決算書(2)
貸借対照表
決算書はその会社の財務状況が一目で分かる資料です。詳しい説明等は会計士や税理士の方のものを参考にしていただくとして、こちらの記事では、初めて決算書にかかわる中小企業から小規模企業の経営者かた向けとして書いています。
貸借対照表とは「資産」「負債」「純資産」をあらわした表になります。「資産」を左側、「負債」と「純資産」を右側に表し、左右それぞれの合計値が一致している表です。この合計値は必ず一致しますし一致していなければどこかが間違っていることになります。この貸借対照表はバランスシート(BS)とも呼ばれます。
貸借対照表の例
「資産」の部には流動資産や固定資産が入ります。流動資産には、現金や預金、売掛金や出来上がった商品等が含まれ、すぐに現金になるものが入ります。また固定資産には、土地建物や減価償却資産、特許権、営業権、ソフトウェアや長期貸付金などが含まれ、すぐに現金にはできないものの長期で現金に変換できる資産が入ります。「負債」の部には流動負債や固定負債が入ります。流動負債には買掛金や短期借入金、未払金などが含まれ、固定負債には長期借入金(1年以上)や社債などが含まれます。
また「純資産」の部には返済する必要がない調達資金が入ります。資本金や資本剰余金、利益剰余金などが含まれます。資本剰余金のうち資本準備金は新株発行時に資本金に組み込まない資本金の備えとして計上されるものです。会社法(第445条第2項、第3項)で定められているように、資本金の半分は資本準備金として計上してよいとされています。資本金が1億円を超えてしまう場合は大企業と定義されてしまいますので、補助金など中小企業の恩恵を受けたい場合は資本準備金に半分回して資本金が大きくなり過ぎないようにします。
この貸借対照表を見る上で一番重要なのは「流動資産」と「流動負債」です。流動資産>流動負債であれば資金繰りがうまくいっているかどうかがわかります。ただし、流動資産にある商品などは売れるかわからないものも含まれるかもしれません。そのようなすぐに現金化できないかもしれないものを抜いても流動資産>流動負債であれば問題ないと見れます。
事業計画書(2)
経営理念
中小企業向けの事業計画書の概要説明になります。事業計画書といっても、出資を募る目論見書から共同事業化を提案するもの、補助金に記載するものと種類は多岐にわたりますが、基本的なものの概要を説明する記事になります。初めて事業計画書にふれる方向けに書いています。
出資を募る目論見書の場合、経営理念は非常に重要な要素になってきます。経営理念は自社や事業が存在する目的やビジョンを明確化したものですが企業や事業を興す時には軸となるものになりますし事業を進めてからも軸からブレていないことを確認するためのものでもあります。これらは企業の存在意義や価値を示すものでもあり、それが魅力的でなければ事業計画書の内容は読んでもらえないかもしれません。
経営理念は事業計画書に必要というわけではなく経営していくにあたってなくてはならないものです。経営者が変わってもその経営理念を引き継いでいきますし社員もそれに従って進んでいくことが出来ます。また他社との関係でも重要で自社がどういう会社なのかを明確化して伝えるツールでもあります。特に社員との間で何を価値としていてどこを目指しているのかが共有されることは、事業を推進していく中で非常に大きな力になっていきます。
決算書(1)
決算書とは何か
決算書はその会社の財務状況が一目で分かる資料です。詳しい説明等は会計士や税理士の方のものを参考にしていただくとして、こちらの記事では、初めて決算書にかかわる中小企業から小規模企業の経営者かた向けとして書いています。
決算書は企業の成長状態や経営の健全性を確認できることができる資料です。メインは損益計算書と貸借対照表です。このあたりは歴戦のプロが見れば一目でどういう状態かがわかってしまう資料になります。損益計算書はその年度の収益と費用がまとめられたものです。貸借対照表はバランスシートとも呼ばれるもので、企業の資産や負債を示した資料になります。
