2024年2月19日 09:00
農業を意識的に考えるとき、一つは土作りからオーガニックを目指して行う本来の農地作りなのですが、もう一つ研究してみたいと思っている事があります。
それは野菜の水耕栽培工場です、現在積極的にこれに取り組んでいる農家も多くなってきました、最近は農業とは全く関係無い事業を行っている精密加工メーカーやITベンチャーなどが新事業として水耕栽培農業に取り組んで一定の成功を収めている例も少なくありません。
水耕栽培工場は何処にでも作ることができます、例えばビルの屋上や工場の空き地、また廃校になった校舎などやろうと思えばどこにでも作ることができるのがこの水耕栽培の魅力です。
更には給水や排水に液体肥料の添加などほぼ自動です、そして人工のLED照明により畑でつくる数倍の速さで栽培できるのです。
最近は上下巡回式の設置面積を取らないロボット型が登場し、小型化すればマンションのベランダにも簡単に設置でき、3~4人家族であれば一家で消費する葉野菜を年間を通して補えるほどの本格的な家庭菜園があっという間に出来上がります。
水耕栽培の良さは管理しやすいこと、虫が付かないこと、農薬を一切使わないことが上げられます、つまりは無農薬野菜が手軽に収穫できるのです。
ただし弱点もあります、それは野菜本来の強さをもっていません、この野菜の強さというのは土の中で野菜の根は常に土壌菌やバクテリアと戦っています、それに対抗するために各種の対バクテリア毒素を作り出すのです。
この対バクテリア毒素こそ人間にとっては健康維持のための微量栄養素であるフィトケミカルとなるのです、つまり薬効成分であり野菜独特の癖のある味となるのです。
これが水耕栽培だとほとんど得ることができません、したがってビタミン類やミネラルと食物繊維を取るためだけの食材となってしまいます。
そこでこれを解決する工夫が必要になってきます、その意味でも現在各種の常在菌や水浄化菌類などをベランダ菜園と共に研究しているのです。
常在菌を培養するために各種の土質の調査研究、腐葉土の培養、そしてその配合などを何種類かの植物で試しています。
水耕栽培は土を全く使わずして土の中と同じ環境を水の中に作れれば良いわけなのですが、ただ多くの水耕栽培を提案している機械メーカーは無菌を売りとしていて雑菌を繁殖させないことに必死になっています。
何か方向が違うんじゃないかと思うのです、もっと自然の法則に素直に目を向けた方が良いんじゃないかと思うのです。
つい先日も大きな水耕栽培工場で何かの雑菌が用水に入り込み、工場の野菜全てが全滅したという話しを聞きました。
強い野菜は多少の腐敗菌などでは腐りはしません、むしろ丈夫で栄養価の高い野菜に育ちます。
ここでも常識からは成功のヒントを生みだすことはできません、どうしても避けられないものであれば逆転の発想で積極的にそれを利用する、これが成功する基本なのです。
どんな事項にも陰陽の状況が生まれるものです、陰陽のバランスを取ることが重要であり、どちらか一方を排除したらそれは存在しないも同様となります。
土の自然農法でのオーガニック農園では肥料は鶏糞がメインです、これにより植物の栄養素だけではなく土壌菌も活性化するのです。
水耕栽培では鶏糞は使えません、ではこれに変わる同じ効果のある天然素材は何かということになります。
この答えは実に簡単です、水草や水辺の植物の栄養素は何かということです、もっと言えば水田はどんな環境が良いとされているかということです、この自然の食物連鎖サイクルを機械によって自動化すれば良いのです。
誰しも思い付くのは鶏糞でなく魚糞を使うという思考になると思います、しかしこれは水があっという間に腐敗して一発で終わります。
また腐敗菌は何とか薬品で取り除けても本末転倒で常在菌も死んでしまいます、更には野菜に必要な栄養素が違います、魚糞を使うにも多くの知識とテクニックが重要になります。
熱帯魚を飼っている人ならこの問題を解決できるかもしれません、ヒントはここでも菌(アンモニア分解バクテリア)の存在が重要になります、有機物を分解して植物に必要な栄養素を作り出してくれる菌の存在が重要なのです。
ですから、先の水耕栽培機器メーカーのように無菌を研究するのではなく、菌を積極的に活用しなくてはいけないのではないかと思うのです。
どんなことでも経験が活きてきます、そしてこの実験は早々に開始したいと考えているのです、というよりも既に仕組みは設計済みであとは実験装置を作ってやってみるだけです。
取り急ぎ、食用タンポポや水の与え過ぎで枯れると言われている多肉植物で水耕栽培の初期実験を行っており、単独飼育では大いに満足する結果を得られ各種のノウハウが蓄積されました。