
オーディオを通して生きたビジネス戦略を学ぶなどという人はほぼいないと思います、私はオーディオから多くのビジネス戦略をリアルタイムで学び、25歳で個人事業主での独立起業や28歳での法人設立しての企業経営に大いに活かしました。
ITで製品化を夢見ての独立&起業も大学時代に読んだオーディオ史を作ってきた多くの天才創業者伝記を読んでいたからに他なりません、更にはそういった創業者が執ったその時代の戦略は勝者と敗者に綺麗に分かれ、本当に多くをオーディオを通してリアルタイムに学び自身でも実践してきました。
特に85年のスピーカー598戦争やアンプ798戦争での各社の戦略、またその後に起きたデジタル大変革での戦略、更にはオーディオ氷河期での戦略、面白いように各社が繰り広げたユニークな戦略戦術が存在しています。
そして一時的に敗者になっても天の時を待ち次代の勝者となるなど、まさに生きたビジネス戦略の多くがオーディオ史に残っています、私のオーディオ道楽黄金時代は私のビジネス黄金時代とぴったり重なっています。
独立や起業、またその後の経営にこういったオーディオ各社から学んだことが大いに活かされたことは否めません。
一時的に王の座を奪っても新たな変化の時代に翻弄され、自流を通せなかった戦略なき企業はあっという間に衰退し崩壊していくのです。
オーディオとは私にとっては単なる道楽ごとです、しかしオーディオ業界の各メーカーは常に死活をかけたサバイバルを繰り返して今に至っています。
道楽というオフの次元で見るビジネスというオンの次元の熱き戦い、自分なりに冷静に他社の経営戦略をリアルタイムに垣間見れたことは極めて大きな生きた学びでした。
そういう意味で「私にとってオーディオは単なる道楽ではなく必然の道楽」、と思えてしまうのです、「オーディオに係る費用はビジネス戦略を学ぶ代金」、何故ならオーディオ各社の戦略戦術は見事なまでにその時代の音に現れているからです。
伝記を読んだだけでは実際の信念は読み解くことはできません、その時代の製品を実際に買って音を聴けばオーディオ各社がどんな戦略を以って未来を見ているのかが解るのです。
学ぶ人はどんな事からもどんな人からも学びます、そして確実に実践を重ねて自分流を編み出していきます、学ばない人は何度教えても頷くだけで何時まで経っても変わるわけでもなく行動の一つも起こさない、つまり何一つ学ばずルーティング人生で終わるのです。
子曰く「一つを学んだら、一つをやってみる」、知識は経験する事で知恵となり、重ねればノウハウとなり徳となるのです、孔子論語で最初に登場する教えが「学びの姿勢」です。
最初の学びが出来ない人に、その後に続く学びの本質を理解できないのは当たり前なのかもしれません。

数あるオーディオメーカーの中にあって、BOSEほどオーディオマニアから酷評を食らっているスピーカーメーカーはありません。
酷評の多くは、業務用の小型スピーカーをベタ置きして鳴らしてみての評価などです。
解っている人はこういった使い方もしないし酷評を上げることはしません、業務用と解っていてその有益な使い方を探る方の道を選びます。
ちなみに、BOSEの小型スピーカーを狭い部屋のラックにベタ置きしてニアリスニングで聴くと聴くに堪えない音色がします、特に何ともいえない低音域の響きが気になり音楽鑑賞になりません、更に高音域がほとんど出てこないのです。
ところが、同じフルレンジ一発の小型スピーカーを20畳ほどの部屋の天井の隅に設置すると豹変します。
あれほど気になっていたブーミーな低音の意味が解ります、低音域は大きな部屋だと部屋全体に響かなくなります、つまりあの独特な低音はこういった使い方を研究して作られた味付けなのです。
大きな部屋での空間ハーモニック効果によって出ていなかった高音域も綺麗に聴こえてきます、ボリュームを上げるとまるで大型スピーカーでも鳴らしているのではないかと思えるほどのぐいぐいと迫るパワーを感じます。
本来101や201などの小型スピーカーは天井の角に設置し、3方の壁の反射で空間ハーモニックス効果によって聴かすスピーカーです、そもそもBOSEスピーカーは直接聴くスピーカーではなく間接的なハーモニック音を聴かせる為の設計をしているのです。
