2024年7月 2日 09:00
アトピーなどの皮膚疾患や精神疾患も摂取した食品の消化分解不良によるところが大きいことが病理学的にも解ってきています、食品の完全なる消化分解が実は健康には欠かせない事項なのです。
これを促す食品は何かを研究して辿りついたのが醗酵食品だったのです、つまり醗酵食品は「医食同源」どおりに「食べる薬」といっても過言ではありません。
醗酵食品は多数あります、麹や酵母による味噌・醤油・酒・酢、そして乳酸菌によるヨーグルトに漬けもの、納豆菌による納豆など、また自身の消化酵素によりたんぱく質を分解し旨みが増す熟成ハムやチーズなども広義で言う醗酵食品と言えます。
ところで「醗酵」とは何でしょう、これを明確に答えられる人は少ないと思います、例えば醗酵を促す「酵素」は実はアミノ酸の一種であり微生物ではありません、しかし多くの人は麹や乳酸菌などと同様の菌の一種と勘違いしています。
「酵素」も菌類と同様に食品の栄養素を分解し別の栄養素に換える働きがあり、分解過程では二酸化炭素や水が発生します、醗酵を各種調べるとそれはまるで化学の世界で栄養素の分解過程も全て化学式で表すことができます。
そして「醗酵」には酵素の他に菌類の存在があります、人類発祥前から地球に存在していた生命体である菌類は実は我々人間にとっては欠かすことができない存在だったのです。
さて「醗酵」の原理を知る上で大変参考になるのが醤油の製造過程です、蒸した大豆と焙煎した小麦に塩と水を加えます、そこに「麹」を入れると「1次醗酵」が始まります。
しかしこの「麹」は初期段階に活躍する菌であり醤油を作る過程のわずか10%程度の役割しか果たしていません、「醤油は麹が命」というのは間違ってはいませんが麹はあくまでも醗酵過程の一部にすぎないのです。
大豆と小麦がまず「麹」によってアミノ酸に分解されていきます、これが旨み成分の基となります、ある程度まで分解されてくると塩分と酸によって「麹」は全て死滅してしまいます。
そこで今度は「麹」によって閉じ込められていた「乳酸菌」が「醗酵」を引き継ぎます、「乳酸菌」で分解されてきた食品は自ら保有していた「酵素」によって更に液体に近いところまで分解します、「乳酸菌」が増えると変わって発生するのが「酵母」です。
これも醗酵菌の一種でアミノ酸から分解された糖を酢酸やアルコールなどに分解します、お酒のアルコール成分はこの「酵母」を用いて糖を分解させ生成しています、最後に誕生した「酵母」は更に醤油にまろやかにし旨みと香りを加えて美味しくなるのです。
この状態で加熱し殺菌と醗酵を止め瓶詰めしたのが醤油となります、醗酵を止めずにそのまま置いておいても菌が食べる栄養素がすべてなくなると自然に醗酵を止め雑菌も繁殖せずに安定します。
「醗酵」の化学、要領さえ解れば「麹」を使わなくても乳酸菌で代用できますし食品に含まれる「酵素」だけを用いることもできます、要は実際に自身でいろいろやってみることです、見えない菌も慣れてくると状態を見て匂いを確認するだけで何が行われているのかということが手に取るように解るようになります。
カビも雑菌も繁殖させずに醗酵だけ正常に行う方法も解ってきます、要は「菌」や「酵素」と仲良く素直に向き合うことです。
本当に不思議なことが多々起きます、同じ日に同じ器具を使って作った原料を同じ入れ物に入れて同じ所で保管するのですが、醗酵の進み具合はまるで異なるし場合によっては全滅する容器も出てきます。
現在では麹や乳酸菌などの菌類を培養しています、これらを使ってこれまでに存在しない新たな醗酵食品を作ることを日々愉しんでいます。
そのまま食べてもおつまみに、料理に使えば調味料に、そんな手軽で美味しい発酵食品のオリジナルレシピを考えただけでもワクワクするのです。
醗酵は人間の身体の中でも行われ消火吸収の手助けをします、醗酵食品は身体に負担をかけずに消化吸収が行える健康食品なのです。