2024年8月 6日 09:00
私は正直過去2回しか陶芸を経験したことがありません、1回目は中学の美術の授業で、もう1回は韓国で長期滞在した際に青磁の里で体験しました。
つまり私は陶芸そのものに興味が有るわけではないのです、ここでいう陶器とは土を焼いた物質、つまり素材として昔から興味を持っているのです。
テーマに「陶器」をあえて使いましたが内容的には「焼きもの」もしくは「セラミック」、つまり「ニューマテリアル」としての意味において使ったのです。
私が長年研究したいと思ってきたきっかけは鉄よりも堅いセラミックが誕生したからです、セラミック製の包丁などは永久に砥ぐ必要もなく歯こぼれもありません、そして何時までも切れ味が継続します、最近では磁気に影響されないので医療や音響装置への応用も各方面で進んでいます。
金属は電気を通し電磁波の影響を受けます、しかしセラミックはその性質が一切なく電気的性質を遮断したい時には便利な個体となるのです。
また土を厳選した素焼きの板は多数の空間によって保水性と浸水性を持ち合わせており、魔法の板として各分野で扱われています。
火に強い、どんな形も簡単に作れる、一度焼くと変形しない、保水性がある、浸水性がある、通気性がある、こんな性質を持ち手軽にしかも安価に作れる素材は他にありません。
例えば日本の芸術として世界的に名の知れている盆栽ですが、ここに使用されるのは全て素焼きの鉢です、これは保水性と浸水性、そして通気性という性質が有るからこそ使用されるもので他の物質で作られた鉢では根腐されを起こしてあっという間枯れてしまいます。
水はけが良く、適度な水分を保ち、通気性があるからこそ何年間も土を入れ替えなくても鉢の土の中に好気性バクテリアが繁殖し腐敗菌を寄せ付けなくしているのです、こういった特徴的な性質をもっと有益に活用できないのかと考えているのです。
これはあまり知られていない事実ですが、素焼きの鉢や瓦の破片を水の中に入れると細かな穴に好気性バクテリアが生息するようになり、有害な有機物や化学物質をシャットアウトする浄水フィルターとなるのです。
つまり工場で製造途中で割れてしまった物でも捨てるのではなく使い道が多数存在しているのです、こういった多くの特性をもっと引き出すような改良は幾らでもできるように思うのです。
土の種類を選ぶことにより、中に混ぜ込む素材により、形状や厚みにより、こんなことを考えているとアイデアは幾らでも出てきます。
最も古くから有る最も新しい素材、その製造ノウハウと応用事例、これができ上がれば大きな素材として存在感を表します、まさに「温故知新」、新しきを生むには古きを訪ねることにヒントが隠されているかもしれません。