こういった意味では、喫茶店やカラオケスナックなどでは天井吊り下げ型のBOSEスピーカーを使うのが当たり前で、どこでも快音で鳴っているのはよくご存じかと思います。
ちなみにハーモニック効果とは絶大で、他のメーカーのスピーカーだとハウリング(マイクを使うと「ピー」となる音)を起こすような狭い部屋でもBOSEだと起きないのです。
普通は酷評を食らうと慌てて「正しい使い方」的な情報をサイトに上げたりするものですが、BOSEは昔からこういったことを一切せずに大人の対応をしています。
ある意味では、宣伝も何もしなくても施工業者は音質的なトラブルが無く依頼主から文句の一つも出ないBOSEスピーカーを次々に購入しては設置しています、その意味ではプロの評価は最高レベルだと思います。
価格も昔は高額でしたが、価格変動が無いので今ではリーズナブルな価格帯でしかも競合だったダイヤトーンも事業閉鎖したこともあり、マイペースに事業推進しているのでしょう。
ときどきパーソナル使用やホーム使用でのスピーカーを出しますが、大きな宣伝もしませんし勝手に売れていくのを待っているという余裕が見られます。
王者の余裕は往年のJBLやアルテックを思い起こします、やはり王者は強い、その強さに支えられた余裕は更に企業を成長させていくようです。

2010年以降のマランツのAVアンプが凄いです、最新のミドルクラスは7.1Chの本格的な仕様でありながらコンパクトな薄型です。
型式名は「NR1601」に始まり、毎年マイナーチューニングを施され「NR1609」のあとは「NR-1710」と型式が変化していきます。
AVアンプは高級になればなるほどコネクタ類の数が多くなり、放熱効果も考えどんどん大型化するのが常識でした。
その傾向に逆行するかのような薄型AVアンプは、発売当初は価格の割に小型という印象も加わりオーディオファンの評価が低かったのも確かです。
その評価が5世代目辺りから一転してきます、そしてデノン・ヤマハなどのライバルを一気に抜き去り堂々の販売数1位を獲得します。
更に、生産が間に合わなかった半年間だけ2位に転じますが、その後はずっと1位の座を堅持しているのです。
また定格出力を抑え高音質化を目指した設計は、2Chステレオでの利用者数が25%とAVアンプの平均の10%以下に対して大きく差を広げています。
事実、AVアンプをピュアオーディオのメインシステムアンプに使うという人も多いのです、常に愉しむのはCD音源の2Chであり、同じシステムで時々DVDで5.1Chや7.1Chサラウンドを愉しみたいというニーズに合わせてAVアンプも高音質化してきています、その先駆けを作ったAVアンプとも言えます。
また型式の「NR」はネットワークレシーバーを意味していて、インターネットから高音質のハイレゾ音源をダウンロードしての再生や、ブルートゥースでモバイルオーディオと接続してのネットワークステーションとしての利用者も多いようです。
マランツは現在デノンと合わせて2大ブランドを持つエムアンドディホールディングスのオーディオブランドとなっており、ハイエンドからエントリークラスのAVアンプのデノンと上手く住み分けしています。
この薄型AVアンプ革命でホームシアター製品で優位に立ったマランツですが、現在オーディオのマランツに加えてホームシアターのマランツの名を欲しいままにしています。

超高額な所謂ハイエンドと呼ばれるオーディオ製品にあってスピーカーは何故か1本売りが常識化しています、2台1セットで使うオーディオスピーカーが何故1本売りされるのでしょうか、製品によっては左右対称のスピーカーもあり型式も違うので2製品を買って初めてペアで使えるようになります。
オーディオ初心者はスピーカーというのは2台1組のペアでの価格というのが当たり前で1本売りの製品の存在すら知らない人もいます、こういった人がネットなどで購入し「届いたら1本しか入ってなかった、詐欺だ!」と製品レビューなどで大騒ぎしています。
確かに私もそういった製品のネット販売の製品情報を見たのですが確かに1本での価格という表示は何処にもありません、ネット販売業者は騙しているわけではなくメーカーの品版と小売価格を表示しているにすぎません。
ネットに情報を上げる人は単純作業でやっているに過ぎず、オーディオに詳しい人なら誤解されるので一言入れようという発想もできるのですが、それは過度の期待というものでしょう。
