「五行思想」とは、「宇宙は5つの元素から成り立っている」という考えが基本にあります。
その5元素とは木・火・土・金・水です。
それぞれの元素=「気」の基本性質を簡単に説明します。
1.木の気
緑の草木に代表される成長の象徴。
2.火の気
赤い炎に代表される破壊の象徴。
3.土の気
大地に代表される覆い隠す象徴。
4.金の気
結晶質の固体に代表される支えの象徴。
5.水の気
海や河などに代表される流れの象徴。
また、五行の最も重要な事項として、これら5元素には「相生(そうしょう)」、「相剋(そうこく)」、「比和(ひわ)」という大きな相関関係があります。
1.相生 相手を生み出して行く(助ける、支える)プラスの関係。
木->火・・・木は燃えて火を生む。
火->土・・・物が燃え灰が残り、灰は土を生む。
土->金・・・金属は土の中にあり、土を掘り金属を生む。
金->水・・・金属の表面に凝結により水を生む。
水->木・・・木は水によって養われ芽を出し大木を生む。
2.相剋 相手を滅ぼして行くマイナスの関係。
木->土・・・木は根を張り土から養分を吸い取って滅ぼす。
土->水・・・土は水を濁し滅ぼす。
火->金・・・火は金属を熔かし滅ぼす。
金->木・・・金属は木を切り倒し滅ぼす。
水->火・・・水は火を消し滅ぼす。
3.比和
同じ気が重なることを意味し、気の性質がより盛んになるが、その結果が良い場合には更に良く、逆に悪い場合には更に悪くなる。
相生の関係にあっても相手の立場や年齢的に逆の場合は「反生(はんしょう)」、「反剋(はんこく)」の関係となります。
したがって、相生にも悪い関係の場合もあるし相剋にも良い関係の場合もあります。
これらは、その後に派生した四柱推命などの占いや易学の基本になりました。
生まれた日からその人が「五行」のどの気に当るかを計算し、そしてその結果の基本気質と組み合わせなどによって生まれ持った個性や相性などを占うのです。
「五行思想」とは、3500年ほど前の中国の宇宙観そのものを理論化させた思想で、この世は5つの元素によって作られているというものです。
その5元素とは「水・木・火・金・土」です。
この五元素による思想を元に五行の相生・相剋というプラスの関係・マイナスの関係・強弱の関係などを解く考えが生まれました。
「五行思想」はその後に、「陰陽思想」(世界は陰と陽の裏表一体で成り立っているという学問)と合体し「陰陽五行思想」へと拡大成長します。
その「陰陽五行思想」から、四柱推命・易学・風水・東洋医学・東洋建築・暦(こよみ)など多くの派生した学問が生まれました。
また、東西南北と中央との方位・色・守護神などが五行に結びつき「陰陽五行思想」文化が徐々に発展普及を始めました。
特に五色と守護神と方位については日本の多くの文化にも行き渡り、相撲の4色の垂れ幕・鯉のぼりの吹流し・七夕の短冊などにもその面影が残っています。
またキトラ古墳・高松塚古墳などには方位とその守護神が描かれ、平城京などにも門の方角と名前そして守護神との関係資料が発見されています。
いかに当時は中国から多くの文化が伝来し日本に定着していたかが伺えますが、その基本は全て「陰陽五行思想」との関係にあります。
五臓六腑・五感・五味など人体に関する事項もまた「陰陽五行思想」により関連付けられています。
下記は左から、五行・五色・五方(方角)・五時(四季)・五神・五臓・五感・五味の主な項目を示します。
他に、30程度の「五行」が定義されています。
これらと相生と相剋の関係で四柱推命では身体の部位で気をつけるところ、強いところなどを占うのです、また方位と色などにより風水では悪いところを打ち消す方法を解きます。
水 黒、北、冬、玄武、腎臓、蝕覚、渋
木 青、東、春、青龍、肝臓、視覚、酸
火 赤、南、夏、朱雀、心臓、聴覚、苦
金 白、西、秋、白虎、肺臓、味覚、辛
土 黄、中、土、--、脾臓、臭覚、甘
注)五時(四季)での土とは土用のことです。
最後に驚きの事実を一つお伝えします。
「陰陽五行思想」が発祥当時、中国では既に地球以外の5つの惑星の存在を発見し、その運行を観測されていました。
和名である水星・木星・火星・金星・土星は、「五行」から命名したことは疑いの余地もありません。
同じく一週間の名称も同様に月と太陽(日)を加えて命名されました、ただし現在の中国も韓国もこれが残っていません、日本だけに残っている「五行思想」の足跡は実に多いのです。