
最近の私がハマっているオーディオ製品の一つがハイファイデジタルアンプです、オーディオ道楽復活後にティアックAG-H600(2014年再発売、定価12万円)とオンキョーA-5VL(2009年発売、定価8万円)を買って使ってみたのですが、想像していた音質とまったく違います。
価格から勘案するとそれなりの音がして当たり前なのですが、なんとも素直な愉音を放つのです、シャープさが売りの音がすると思っていたら意外やマイルドで低音域などは骨太な音がするのです。
双方とも癖が無く素直に低音域から高音域まで伸びておりジャンルを選ばず使える音色です、デジタルアンプと言ってもハイファイデジタルアンプは安物のACアダプターで給電しIC一発使いなどという小型D級アンプとは別物です。
高級電源トランスを使って完全に直流化し、音声入力の量に合わせて電源の電力を調整するという高性能なアンプなのです。
またIC一発ではなくトランジスタやFETを使ったディスクリートで構成された立派なアンプです、ただアナログアンプと異なるのはスピーカーの直前までデジタル増幅するという事だけです。
そして電力効率が極めて良く発熱も殆どありません、ハイファイデジタルアンプは大好きな音色とまではいかないものの長時間聴いていても疲れない音色が何となく気に入ってしまいました。
オーディオ道楽復活後、メインシステムのアンプが決まらずにコレクションラックから引っ張り出しては順次組みかえては愉しんでいます。
ミドルクラスのアナログアンプではデノンのPMA-2000とサンスイのAU-α607XR以外ではこれだというものがありません、最大の愉しみである比較検討できない状況なのでいっそのことデジタルアンプを常用システムで使おうと現在暫定版ではありますが組んで使っています。
ネットを探ってみるとマニア諸氏にも同じような人がいました、みなさん考えていることは同じなのかも知れません。
クラシックファンのマニアが、ティアックのAG-H600をメインシステムのアンプとして愉しんでいるという記事に思わず頷く自分がいるのです。

70年代から90年代にかけての日本のオーディオメーカーの増幅回路設計にかける意気込みは、本当に「もの作り大国日本」に象徴されるように凄いの一言です。
マニアの間ではサンスイの「ダイヤモンドXバランス増幅回路」(AU-Dシリーズ)や「α-Xバランス増幅回路」(AU-αシリーズ)などは神話になるほど有名ですが、その他のメーカーも独自のここまでやるかという傑作品を数多く輩出しています。
例えば今では忘れ去られようとしているNECのA-10(1983年発売、10万円)やA-11(1983年発売、15万円)は、当時の多数のオーディオアンプの中に在って傑作中の傑作且つ名機中の名機といえます。
NEC(日本電気)といえば、日本が世界に誇る総合エレクトロニクスメーカで、放送機器や通信機器などの技術者を結集してオーディオアンプの開発を推進したのです。
何度も何度も途中経過でのベータ版での公開視聴会を開き、製品誕生までに気の遠くなるような努力を続けました。
また部品などを詳細に査定すればA-10で20万円以上しても全然おかしくないスペックであり、恐ろしいほどの高級な電源を誇ったアンプでした。
電源回路だけで4つのトランスを使って完全なる左右独立の直流を生み出し、アンプ部が故障しても電源機器(安定化直流電源)として考えれば10万円ならむしろ安いとまで言われたアンプの最高傑作品でした。
また、ケンウッドのハイエンドプリメインアンプのL-01A(1979年発売、27万円)、L-02A(1982年発売、55万円)はノイズを徹底的に落とすために電源部を別筐体として、更にアンプ本体は磁力を発する磁性体を全て排除し部品全てに非鉄を使うなどノイズ特性に拘りに拘った傑作品です。
ケンウッドの祖業は通信機であり通信機で培った技術をオーディオに存分に生かしました、そしてこれらの技術はアキュフェーズという最高級ハイエンドオーディオブランドに繋がるのです。
