売れ残って在庫になってしまう商品を「もったいない」と思う気持ちと、本当は売れるはずなのに商品がないため売り損じてしまって「もったいない」と思う気持ちを比較してみましょう。
多くの人は「売れ残って在庫になってしまう商品」に気持ちが行きがちになります、何故なら「売れるはずなのに売れていない商品」というのは目に見えるからに他なりません。
本来なら月に1000個売れるはずの商品なのに500個売れたことに喜んでしまい、商品不足により未来に売ることができなかった500個のチャンスロスに気が付きません。
他方で100個仕入れて900個を売り100個在庫になってしまったとしたら、その売れ残った100個を目の当たりにして次は900個を仕入れその次は800個と仕入れ数を減らしてしまいがちです。
人は多分にチャンスロスよりも在庫ロスに気持ちが行きがちになる本能があります、それは目に見える失敗を自身が意識せざるを得なくなるからに他なりません。
それならば最初から売れ残ることを計算して利益をを最大化する方策を考える必要があります、これが成功する戦略経営手法なのであり最初から計算されたロスをサンクコストと呼びます。
また商品だけではありません、飲食店での食材不足やサービスでの人手不足にも同様のことが言えます、全ての業種において「チャンスロス」を意識した経営戦略が重要不可欠ということです。
どんな業界にも存在する状況を示すステージサイクルを正確に掴んで経営に活かさなくてはいけません、業界に限らず以下のようなステージサイクルが存在しています。
1.カオス期
ポツンポツンと小規模な活動を興す人が表れ思考錯誤で細々と事業を営んでいる状況。
2.黎明期
その中から何社かのリーダー的存在が表れ業界を形成し始める状況。
3.成長期
リーダー的企業の何社かブレークし業界マップが明確に形成され市場規模が膨れ上がってくる状況。
4.拡大・安定期
トップ企業数社、中堅企業数百社、それに群がるサードパーティが数千社を越え、市場規模も拡大し誰もがその存在を知る状況。
5.衰退期
トップ企業や中堅企業から倒産する企業が現れ徐々に市場規模が縮小してくる状況。
6.低位安定期
大型倒産が落ち着き市場規模が落ちるところまで縮小した後、しばらく小康状態が継続する状況。
7.復活期
新たなるリーダー的企業が忽然と現れ、新商品やサービスを引っ提げて業界を再度活性化させ市場もそれに連れて復活してくる状況。
以後3~7を一定のサイクルで繰り返すことになります、あなたの参加している業界は今どの状況でしょうか、業界全体の状況を正確に把握して今何をすべきかの経営戦略を立てて行動することが肝要です。
1年も着ていない服を大事に保管しておいても多分着ることはないでしょう、他にも一度使わなくなったものは存在すら忘れてしまってほとんど使われることもありません、多くのビジネスにも同じことが言えます、例えば収集したサービスや商品の資料の多くは年末に捨てることになります。
何時か何かに使えるかもという「とりあえず保管しておく思考」、それは多くの場合に幻想にすぎないことを40年の経営経験で学んできました、ここで不要なものを取っておくデメリットを考えたことがあるでしょうか?
