2024年10月 4日 07:00
10年ほど前からだろうかネットには「オーディオ都市伝説」的な情報が数多く氾濫していますが、その多くは音質向上には何の根拠も無い情報ばかりです。
例えば「CDを凍らせると音質が良くなる」というもの、これは昔「レコードを凍らせると音質が良くなる」というマニアの常識をCDに置き換えただけのもので、技術に詳しい人であれば何の意味も無いことはすぐ解ります。
確かにレコードであれば音情報を削った溝をレコード針で直接拾う訳ですから、材質が冷えて硬化すれば若干なりともメリハリの良さは期待できます、それでも耳で聞いて解るか解らないかという程度のものです。
CDの記録はレーザーによるデジタル記録でありピックアップするのもレーザーです、材質が変わろうが「0・1」のデジタル情報が変化しなければ音質が変わることはありません。
デジタル情報が変化するということは音質ばかりか音楽にならないわけです、こんなデジタルの常識も解らずにレコードを凍らせる真似をCDでやったところで、音質向上を期待できないばかりかCDの結露によってCDプレーヤー内に湿気を齎し壊してしまいます。
同様にCDのタイトル面を黒く塗りつぶすとかCDのエッジを削るなども同様です、レーザーピックアップに余計な反射光が入らなくなり音質が向上するということらしいのですが、前出の理論通りで音質の変化などは有り得ません。
またオーディオ評論家が書籍で「音質向上のテクニック」と称してCDの2度がけで音質向上し、3度がけすると音質劣化する」などということを平気で書いているのです。
その根拠に「情報がメモリされ2度がけするとスムースに情報を読み込める」などという屁理屈を書籍で堂々と書いてしまっているのです、これは相当ヤバイです。
IT音痴もここまでくると幸せだなと思ってしまいます、CDプレーヤーが最初に読み込んで記憶するのは音情報では無くてメタデーターだけです、つまりCDには何曲入っていてそれぞれの曲の頭出しのトラックは何処から始まるかという情報だけです。
SACDでは他にもテキストデータとしてCDタイトルやそれぞれの曲名が入っていて、それを最初に読み込んでいるだけです。
音情報はこのメタデータを基に読み込みながら次々とDACで変換されて出力されているのです、原理からして2度がけで音質が変化する筈は無いのです。
こういった数多くのオーディオ都市伝説ですが、読む分には楽しいかもしれませんが実際にやってみる価値も根拠も無い戯言に過ぎません。
戯言を信じて大切なCDを傷つけたりCDプレーヤーを壊したりしないように願います、そして原理や理論を無視して将来のオーディオ経済を背負う大切なオーディオ初心者を惑わすような記事を書いているオーディオ評論家諸氏に一言もの申します。
「プロというならオーディオの最低限の原理や理論をしっかり学んで下さい!」、読んでいて極めて不快です。