付けネジがサビていますので、今後の事を考えてサビ止めします。
サビのクリーニングとサビ止めは工業用のオイル(ミシンオイル)を使います、綿棒で強めに擦ってオイルを染み込ませます。
こんな感じに、サビが綺麗になり元のビスの黒色も復活しました。
次は中央の補強板が湿気で伸びて内側に曲がってしまい、ウーハーユニットのフレームに当たってサランネットが浮いてしまいます。
テンションを確認したら、この補強板は無くてもまったく問題ないので取り外すことにします。
工作ノコギリでバッサリとカット!
湿気で割れが生じるのを防止する為にカットした面はボンドで固めてから塗料を塗っておきます。
後は、全体的に埃を掃除機で吸い込み、アルミダイキャスト部分はベンジンとアルコールでクスミを取り除き磨きあげます。
硬めのブラシを付けた掃除機でブラッシングしながら埃を吸いこんだらネットのシミ部分の汚れもだいぶ薄くなりました。
あとはエンクロージャーもアルコールと水拭きで綺麗にしてサランネットを取り付けます。
最終的な出来上がり具合はこんな感じです、如何でしょう?
新品とはいいませんがかなり綺麗に蘇ったと思います、45年分の垢を落として気分も爽快です。