一番のデメリットは使われないものを何かの拍子に目にした瞬間に蘇る記憶です、これに現在新たに生まれた思考が囚われることがあるのです、もう一つはその保存スペースの問題があります、引き出しやクローゼットなどの多くの保管場所を取られてしまいます。
人間には処理能力のリミットという限界点があります、例えば人付き合いのリミットは同時期に最大20人が限界という説があります、つまり新しい付き合いが始まれば誰かがはじき出されてしまうことになります。
事業推進等に関すれば同時に最大4つという説があります、つまりこれもそれ以上の何かを始めれば何かがアイドリング状態になるということです、百戦錬磨の経験者はこのリミットを正確に読んでおり幾つかの集中する事業以外を事前にアイドリング状態にしておき優先する事業に思考とリソースを投下します。
何事も自身の能力や器を知って欲張らないこと、それよりも優先すべき人や事項にパワーをかけたほうが効率的です、そして多くの付き合いや事業を同時並行させる術を身に着けることです。
それを可能にする術が組織行動という魔法のシステムなのです、つまり自身の分身を多数作る以外にないのです、私は起業する人に「一人前の経営者になりたいのならアルバイトでもいいから従業員を雇うこと」だと言います、「誰かの生活を担っている」というプレッシャーが経営者思考を磨きより効率良い経営思考を身につけることができるのです。
私が考案し一時期サービスとして事業化していたたブランディング手法である「オンリーワンブランディング」とは、その人独自の事業を確立しブルーオーシャンを悠々と泳いでいただくことを最大の目的としたサービスでした。
事業というのは一時的なお金を得るための存在ではありません、未来永劫お金を生み続けることが肝要なのです、世に存在している自称ブランディングプロデューサーなどが展開する一瞬の「良い思い」を創造することを目的とした手法をブランディングとは呼びません。
ここで「ブランディング」とは「CI(Corporate Identity)」の一つの手法で「顧客の信頼を得て企業価値を高める企業戦略」を指し、決して安易にブランドを作り上げて知名度を上げることではありません、ちなみに「CI」とは「統一されたイメージやデザインによって企業文化を構築し価値を高めることによって顧客と利益を共有する」というのが最終目的です。
巷にはこのどちらでもない「ファンを増やし有名になって集客に活かす」というSNSを使って知名度を上げるのが目的の似非ブランディングが横行しています、これらはブランディングでもCIでもマーケティングでも何でもなく仮想空間上でカリスマを作り上げては自己満足させてあげるのが関の山です。
ブランディングに必須である「継続してお金を生み続ける手法」を指導するわけでもなくビジネスには無関係の結果しか残りません、経営とは未来永劫継続するものです、つまり瞬間の名声ではなく継続した事業を通して信頼と実績を勝ち得ていかなければなりません。
商品やサービスの信頼は一過性のものではなく進化しながら顧客満足度を維持していかなければならず、これが企業の第一義である「企業価値向上&顧客満足度」に繋がるのです。
企業価値とは代表者が有名になることではありません、継続した信頼感から自然に口コミなどによって商品やサービスの知名度が上がるようにするのが本物のブランディングであり経営者が真剣に考えるべき事項なのです。
自身が有名になりたいのであれば法人を作る意味も持つ意味もありません、個人事業主やフリーターの方が法的な柵もなく余程上手くいきます、経営者であるなら事業と企業の価値と信用力を向上させ継続させることに時間と労力をかけていただきたいと願うばかりです。
今の職業はあなたに向いていると思いますか、それしかできないと思いこんでいて他にできることを考えないようにしていませんか?
実はいろいろな経営者や起業したい人と接してきてあることに気付きます、それは自身ができる事と向いている事とを違う次元で考えているということです、「これをやろう!」と思って起業しやり続けてきた結果において充分な利益が出て経済的に自立できているでしょうか?
「石の上にも3年」と言います、これは最低でも3年続けてみないと上手くいくのか否かは解らないということです、逆を言えば3年以上同じ事を続けてきて充分に利益が出ていないのであれば今後も上手くいく可能性は極めて低いと言えます。
好きな事とできる事、更には向いている事とはイコールではありません、まずはやり出した事業を最低でも3年は続けてみることです、それで黒字転換できないようであれば今度は潔く事業変革すべきです。
変革できない人の多くは「それしかできない」と勝手に思いこんでいます、でも私から見ればもっと別の才能を観て取れます、才能や能力は自身の武器、でもそれでお金を得ることは別次元のテクニックが必要なのです。
こればかりは腕を幾ら磨いても経験を幾ら積んでも身につくものではありません、逆に言えば技術も経験も無くても成功できる人は事実沢山います、やりたいことで成功するには腕を磨くよりも稼ぐテクニックを学ぶことのほうが如何に重要であるかということです。
絵の上手い人は沢山います、でもその人たちの絵は売れていますか、ビジネスは技術や能力ではないのです、経営者が学ぶべきものは違う次元にあるということを理解すべきです。
技術も経験も人脈も無くても幾らでも稼げます、それを持っている人と強い信頼関係を築くだけで全ての事が一瞬で進みます、もっともそういう人と信頼関係を得るのが物を作る以上に難しいのですがクリアさえすればやりたい事で事業化し利益を出せるのです。
「稼ぐテクニック」というのは実は経営そのものだということです、全てを備わっている人と組めるかどうかも重要な経営です、起業したのなら経営者として経営をしっかり行ってほしいと思います。