中小企業のための補助金・助成金(3)
補助金には"流れ"がある
補助金や助成金には、"流れ"が存在しているものあります。例えば、東京都中小企業振興公社さんの助成金をれにすると創業から製品開発・導入・知財までたくさんの助成金があります。これらから一つ選んで申請するのもよいのですが、開発の経過毎に申請していく方が採択率が上がってきます。例えばこのような順番です。
①製品開発着手支援助成事業
②外国特許出願費用助成事業
③新製品・新技術開発助成事業
④市場開拓助成事業
アイディアの初期から製品を市場に投入するまでを、助成金を活用して行うことが出来ます。特に、②③の連携はおすすめです。一番取りたい助成金はやはり、③の開発助成です。これを取るためにも、事前段階から助成金を絡めていくというのが一つの手です。ただ、デメリットもあります、残念ながらスピードを要する開発には適しません。
このように開発の流れに沿って、助成金の流れも存在しています。補助金や助成金を活用するには、初期の段階から検討しておくことをお勧めいたします。
中小企業のための補助金・助成金(2)
補助金は減らされることもある
私は独立前にいくつかの企業に属し補助金・助成金申請を行っていました。基本的に小さな会社ばかりでしたので開発業務も兼任です。申請では技術説明とマーケティングと事業計画書を作り、実際採択されてからは開発業務をこなして各経費書類を相手企業と交渉して作り、最後には経費のエビデンスとして人件費(最近は人件費は出ないのですが)に関する作業日報やら成果報告書を作成し担当者さんに申請し何度も何度も修正を繰り返しながらようやく補助金が交付されるという感じでした。
中小企業では当たり前の光景かもしれませんがこれが非常に大変なのです。人に任せれるところは任せて開発業務に専念した方が確実に良いです。
私は過去、数百万円から数千万円の補助金を自社だけであったり、いくつかの企業を連携させたコンソーシアムなどで申請し裏方に徹しながらまとめて来ました。しかし裏には大きな失敗があります。この経験があったから補助金・助成金に対しては思い入れがあるのかもしれません。
私があるベンチャー企業にいた頃、助成限度額が1,500万円で助成率が1/2の助成金を申請し採択を得ました。しかし助成限度額が1,500万円ということは先に3,000万円使わなければならないということです。当然、事前にそんな資金があるはずがないですから助成金の採択結果をもって融資を得るという計画で行っていました。事業の業績は芳しくありませんでしたが、何とか申請は採択されるに至って非常に喜んでいたのもつかの間、すべての金融機関から融資を断られてしまったのです。
今思えばですが、その私が属していた企業がブラックになっていたんですね。助成金審査もそこまで見抜けなかったのでしょう。融資が得られないのでその開発は難航を極め、ほとんど実践できない状態でした。何とか資金を作り少しずつ開発を行っていくという感じです。補助金・助成金というのは実施期間が決められています。多くは半年~2年なのですがその助成金は2年でした。つまり、2年が経過してしまうとその事業の経費であっても助成金が得られないのです。実施計画の延長を申請しては、危機を感じ、資金調達と開発を続ける日々でした。
期間終了時には何とか駆け込みで700万円発注と納品を済ませ、予定されていた納品物を作り最終的に900万円の事業経費分だけでも助成金をもらおうと事業完了の手続きを開始しました。しかし、最終的に認められた助成事業額は200万円。助成金はたったの100万円でした。せっかく1,500万円の助成金をとったのに、100万円しかもらえなかったのです。
理由はこうです。まず、納品物が間に合ったので事業完了としては受け付けて頂けました。しかし最後の700万円が分割で後払いにしていたので、この分の経費が対象外となりました。支払いがどうしても間に合わなかったのです。よって事前に処理していた200万円分だけが助成対象とみなされ、その半額の100万円の交付に至ったのです。
中小企業にはよくある話だそうです。特に資金が無くて予定されている納品物を作ることが出来ず、事業自体を断念する企業が毎回あると伺いました。補助金や助成金は採っただけでは事業はできず、そして最後に減らされてしまう可能性もあるのです。せっかくのチャンスを活かせなず、何とも歯がゆい思いをしなければなりません。
まずは計画の段階で資金の手当てを付けておかなければ無駄な労力を使うことになります。最悪でも自社で資金を用意できる企業でなければ、補助事業の遂行自体も難しいものとなります。