経済学や経営学において時々「イノベーションジレンマ」という言葉が登場します、このイノベーションジレンマとは改革をしなくてはいけないと解っていてもできない状況を指します、多くは大企業がその状況に陥ります、そしてその明確な理由も存在しています。
一つは組織が大きすぎて末端まで浸透させるのに多くの時間とコストがかかってしまうからです、この予算をどうやってひねり出すか、余裕の無い中では経営者が解っていてもなかなか実行できない理由がここにあります。
もう一つは既存のサービスや業務フローが確立されており、これを壊すという行為が精神的に大きなストレスを生みます。
コンサルティングで多い質問が「既存のシステムと連動できるか?」、「既存のシステムからどうやって移行するのか?」が大半を占めます。
私は秩序が変わるとき一旦は生まれ変わる必要があると考える派です、「しばらく併用させ来たる時期に完全移行する」、これが最良の方法だと思います。
古い体質にしがみついていては新しいものが誕生し成長することは無いでしょう、よく例えられるのが「恐竜の絶滅」です。
地球環境に大変動が起きたとき恐竜は対応できずに絶滅しました、方や小動物は新たな環境に適応するように進化を遂げて生き延びました。
現在あらゆる業界で新たなる秩序が生まれようとしています、それがブロックチェーンやデジタルトランスフォーメーションであり、これらの先に在るAIと結びついた未来形のIT技術です。
これらの技術革命はこれまでにない大きな地殻変動となります、アナログから完全デジタル時代への移行、どの業界もこの地殻変動に進化を遂げなければ生きてはいけません。
今後あらゆる業界で新たなる秩序が生まれます、そしてその中で淘汰されていく企業が後を絶たないでしょう変化するときに変化する、これができなかった企業は当然のこと淘汰されていくのです。
そして台頭するのが新たなる勢力です、この数年間で全ての業界MAPが大きく塗り替わろうとしています。
産業用ブロックチェーンにおいては今年の後半から黎明期を脱し成長期へと移行しつつあるように感じます、特にアメリカとイギリスのブロックチェーン投資額はこの3年で倍以上と伸びてきています、対して日本の場合は現在イギリスの30分の1に過ぎません、これでは欧米のみならず中国やASEAN諸国にも追い越されていくのは時間の問題でしょう。
ここで疑問ですが日本のブロックチェーン投資が伸びない理由は何でしょうか、私個人的には日本の文化に依存しているのが要因だと考えています。
日本の古くからある文化とは「個人顧客を差別することなく大切にする」というところです、これは世界に類を見ないほど素晴らしい文化だとして誇れます。
例えば、日本の場合は未成年者どころか生まれたての子供であっても個人口座が簡単に作ることができます、この背景には大人になったときにそのままメインバンクとして使ってもらえるという先行投資をしているからです。
ところが先進諸国の多くは利用金額や利用頻度でサービス内容が変わるなどのサービス格差が少なからずあるのが当たり前のように存在します、まして発展途上国では国民の半数以上が銀行口座を持てない国など珍しいことではありません。
では何故この日本の古き良き平等文化がブロックチェーン推進の障壁になっているのでしょうか、その一つに顧客数の多さにあります、例えば銀行では1年以上使ってない口座でも勝手に解約することはできないという理由から人口以上の個人口座を管理しているという現状があります。
もう一つにどんな顧客に対しても同等のサービスをしていかなくてはならないという企業文化です、特に個人顧客を相手にする以上はサービス向上の意味でも対応する要員を大幅に減らすことができません、したがって現在の日本のブロックチェーン案件はバックオフィスシステムの構築に留まっているのです。
ここで結論を申し上げましょう、ブロックチェーン全盛期に急成長を遂げる事業は個人顧客から法人顧客に限定したサービスになると考えています。
つまりビジネスモデルはB2Bに特化することで勝算が生まれます、法人に限定すればオーバーな話しがリアル営業をしなくても事業推進が可能です、つまり徹底したデジタルマーケティングとデジタルサポートの実践です。
相談やコンサルティングなどは全てリモートで行えば良いのです、大手法人顧客を数社得るだけで事業が成り立ち利益率は大幅に上昇することになります。