これらは確定申告時に作成しますので個人事業主の方も作成している資料になります。この資料を見て、自社がうまくいっているのかがわかりますので、経営に参加するようになる方は見方を理解しておく必要があります。とはいえ作成するのは専門とした方が作りますので、あなた自身は見方を学んでおけば大丈夫です。
ひとつ理解しておいてほしいことは、どんなにうまくいっていると口で言っていても決算書を見れば一目でわかってしまうということです。逆に言うと企業の健全性を示すには決算書を見てもらうだけで信用を得ることができます。決算書はそれほど重要な財務諸表であるということです。
事業計画書(1)
事業計画書には何を書くか
中小企業向けの事業計画書の概要説明になります。事業計画書といっても、出資を募る目論見書から共同事業化を提案するもの、補助金に記載するものと種類は多岐にわたりますが、基本的なものの概要を説明する記事になります。初めて事業計画書にふれる方向けに書いています。
事業計画書は小さな企業であればあるほど社長自身が作成したり、現場の方が作成したりします。特に起業する方は避けて通れない資料になりますね。これまで触れたことが無かった方は何を書いていいかわからないかもしれません。
事業計画書は自社の製品やサービスがどのようなもので、どのような市場・ユーザーをターゲットにしていてどのように事業展開していくかを説明する資料になります。目論見書の場合は資金計画も重要になってきますし、事業の成長性をアピールする必要があります。また共同事業化の提案なら、相手企業にどんなメリットがあるかを提案する形になります。
事業計画書の目的は相手によって変わってきますが、目論見書の場合は資金調達に使用しますので市場性や成長性が十分にあり、スケジュールと資金計画が問題なく実施できると判断させることが目的となります。見せる相手は様々な事業計画書を見てきているプロになりますので、それらの資料を見ただけでうまくいくのかまたはうまくいかないのかを判断できてしまう方もいらっしゃいます。相手はあなた自身のことも会社のことも製品・サービスのことも知りません。そんな相手にあなたが行う事業に光るものを見出してもらうための手助けとなるのが事業計画書になります。
何をどう記載するかは今後の記事で説明していきますが、事業計画書は他人に任せてはいけないと思っています。これは特に起業したい方向けですが、確かに発注して作ってくれるプロはきれいに仕上げてくれたり、アピールポイントをあなたよりうまく記載してくれるかもしれません。ですが、せめてベースは自分で作成しましょう。事業計画書は判断する一材料に過ぎず、判断の一番大きな要因はあなた自身になるからです。自分で事業計画を把握して熱意をもって説明できなければどんなに事業計画書がうまくできていても本末転倒です。
次の記事からは事業計画書に書いていくものを順に説明していきます。
中小企業のための補助金・助成金(10)
補助金が公募される時期
補助金は公募される時期がだいたい決まっています。例えば中小企業庁などの補助金では国家予算に流れがありますから、その流れに沿って経緯を見守ることができます。おおよそ夏くらいに概算要求が各省庁から財務省に出されます。そこでどんな補助金が計画されているかがわかります。財務省を通過して予算案が出来上がるのが12月頃です。その後、国会にて予算が承認され1,2月頃に補助金の事務局が公募されます。事務局が決まればその後は2,3月に補助金公募が開始されます。この場合は補正予算の補助金ですね。通常の補助金5月頃に公募開始されます。
また上記以外に年に何回も公募されているものもあります。ものづくり補助金や事業再構築補助金などですね。こういった補助金は公募→締切→採択流れで、3~4か月ごとに繰り返し公募されています。比較的複数年同じ補助金が予算化されているものもあれば単年度で終わるものもあります。同じ補助金が来年もあるとは限りません。狙っている補助金があるならば早めの段階で公募できるように準備しておきましょう。
補助金は政治の流れに大きく影響をうけます。いまなら所得倍増を掲げているのでそれを満たすような企業が採択されます。特に12月~1月は政治・国会の状況を観察しておくと次に出てくる補助金を把握しやすくなります。