2024年1月 9日 09:00
昔から私の道楽事に法則性があるとすれば、それは思い付いたら既に行動しているということです。
「多肉植物」も将来どうするのかなどという気持ちは微塵もなく、気が付いたら大量に購入して育てていたというのが事実です。
梅雨明け間際に毎日のように大きくなった多肉植物を一回り大きな鉢に植え替えたり、観賞用のガラス容器に寄せ植えして愉しんだりして気分転換にもなっているようです、さながら休日は伸びすぎた茎の剪定や枯れた葉の手入れに植え替えとあっという間に多肉植物のお付き合いで半日が終わってしまいます。
多肉植物で昔から知られているのは「カネノナルキ」や「アロエ」です、これらも確かに多肉植物の仲間ですが私が好きなのはサボテンから進化の過程にある原始的な種で、形状や自己主張する多様性が何とも言えない妙味があります。
食ビジネスのラボのベランダやラボ内に40種を超える多肉植物が所狭しと置かれています、最近では葉や茎の一部からバイオ研究所のように器具を使って成長点の核を取り出しガラスの器の中でクローンを幾つも誕生させては育てるのが面白くて飽きません。
最初は虫眼鏡でやっと見えるような小さな命、小さいながらも親と同じ形をしているのが何とも不思議な愛らしい感覚です。
多肉植物は現在日本で簡単に手に入るものだけで約200種、全世界には2000種を超える種が存在していると言われています。
多肉植物の多くはアフリカや東南アジア原産で、サボテンから草本に進化する過程で何故か種が固定してしまい今に至るまで細分化しながら種の保存に成功している奇妙な植物です。
葉や茎にはサボテンと同様の水分を貯める器官が存在し、土にまったく水分が無い乾燥状態でも1ヶ月以上は枯れないという生命力を持ち合わせています、大きく育った株ものは半年以上も全く水を与えなくとも乾燥と暑さ寒さに耐えながら生き延びることができる奇跡の植物です。
自然界では砂漠地帯や岩がゴロゴロしているような環境に自生しており、そのため育てるのに肥料も頻繁な水やりも不要なので現在では観賞用に世界的に人気が出ている植物です。
手間要らずで私には物足りなさも感じますがちょっとでも水やりのタイミングを誤ると一気に根ぐされを起こしてあっという間に葉が落ちドロドロに腐ってしまいます、そのくせ水耕栽培のように水の中に突っ込んでおいても枯れずに別の根を出して成長していきます。
放っておいても枯れない植物なのに一度でも人の手によって育てられれば別の植物に進化してしまうようです、こんな小さな植物ですが現在日本では積極的に改良が行われており高価な物では直径8cmの鉢物で50~100万円もする希少品種も存在しています。
過日、日本で生まれた高級品種が栽培業者のビニールハウスから300鉢全て盗難にあったというニュースがありました。
さて、こんな多肉植物を大量栽培して売るなどという発想はまったく起きません、きっと何時か農業に関する道楽か何かの役に立つ、だいたいが私の道楽とはそんなものなのです。
何かの目的を持った瞬間に道楽はストレスの対象に変わります、道楽は天からメッセージが届くまで目的も期待も持たず、ただただ粛々と愉しんでいればよいのです。