2024年1月 8日 07:00
80年代中盤に突如として現れたCDですが、このオーディオメディアの台頭によってオーディオメーカーのパワーバランスが大きく変化することになりました。
オーディオ界は、アナログのレコードからCDやDVDといったデジタルメディアの対応を急ピッチに迫られました。
アナログの音質を決めるのはトランスやコンデンサといった重厚長大な部品です、他方デジタルの音質はDACに見られるように短小軽薄なデジタルICチップです。
現在の自動車業界に見るガソリン自動車から電気自動車への移行と同様に、それまでの技術に加えて新たな技術導入が必須になります、同様にこれまでオーディオとは無縁のデジタルIC企業が、オーディオ界で脚光を浴びるようになったのです。
デジタル時代ををいち早く予見し、アナログアンプにDACを付けたのがデノンでした、それまでオーディオ界にあって老舗ながらそれほど注目されていなかったメーカーです。
ここからデノンの快進撃が始まったのです、オリジナルのデジタルプロセッサーを武器にCDプレーヤーやAVアンプとデジタルオーディオ分野では常に先導するメーカーにのし上がりました。
私も初の外付けDACもAVアンプもデノンでした、90年代以降のデノンのデジタル攻勢はもの凄かったです。
どんな業界でも革新技術の大変化期には、業界MAPが大きく塗り替えられるほどの衝撃が走ります。
これまでの秩序が崩壊し新たな秩序の台頭、大きなチャンスでもあるし大きなピンチでもあるのです。
事実、多くのアナログ関連企業が経営危機に陥り倒産していきました、どんな業界でも新秩序の台頭は一瞬にして企業の優劣を変えてしまうのです。
オーディオ界に幾度となく訪れた新秩序、思い起こして見てもレコードからCDへの移行ほどの大変化と衝撃は他に類を見ません。
CDの誕生からほんの1年間でレコード売り場からレコードが消えてしまったのですから、そしてオーディオショップにはレコードプレーヤーが消えCDプレーヤーが並んだのです。
他の業界にはこれほど一瞬にして価値変革を強いらた現象はいまだに見当たりません、オーディオのデジタル大変革、今思い起こしてみてもその衝撃は地獄絵の如く恐ろしいほどに強烈なものでした。