経営者は戦略をもって経営にあたる必要があるというのは言うまでもありません、では経営者が「戦略」を決定する際に重要なポイントは何でしょう、起業したての頃は理屈よりも行動力などの「勢い」が必要です、起業家が一番最初に欲しがるのは「売上」であって「利益」ではありません、まずは売上げることを目指さなければ生きていくことすら厳しい状況になります。
しかしそれはごく最初だけです、事業が軌道に乗りだし順調に上向きに推移していくようになれば会社として次の階段が待っています、それは「黒字転換」です、この段階までくればある程度自身の本当にやりたい事や会社とその市場の状況も見定めることができるようになります。
おそらく本当に戦略が必要になってくるのはこの段階からです、ではどうやって長期の成長路線への戦略を立てていけば良いのでしょうか、重要なのは自分を正確に理解することです、そして自分に無理をしないゴールを決めることです、ゴールは走る方向とスケジュールが無くては成り立ちません、それが定まれば何時までに何をしなければならないかの具体的な計画も見えてきます、これが戦略策定の第1歩です。
続いて自社の持ち得る戦力を正確に把握することです、資金はどうか、有益な情報を持っているか、優秀なメンターやパートナーはいるか、ビジネススキームはどうか、それらを正確に把握することで取れるアクションの範囲が把握できます、こうして出来上がった戦略はビジネス関係者と市場に受け入れられるものでなければなりません。
自身がどんなに音頭をとったところでビジネス関係者や市場にそっぽを向かれては折角の戦略も台無しになってしまいます、折角作った戦略を周知徹底するためにも経営者はここで意識を改める必要があります、経営者自ら変化することで戦略を実行できるか否かが問われるからです。
成長ではなく変化に順応する、戦略の浸透もまた会社を大きく変化させるものであり、そのためには経営者自らが変化していく必要があるのです、成功する企業には必ずどこかで起業当初の「思い入れ」をひっくり返すような大胆な経営改革が不可欠となります、それを含めた成長戦略が必須なのです。
生活様式の変化から現在経済環境の大変化が起きています、こんな時代は状況の変化にいかに素早く対応し適応できる体質を作りあげられるかが求められます、状況の変化に耐えうるという点においては小さな企業に分があります、大企業には体力がありますが組織が大きい為の劇的な変化に対応するスピード感に欠けています。
恐竜が滅びたのは隕石落下のインパクトによる環境の変化に対応しきれなかったからであり体の小さい哺乳類が急激な変化に耐え抜き現在繁栄の時代を迎えています、つまり環境が急激に変化する状況において必要とされるのは強靭さでも体の大きさでもなく変化に耐えうる体質かどうかだけなのです。
大企業はこれまでのやり方に慣れてしまっているために変化に対応するとなると莫大なコストと労力を払わなければなりません、しかし組織が小さければ現在進行形で試行錯誤を重ねられるため状況に合わせて素早く形を変えていくことができます。
もし個人レベルの企業が大企業に勝つことができるとしたら経済環境が劇的な変化を遂げている今しかありません、未来思考で現状を正確に把握し会社の在り方を変えてゆけるかがこれからの時代の勝敗の分かれ道となります。
大企業が対応に追われている間に素早く順応し次の時代へ向かう準備とアクションを起こした企業こそが次世代のリーダーとなれるのです、中小企業や個人レベルの企業が大企業を飲みこむチャンスは今まさに目の前に迫っています。
近年の住宅数は年々増加傾向にあり6000万戸を超えますが一方で空家率も15%に迫る勢いで総住宅戸数の伸び以上に増加しています、空家問題は都市部と地方では問題の本質は異なるのですが数年前から表面化しつつあるのに何故これが大きなビジネスにつながらないのでしょう。
真っ先に思いつくのは安価で購入しリフォームしてから賃貸にする発想ですが問題はそう単純ではありません、もしその空家に家族の思い出が詰まっている場合には売却と同時に遺産を廃棄するという行為そのものに躊躇してしまうでしょう。
また更地にして売却する場合は固定資産税が跳ね上がることになり、これも躊躇する理由の一つとなっています、住宅の撤去やリフォームに国や地方自治体が助成する制度はありますがあまり名の知れていない一般企業がこれらの話を空家オーナーにしたところで説得力がなく上手くはいきません。
