Onkyo(オンキヨー)は、現オンキヨー株式会社のブランドである。
尚、正式なブランド名および社名は「オンキョー」ではなく「オンキヨー」である。(他の記事では一般的な呼称である「オンキョー」を用いています)
1946年に、松下電器のスピーカー工場長であった五代武によって大阪に創設された会社が大阪電気音響社である。
翌年、大阪音響に社名変更し自社製のスピーカーユニットを用いたラジオを発売し大ヒットを飛ばし一躍オーディオ界に台頭してくる。
尚、自社製のスピーカーを搭載したラジオを製造販売した会社は日本では他にダイヤトーンのみである。
1957年には、総合家電を目指す東京芝浦電気(東芝)の資本を受け入れ、同じく創業したての山中電機(ブランド名:テレビアン)、七欧電機(ブランド名:ナナオラ)と共に東芝グループとなる。
1971年、全オーディオブランドをOnkyo(オンキヨー)に統一し、ハイファイオーディオ製品を創出して行く。
その後バブル崩壊まで繁栄を極めるも、オーディオ氷河期を乗り越えられずに1993年に東芝との資本関係を解消し独立する。
尚、東芝は当時東芝独自のオーディオブランドであるAurex(オーレックス)を立ち上げており、部品や製品の供給は続けられた。
その後のオンキヨーは、新時代に対応すべくミニコンポなどで盛り返しを図る。
2000年以降には、同業他社を子会社化したり、台湾企業との資本提携など経営的な動きが激しい時も有ったが、一環としてオーディオに対する姿勢は変わることはなかった。
現在のOnkyoは、オーディオ氷河期を乗り切った数少ない日本のオーディオブランドとしての地位を固め、再び高級ハイエンドスピーカーやアンプなどを手掛けている。
マニアの間には「何を選べばよいか迷ったらオンキョー」というようなレジェンドが広まる程、突出した個性的な音色こそ無いがどの製品を買っても後悔することはない。
ただ、私的には70年代のセパレートアンプや90年代前半までのミドルクラスのプリメインアンプの「インテグラ」シリーズの音色が好きで、サンスイトーンに近い中低音の締まった音が何とも言えない味を醸し出してくれるのです。
また、最近の小型ブックシェルフスピーカーのD-212EXはセットで7万円前後という価格ながら、中型ブックシェルフかと思わせるようなメリハリのある音質で、バージョンを変えながらロングセラーを続けています。
上位の412とは遜色ない音であり下位の112とは別次元の音です、そういう意味では価格とのバランスでハイ・コストパフォーマンスなスピーカーの一つと言えます。
YAMAHA(ヤマハ)は、現ヤマハ株式会社のオーディオ・AV製品のブランドである。
祖業会社は、1897年(明治30年)に日本楽器製造株式会社として静岡に創業し、以後楽器製造、オートバイ、自動車関連製品などを手掛け、創業90周年に当たる1987年にヤマハ株式会社と改称する。
1960年頃からエレクトーンなどの電子楽器を手掛けるようになり、電子楽器のPA用アンプやスピーカーなどヤマハのオーディオ部門はここから徐々に拡大されるようになる。
尚、1969年にはピアノの発売数世界一となり、世界にヤマハブランドが浸透するようになる。
特に有名なのが電子音源に関する世界スタンダードであるMIDI企画の制定企業として認定されたことで、その後デジタルオーディオ分野においてもデジタルアンプICなど、現在のオーディオには無くてはならない名ICを数多く創出してきた。
1970年代に入ると、PA用のオーディオ製品の技術を生かしてハイファイオーディオ分野にも手を広げ、高級ハイエンドのセパレートアンプなどで、オーディオファンを魅了し続けた。
B-1に始まるBで始まるパワーアンプは今でも大人気で、真っ黒な冷却フィン丸出しのまるでエンジンのようなB-5はヤマハハイファイアンプの頂点を極める。
その姿からは想像できない優しい音色はヤマハサウンドと呼ばれ、クラシックやポップスファンには特に好まれる傾向にある。
ジャズやロックファンは、どちらかというとヤマハプロフェッショナル製品であるPA用のアンプの音色の方を好む傾向にある。
楽器メーカーが手掛けるオーディオとして数々の名オーディオ製品が誕生したが、1976年に誕生し大ヒット・ロングセラーのハイエンドプリメインアンプCA-2000は、その後のヤマハオーディオスタイルを決めてしまうような音色でありデザインも非常に美しい。
スピーカー部門では、NS-1000が世界中の放送局のスタジオモニターとして採用され、高級ハイエンドスピーカーながら空前の大ヒットスピーカーとなる。
今も尚中古市場では、CA-2000とNS-1000は当時の販売価格以上で販売されている。
アンプはCA-2000、スピーカーはNS-1000がヤマハサウンドの原点であり、その後の製品の音色の傾向が決定された製品と言っても過言ではない。
第一次オーディオブームの70年代から、今も尚継続して多くのオーディオ製品を出し続けている数少ないオーディオメーカーの一つである。
Luxman (ラックスマン)は、大阪で1925年にNHKがラジオ放送を開始すると呼応するように創業し、後に日本を代表する高級ハイエンドオーディオメーカーとなる。
