2024年5月24日 07:00
イタリアンワインと言えば、昔から「キアンティ」が定番ですね。
さて、キアンティというのは実は銘柄ではなくワインのランクを示していることはあまり知られていません。
そして、キアンティにはキアンティとキアンティクラシコの2種類があり、この2つは名前は似ていてもまったく別のランクのワインなのです。
バブル経済期にガブ飲みワインとして日本人に好まれたキアンティですが、本場イタリアではどちらも日本酒で言えば昔のランク方式での2級酒なのです。
ランクで言えば、キアンティクラシコの方が若干上のクラスで味も深くて奥行きがあります。
飲みやすさで言えば断然キアンティです、ワイン独特のエグ味もなく日本人に好まれるフルーティさもあります。
このキアンティですが、詳しく説明するとキアンティクラシコはサンジョベーゼというイタリアの黒ブドウを80%以上使用し混ぜ合わせるブドウも黒か赤だけと規定されています。
対して、キアンティはサンジョベーゼを70%以上使用し10%までは白ブドウを混ぜても良いと規定しているワインです。
そんな意味で、キアンティの方がフルーティで飲みやすいと表する人も多いのです。
ちなみに価格は、キアンティクラシコ100に対してキアンティは60~70くらいです。
っで、今回はこのキアンティの話しをオーディオの話しに無理くり繋げるのですが、オンキョーのアンプの音質の傾向がこれと似ているなという話なのです。
同じサンジョベーゼを使っていても味が異なるキアンティとキアンティクラシコの様に、オンキョーのインテグラシリーズは同じ回路を使っているシリーズでも同時発売の普及クラスと上位クラスでは音色がガラッと異なるのです。
普通は、定格出力の差によるダイナミックレンジ程度の差なのですが、インテグラシリーズは別のアンプのように音質も音色も異なる場合が多いのです。
例えば解り易いのが90年代末期のA-927とA-929です、価格は9.5万円と17万円で差は倍ほどですが、多くの人はブラインドテストするとA-927の方が好みだと言います。
元気な音と言うか私もメリハリ感がA-927の方が強いと感じます、つまり明確で解り易い音色なのです。
癖が無く上品だと感じるのは断然A-929です、でも買おうと思うのは価格差では無く音色的に断然A-927です、聴き入りたいと思う音色だからです。
でも、これがクラシックファンだと意見がまったく逆になりA-929が良いと言います。
「常に聴くジャンルによって求める音が異なる」という、オーディオ七不思議の明確な理屈がここに垣間見れます。
ハイエンドアンプでジャズやロックを愉しむ人は確かに少ないです、むしろジャズやロックにはPA用の高音質ではなくても元気でパワフルな押し出し感のある音響設備のような音色を好む傾向にあるからです。
更には、ジャズやロックの音楽ソース自体にハイエンドアンプでようやく聴き分けられる程の繊細な音は入っていません。
そもそもジャズもロックもクラシックの様に楽器の生音を直接録音するのではなく、PA機器を通した楽器の加工音を録音しているのですから録音時点で既に繊細な音の存在は無いのです。
「ハイエンドアンプはクラシックファンの為に在る」、こんな定説も頷けます。
ワインを飲みたい味で選ぶように、オーディオも聴きたい音色を選ぶのが宜しいかと思います、ここにはクラスも価格も意味が無いのです。