他にも、サンスイ・ソニー・オンキョー・ヤマハなどに隠れてそれほど話題にはならなかったのですが、80年代のデノンもデジタル時代を先取りした傑作アンプを多数創出しています。
本当に、70年代後半から90年代の初頭までの20年間の日本のアンプは世界に誇る名機のオンパレードだったのです、これらの名機は近年になり世界中で再ウォンツが生まれ中古品が高値で取引されています。
日本のオーディオ黄金時代、毎年新しい方式が幾つも生まれ多くの名機が乱立した異常極まる輝かしい時代でした。
そんなバラ色のオーディオ黄金時代をオンタイムでしかも名機に囲まれて過ごせたこと、これは私のオーディオ道楽の原点にある誇りだと思います。
何時までも当時のオーディオ誌を読んでは興奮していた思い出が頭から離れません、闘志にも似た気持ちがビジネスにも前向きな発想になり、その結果において全てに有益に機能していたことは確かです。
そして事業家に復活してからのオーディオ道楽の復活、当時と同じような極めて前向きな気持ちになっているのを自覚しています。

どんな物事にも流動的に変化を繰り返す時期と、逆に一切の動きが止まる安定した時期が存在します。
企業においても然りで人材が常に入れ換わりを見せる時期もあれば、長期間同じ人材で物事が勢いよく進む時期とがあります。
安定期は物事が進み出すので、人材は安定期でも経営的には増収増益で活性化します。
オーディオもシステムというくらいで企業と同じように製品が次々と入れ換わる時期もあれば、音質のバランスが一旦取れてしまうとこれをいじりたくない時期があります。
これは本当に面白いものでそれぞれの製品の特性がピタッと合うことがあります、この安定した音質は何かを変えると異和感が出てくるようになります、だからしばらく変更する気にもならないのです。
そして、こういったシステムが安定した時にはシステムを考えずによくなるので音楽鑑賞に集中できるようになり、今度は予算をシステムからソースに切り替わるのでソースの数が増えていくのです、これも企業とオーディオのバランス感覚は同じです。
システムが動く時には本来の活動が止まり、システムが安定した時には本来の活動が活性化する、実に面白いバランスです。
オーディオやホームシアター道楽もこういった流動的な時期と安定した時期が繰り返しでやってきます、オーディオ道楽復活から5年ほどの流動期を得て、ようやく安定期に移行しかかっています。
流動的な時期はお金がかかるし、常に変化させているので各種に神経をとがらせては落ち着きません、それでも一旦安定するとそんな時期を思い出しては懐かしむのです。
私にとってのオーディオと経営は何か各種のポイントで相関性があるのです、そして道楽とビジネスとの摩訶不思議な一致、それは道楽が流動的ならビジネスも流動的になるということです、逆に道楽が安定すればビジネスも安定するのです。
陰陽思想でいう「陰極まれば陽極まる」という陰陽法則が当てはまるのです、いろいろなファンダメンタルズを学び道楽やビジネスに活かす、何事も上手く納める人とは道楽にも手を抜かないのです。

バブル崩壊にリーマンショック、私は世界レベルの経済危機には次の一手を早期に繰り出しては難局を乗り越えてきました、そんな活きた経験が何事にも自然に身体が動きます。
世の中が停止した時間をどう思考するか、この思考の差は雲泥の差となって数年後に表像化してきます。
ラボに籠り大いにジャズを愉しみながら特許や事業スキームをロジカルシンキングし、新商品のロジック設計を行ったりホームページをはじめWebサイトのリニューアルやコンテンツの製作に充てます。
こういった次のステップへの準備と経済環境変化に伴う構造改革を一気に行ってしまうのです、これが次の時代への有効なる戦略です。
オーディオ道楽では、買ってから数年間も放置していたスピーカーのDIYキットをこういった停滞期にに一気に製作します、そしてまだ音出し確認ができていないものをラボに少しずつ運び込んでは充分な時間をかけて動作確認と音質評価をしています。