結論を言ってしまえば空家オーナーが動かない一番の理由は様々な「厄介事」に巻き込まれたくないという事情からなのです、つまりこれらの「厄介事」をすべて引き受け収益を上げる構造を作り上げた人が「空家ビジネス」の勝者になれるということです。
しかし構想から実際にビジネスとして動き出した場合に想定以上の問題があらぬ方向からやってきます、経験が無いと伏兵が何処に潜んでいるかが解らないのです、ビジネスアイデアを思いつくのは簡単です、しかしビジネスの流れをリアルに想像しリスクとトラブルを考え実施するとなると普通の人にはかなり難しいと思います。
ビジネスを興すこと自体がリスクとトラブルは必ずついて回ります、 それらをいかに想定し事前に予防線を張れるかどうかが成功する経営者とそうでない経営者の分かれ道となります、発想と行動は大胆に計画は始終極めて慎重に細部に渡り熟考することが肝要です。
私は28歳で起業以来常に複数の法人を経営してきました、そこで必ず聞かれるのが「何故同時並行して多くの企業経営や事業を行えるのか?」というものです、逆に私からすれば「何故同時並行していろいろな事ができないのか?」となります。
つまり私にとってはこれが40年間に構築された自身のビジネススタイルであり何も特別なことではないのです、むしろ同時並行の障害よりも一つに集中するリスクの方がはるかに高いことを知っているのです。
考えてみれば解ります、たった一つの事業が大きな障害によって収益を生まなくなったらどうなるでしょうか、対して異なる事業を複数同時並行して行うメリットは大きいものがあります、複数の人生を同時並行して体感できるのでいろいろな業種のノウハウが同じ時間に収集できメイン事業にも活かされます、その事業を実際に行った者だけしか解らない感覚的なことも把握できるので極めてピンスポット的なニーズにも応えられます。
ここで複数同時並行して事を成すための秘策は人です、各事業のバックヤードには必ず阿吽の呼吸で任せられる人を配置しています、そして固定報酬を払う人以外に何時でも業務委託できる信頼できるパートナー企業の存在があります、まさに「人は城、人は宝」なのです。
思ったような成果が出なくても報酬は払い続ける、経営的にはかなりきついのですがいざという時の保険となります、保険の存在があるから思い切った経営方針を何時でも打ち出せるのです、方針決定後の初動が極めてスピーディなのです。
そして極めて短期間に成長路線へローンチできます、更にはここぞの時にはいつでも結集させることができるので事を成す時の爆発力は半端ではありません、どんなに優れた能力を持った人でも一人で行える事などたかが知れています、「人は城、人は宝」、経営者が一番に考えなくてはならない事項がこれです。
バブル崩壊から三十数年後の今、日本の企業はようやく「喪失感」から目覚めつつあるように感じます、気が付けば急成長&グローバル展開を遂げている企業が多数あります、これらの企業に共通する点は「顧客の本質を捉える目線」です、「安くても質の良い物」という顧客ニーズを見事に捉えて具現化させています。
顧客の求めているものと自分自身の提供したいと思う物が一致すればヒットに繋がり、一致しなければ相手にもされないというのが商品の宿命です、中小企業に多いのが世の流れを読むでもなく先に製品を作ってしまうケースをよく見かけます。
商品はアイデアや思い入れだけでは売れません、重要なのは商品やサービスが「どこを向いて作られているのか」ということです、「良い物だから売れる」、この発想から離れないと売れる商品を作る事はできません、「売れるものを世に送り出す」という発想が重要なのです。
売れるものとは市場が必要としているものが何かを熟知し「買いたい」と思わせるまでの心の動きを掴む一連のシナリオが根底にあります、つまり売れる根拠が重要なのです、まずはその商品を気持ちよく使っている姿やサービスに満足している姿が提供者に見えているでしょうか?
成功している企業は一連のシナリオが実に巧妙にできています、コマーシャルによるイメージつくり、店内のムード作り、接客方法、値決め、値下げのタイミングなど全てにおいて完璧に計算されつくされています、いかに優れた商品やサービスであっても市場の求める小さな「変化」を読んで提供できなければ意味のないものと化してしまいます。
商品そのものの良さに加えて見せ方・売り方など全てを含めバランスのとれた商品やサービスが最終的に消費者に選ばれます、商品やサービスを作り上げることだけに必死になりユーザーの心を置き去りにしていてはいつまで経っても売れないのは至極当然のことなのです。