2024年7月12日 07:00
ここ数年来、世の中に「紙コップスピーカー」というものを自分なりにアレンジして製作することが流行っているようです。
この紙コップスピーカーとは、スマホの下に付いているスピーカーから出る音を大きくしかも良い音になるように工夫する物で、無電源ということもあり多くの人が自分のアイデアで製作してはネットに公開しています。
この紙コップスピーカーですが、メガホンの原理で集音され紙コップ内で音が共鳴するので、音が大きくしかも共鳴によってある特定の周波数が強調され良い音に聞こえるという確かな音の原理を上手く利用したものです。
最初は紙コップだったのがポテトチップスの筒やサランラップの筒と大きなカップ2つを繋いだもの等、なるほどスピーカーのバスレフやダブルバスレフ、またバックロードホーンに見るような音の共鳴を上手く引き出すアイデアと音響技術的な根拠に驚くばかりです。
そして、最近では音響工学のプロ達も興味を示し、プロらしいアイデアで製作を行い展示会まで行っています。
また、こういったアイデアを商品化するメーカーまで現れました。
勿論、商品ですから紙ではなく木材・陶器・金属といった形が崩れにくく高級な素材が使われています。
しかし、本当に良く考えたものです。
スマホが誕生した頃に流行った、空のグラスにスマホを突っ込むと音が大きくなるという都市伝説的な話しがありましたが、これは本当に大きく良い音になります。
これが、工夫されてカッコよく加工された物が「紙コップスピーカー」なのだと思います。
私は、これも一つのオーディオだと思うのです。
何故なら、昔の蓄音機は電気を使わずゼンマイで動いていました。
ロウ板に刻まれた音の溝をピックアップで拾い、振動板で音にしてラッパのような形の共鳴管で大きくしかも良い音にしていたわけです。
紙コップスピーカーは、まったくこの原理と同じなのです。
こういったおもちゃのような物を通して、音の特性や音が空気の振動で起こるという音の本質を意識するようになれば良いことだと思います。
こういったおもちゃで遊んでいる若者の中から、近い将来ボーズ博士のような空間音響の天才が生まれることを望むばかりです。