この空白の時間を大いにオーディオ道楽に没頭しつつ、次のステップに進む為のビジネス準備とロジカルシンキングに充てるのです、ロジカルシンキングでは理想郷の構築と同時に未来のオーディオ環境に関してが中心になります。
オーディオとホームシアター、加えてみんなで愉しめるホームカラオケを合わせたシステム設計、この構想がどんどん膨らんでおりベースとなるシステムを固めておきたいと考えています。
構想の一つがライブハウスで使われるPAオーディオ製品で基本システムを構築するというもので、巨大なPAスピーカーをフロントとセンター用に購入したいと考えています。
PAスピーカーを置くとなるとスペースは最低でも40畳は確保したいと思いますので幾つかの部屋をワンルームに改装しなくてはなりません、したがって大きな一軒家をどうにか確保することが先決になります。
田舎の住居兼用の喫茶店などをそのまま居抜きで買ってしまうという手もあります、オーディオ道楽の構想はこのように無限に広がっていくのです。
こんな事を考えていられるのも当面の経済的不安要素が無いからであり、本当に幸せなことだと思います。

オーディオ機器のサイズって、どうして同年代に各社が揃って同じくらいのサイズになっているのでしょうか?
アンプ・チューナー・カセットデッキ・レコードプレーヤーが独立したコンポーネントステレオと呼ばれるスタイルが日本に誕生した時に、既に製品化されていたアメリカのアンプのサイズを参考にしたと考えられます。
当時のアメリカにはUS電気規格に19インチラックがありました、放送局用のアンプや送信機、PAオーディオや測定機などを収める業務用電気設備ラックです。
この幅が48Cmです、ここから取り付け用の羽板を取ると本体の横幅は42~43Cm程度となります。
このサイズが現在までのコンポーネントオーディオ製品の横幅として各社の暗黙の了解となっているのです、何故なら各社各様の製品をラックに収める時に同じ大きさにする必要があるからです。
この規格を外れた製品を出したら標準ラックに収まらないので買われない可能性があるからです、ですから「暗黙の了解」ということなのです。
この横幅42~43Cmのコンポーネントは、90年代に入り横幅30Cm前後のコンパクトサイズが流行り出した際に「ミニコンポ」と称されたことから後付けで「フルサイズコンポ」もしくは「標準サイズコンポ」と呼ばれるようになりました。
また95年辺りから21Cm前後のハーフサイズのコンポが出始めます、このハーフサイズのコンポは出始めた当初は「ミニミニコンポ」と称されましたが、後に「ハーフサイズコンポ」とか「マイクロコンポ」と呼ばれるようになりました。
更に2000年以降に安価なカーオーディオアンプなどを使ったハガキサイズのD級アンプやヘッドホンアンプが誕生してきました、このハガキ大の大きさの製品は「ナノコンポ」などと呼ばれています、と言うことは最近出始めている更に小さな名刺大の製品はこの流れから察すると「ピココンポ」と呼ばれるのでしょうか?
ちなみにサイズに関らず「ハイコンポ」と呼ばれる製品群があります、これはミニコンポ以下のサイズでハイファイスペックを持ち、更にシステム販売と並行して単体でも販売しているグレードの高いシステムコンポの製品を統括して指しています。
時代はどんどん小型軽量化していきます、音質はアンプの大きさでは決まらないのですが20Kg以上もあるフルサイズコンポで何時までも音楽を聴きたいと思うのです。
これは私だけの気持ちの問題ですが、BGM用とかデスクトップなど用途を限った場合は別にしてメインの常用オーディオセットにフルサイズ以下のサイズを使ったことは皆無です。
その理由は気持ちが大らかにならないからです、オーディオから影響される精神的な事項って私の場合は自身で思っている以上に大きいのです、オーディオに限らず記憶に刷り込まれた拘りとか思い入れってこういうことだと思うのです。