1925年に錦水堂額縁店のラジオ部としてオーディオ事業を開始、翌1926年に「Lux」ブランドとして真空管ラジオの製造・販売を開始する。
1958年に6CA7を最終段とした初の真空管アンプを発売する、当時のソースは全てモノラルだから当然モノラルアンプであった。
1961年に社名をラックス株式会社と改め、本格的なオーディオメーカーとしての路線に舵をとる。
また、同時に初の真空管プリメインアンプSQ-5Aを発表し、その後も続々と特許取得した独自回路を用いた真空管アンプを発表し続ける。
1963年、ラックストーンと後に呼ばれるきっかけとなる名機SQ-38が誕生する。
1970年代には、その後継機SQ-38FD~SQ-38FDⅡを出し今も尚多くのファンを持つ真空管プリメインアンプの大御所となる。
1981年、カーオーディオメーカーであるアルパインの資本傘下に入り85年から90年代初頭までALPINE/LUXMAN(アルパインラックスマン)のブランドで製品を出す。
この5年間には、世に言う798戦争に参加するなど製品も企業戦略もラックスマンらしからぬ痕跡を歴史を残し熱狂的なファンを失望させる、所謂ラックスマン空白の時代でもある。
90年代中盤以降は、再びラックスマン本来の姿勢を取り戻し多くの名作を世に出し続け、2000年にはラックスマン株式会社を分社化しLuxmanブランドを引き継ぐ、同時に本格的真空管アンプの製造を復活させる。
ラックスマンは次代を先行し、多くの日本オーディオメーカーを誕生させた立役者である。
海外ではマッキントッシュやマークレビンソンと並ぶオーディオブランドを確立し、多くのファンを魅了し続けている。
尚、当時の真空管アンプの音色をトランジスタ時代になっても受け継ぎ、賛否両論は有るものの「ラックストーン」は一つの文化を形成した事は間違いない。
アキュフェーズと共に、日本を代表する高級ハイエンドオーディオブランドとして、今も尚生き続けるオーディオブランドの巨匠である。
DENON(デノン)は、株式会社ディアンドエム・ホールディングスのオーディオブランドの一つである。
「DENON(デノン)」の由来は、東京で1939年創業の「日本電気音響株式会社」を短縮して「電音(デンオン)」と呼んでいたことによる。
1963年、日本電気音響株式会社は日本コロンビアに吸収され、DENON(この当時はデンオンと発音)ブランドで数々のオーディオ製品を世に出します。
2001年に株式会社デノンが日本コロンビアから独立し、現在の「DENON(デノン)ブランドが確立します。
翌年の2002年には「marantz(マランツ)」と共同の持ち株会社ディーアンドエム・ホールディングスを設立し、同社は世界的な2つのブランドによるオーディオ製品を世に送り出すようになります。
デノンは、ホームシアター部門でのAVアンプでは世界で最速のドルビーサラウンドを取り入れた製品を出して以来、常に最新のドルビーサラウンド方式を取り入れたAVアンプを世界最速で出し続けています。
また、1980年代後半にデジタル音源というオーディオ革命の際にも積極的にDACを搭載したプリメインアンプPMA-780Dなどを出し、時代の変化をいち早く取り入れていったオーディオブランドと言っても過言ではありません。
PMA-2000シリーズなどは別にしてマニアが好む名機と言った製品は殆どないのですが、逆に酷評されるような失敗作もありません。
常に世に送り出す製品は一定の水準以上であり、絶賛はされなくも高評価の製品ばかりです。
DIATONE(ダイヤトーン)は、三菱電機のオーディオ部門のブランドとして1946年に登録商標として初めて使われた。
製品第一号はスピーカーユニットで、旧陸軍の余剰物質を再利用して作られたP-62Fである。
1960年にはP-610を発表し、現在も尚名ユニットとして世界中の中古市場で高値で取引されている。
P-610は、16Cmフルレンジで磁性体に強磁性体で知られるアルニコを使い、軽量で有りながら迫力ある音を醸し出した。
NHKとの共同研究により業務用モニタースピーカーシステムを手掛け、その音色は世界中で絶賛されダイヤトーンはグローバルブランドとなる。
その後、スピーカーシステムにはDSという製品名を付け、多くの名作を世に出し続ける。
また、ユニットのOEM供給等も行うようになり、スピーカーメーカーとしての地位を揺るぎないものとしていく。
特に、1990年代におけるDS-1000はハイエンドスピーカーにも関らず、大ヒット&大ロングセラーを達成し多くのマニアを唸らせた。
尚、1970年代からアンプなどのスピーカー以外の製品も手がけていたが、1987年以降はスピーカーに特化するようになるが1999年に一旦オーディオ部門から撤退する。
2017年の70周年アニバーサリー商品としてセットで120万円と言う高級ハイエンドスピーカーを出すも、その後は新製品の発表は行われていない。
最後に記しておくと、ダイヤトーンスピーカーの音はJBLやアルテックと並んで私の最も好む音色であり、サンスイやオンキョーのアンプとの相性は抜群である。