やはり購入者は製品の情報をメーカーサイトでしっかり確認したうえで購入すべきでしょう、そもそもオーディオ製品はショップで音や製品を確認したうえで購入するのが当たり前でネットで購入するのはショップで確認した物だけにするのがよいかと思うのです。
こんな混乱を起こしながらも何故メーカーはハイエンド品を1本売りするのかですが根拠はしっかり有るのです、それはメーカー保障できないようなユーザー責任での致命的な破損をした場合に1本だけで購入できるようにしているからです、これが2本ペアなら無傷の1本が余ってしまうし不要なお金を使わせてしまうからという配慮からなのです。
例えば現在ではペアで50万円位のスピーカーから1本売りが散見されます、つまり1本が致命的な破損で購入する場合は25万円で済むということです。
ところでユーザー責任でのメーカー保障外の致命的な破損とは何かというと、それは子供やペットにユニットを凹まされたり破られたりした場合が殆どです、また引っ越しの際に落としてしまいエンクロージャーに大きなヒビや割れを作ってしまった場合などです。

オーディオに限らずどんなジャンルの製品もそうですが安物はやはりそれなりの理由があります、オーディオで安価な製品というと「エントリークラス」と呼ばれるのですが、ここで言うのはそういうレベルの話ではばく取りあえず安く済ますために無名メーカーの物を買うことだけは止めた方がよいという話です。
オーディオメーカーの製品はどんなにエントリークラスの製品でもサーキットブレーカーなどの保護回路が入っており、オーバーロード(過電流)やサージ(逆起電力)に対して内部回路にロックがかかるようになっています。
これが無名の安物だとそういった保護回路が組み込まれていません、そしてたった一台の安物によりシステム全体に被害が及ぶこともあります。
オーディオはシステムであり、入口のプレーヤー類から出口のスピーカーまで全てが電線によって繋がれているのです。
例えば雷や回路部品の接触によるオーバーロード、例えば扇風機や電動ドリルなどでのサージ電流、普通の時には何でも無いのですが起こる時には予想できないことが起きてしまいます。
大学時代に私の友人に起きた悲惨な事件があります、音楽を楽しんでいる時に運悪く近所の電柱に落雷しカセットプレーヤーにオーバーロードが入り発煙、その際にスピーカーから爆音がしてアンプからスピーカーまで全て壊れてしまったのです。
アンプは国産なので電源からのオーバーロードは防げますが、ライン入力にオーバーロードがかかった場合にはフィルター回路も飛んでしまうので意味がありません。
こんな笑い話のような話はマンションであればマンション内の電源が保護されているので安心ですが、一軒家や小規模アパートであれば今現在でも本当に起こりえます。
オーディオは必ず名の知れたメーカーの製品を選び、メーカー保障+販売店保障が付いた正規ルートで購入することをお奨めします。
もう一つの安物の恐怖は詐欺製品です、実際ネットに上がっている詐欺報告ですが「真空管アンプを買ったら中身は安物のD級アンプで、真空管はヒーターだけ結線されており点灯しているだけだった」とか、「ラインアンプという製品を買ったら入力セレクタのスイッチしか付いていなかった」などというとんでもない製品が存在しているようです。
まあ、オーディオに限らずどの世界でも安物はやっぱり安物です、そして「安物買いの銭失い」にだけはならないようにしましょう、お金が貯まらない人は結局こういった安物を買ってしまうので結果的に使い物にならないかすぐ壊れてしまい、常に次から次へとお金が出ていくはめになるのです。
正規メーカーのオーディオ製品は新規で購入する際には現役のものをそれなりの価格で下取りしてもらえます、その意味ではエントリークラスの製品は別にしてミドルクラス以上のオーディオ製品は家電量販店ではなくオーディオ専門店で購入する方が結果的にお得です。
何故なら他店で購入した製品よりもその店で購入した製品は下取り価格を倍にしてくれるからです、特に高級ハイエンド製品や人気のミドルクラス製品は買った時よりも売った価格が高かったなどというスーパープレミアム製品も存在します。