2024年11月13日 08:00
株式会社ファンシーフーズの食材事業、そこから派生して現在多くの食材と食に関する事業が乱立気味です。
ところで、そんな日々で強く意識するようになってきたのが、自身の手でオーガニック野菜を作りたいという気持ちです。
以来、そんな思いを抱きながら全国の農地を視察しては、具体的なイメージを自身の頭の中に作っていたのです。
その一つは、土作りからオーガニックを目指して行う本来の農園創りなのですが、もう一つ研究していることがあります。
それは、野菜の水耕栽培工場です。
現在、積極的にこれに取り組んでいる農家も多くなってきましたが、最近は農業とは全く関係無い事業を行っている精密加工メーカーやITベンチャーなどが、新事業として水耕栽培農業に取り組んでは成功を収めています。
水耕栽培工場は、何処にでも作る事ができます、例えばビルの屋上や、工場の空き地、また廃校になった校舎、やろうと思えばどこにでも作る事ができるのがこの水耕栽培工場の魅力です。
更には、給水や排水、液体肥料の添加などほぼ自動化しています、そして人工のLED照明により畑でつくる数倍の速さで栽培できるのです。
最近は、上下巡回式の設置面積を取らないロボット型が登場し、小型化すればマンションのベランダにも簡単に設置でき、3~4人家族であれば一家の1年分の野菜を補えるほどの本格的な家庭水耕菜園があっという間に出来上がります。
また、水耕栽培の良さは管理しやすい事、虫が付かないこと、農薬を一切使わない事が上げられます、つまりは無農薬野菜が手軽に収穫できるのです。
ただし、弱点もあります、それは野菜本来の強さをもっていません。
この野菜の強さというのは、土の中で野菜の根は常に土壌菌やバクテリアと戦っています、それに対抗するために各種の対バクテリア毒素を作り出すのです。
この対バクテリア毒素こそ、人間にとっては健康維持のための微量栄養素であるフィトケミカルとなるのです、つまり薬効成分であり、その野菜独特の癖のある味となるのです。
これが水耕栽培だとほとんど得ることができません、したがってビタミン類とミネラル、そして食物繊維を取るためだけの野菜となってしまいます。
そこで、今後これを解決する工夫が必要になってきます、その意味でも現在各種の常在菌や水浄化菌類などをベランダ菜園と共に研究しているのです。
常在菌を培養するために、各種の土質の調査研究、腐葉土の培養、そしてその配合などを何種類かの植物で試しています。
水耕栽培は土を全く使わずして、土の中と同じ環境を水の中に作れれば良いわけなのですが、ただ多くの水耕栽培を提案している機械メーカーは、無菌を売りとしてどのようにして雑菌を繁殖させないかに必死になっています。
何か方向が違うんじゃないかと思うのですが、もっと自然の法則に素直に目を向けた方が良いのではないかと思うのです。
つい先日も、大きな水耕栽培工場で何かの雑菌が用水に入り込み、工場の野菜全てが全滅したという話しを聞きました。
強い野菜は多少の腐敗菌などでは腐りはしません、むしろ丈夫で栄養価の高い野菜に育ちます。
ここでも常識からは成功のヒントを生みだすことはできません、どうしても避けられないものであれば、逆転の発想で積極的にそれを利用する、これが成功するビジネスの基本なのです。
どんなビジネスにも陰陽の状況が生まれるものです、陰陽のバランスを取ることが重要で、どちらか一方を排除したらそれは存在しないも同様となります。
土の自然農法でのオーガニック農園では、肥料は鶏糞がメインです、これにより植物の栄養素だけではなく土壌菌も活性化するのです。
水耕栽培では鶏糞は使えません、ではこれに変わる同じ効果のある天然素材は何かという事になります。
この答えは実に簡単です、水草や水辺の植物の栄養素は何かということですから。
もっと言えば、水田はどんな環境が良いとされているか、ということです。
この自然の食物連鎖サイクルを、機械によって自動化すれば良いだけです。
例えば、誰しも思い付くのは、鶏糞でなく魚糞を使うという思考、しかしこれは水があっという間に腐敗して一発で終わります。
また腐敗菌は何とか薬品で取り除けても本末転倒、更には野菜に必要な栄養素が違います、魚糞を使うにも多くの知識とテクニックが重要になります。
熱帯魚を飼っている人ならこの問題を解決できるかもしれません、ヒントはここでも菌(アンモニア分解バクテリア)の存在が重要になります、有機物を分解して植物に必要な栄養素を作り出してくれる菌の存在が重要なのです。
ですから、先の水耕栽培機器メーカーのように無菌を研究するのではなく、菌を積極的に活用しなくてはいけないのではないかと思うわけです。
どんなことでも経験が活きてきます。
そして、この実験は早々に開始したいと考えているのです、というよりも既に仕組みは設計済みで、あとは実験装置を作ってやってみるだけです。
取り急ぎ、1年前から食用タンポポや、水の与え過ぎで枯れると言われている多肉植物で、水耕栽培の初期実験を行っており、単独飼育では大いに満足する結果を得られ各種のノウハウが蓄積されました。
またもやオフィスが狭くなります、やはり早期の実験工房が必要です。