2024年1月22日 09:00
1986年、アンプ798戦争が勃発しサンスイが牙城を固め出すのを阻止しようと各社が一斉に重量級アンプを物量勝負で投入してきます。
そんな中、ソニーが満を持して投入した戦略兵器がTA-F333ESシリーズとTA-F555ESシリーズです。
TA-F333ESシリーズはサンスイ陣営のAU-α607を、TA-F555ESシリーズはAU-α707シリーズを狙い撃ちする戦略兵器であったことは実に解りやすいです。
尚、1983年にTA-F777ESの実績が有りながらも、AU-α907シリーズを狙い撃ちする戦略兵器が用意できなかった理由ですが、私が想像するにソニーは当時ホームシアター向け製品を用意しなくてはいけない状況にあり、シェアを奪いやすい607&707に資源を集中させたのではないかと思います。
尚、TA-F777はTA-F777ES(83年)1代で終焉し、後にTA-FA777ES(99年)という名前こそ似ているがハイエンドな異なる機種が誕生します。
結果的にTA-F333ES&TA-F555ESシリーズは、サンスイの7シリーズと雌雄を分けた決戦を繰り広げ、ソニーは事実上サンスイに対抗する連合軍の隊長に躍り出ます。
ただ残念なのは1995年、サンスイの牙城を崩したのは本命ソニーではなくデノンだったというオチで、生き残りをかけたオーディオ戦国時代は歴史に幕を下ろします。
さて、そんなソニーの武勇伝を作ったTA-F333ES&TA-F555ESシリーズの系譜を追って行きましょう。
まずは、1982年に初代のTA-F555ESが1984年に弟分のTA-F333ESが発売されます。
その後、798戦争が勃発した1986年に揃って「ESX」、1987年に「ESXⅡ」、1989年に「ESG」、1990年に「ESL」、1991年に「ESA」、1992年に「ESJ」と続きシリーズが終焉し、新たなシリーズに移行します。
TA-F333ESX
初代の「TA-F333ES」が18.6Kgと当時のミドルクラスでは最重力級であったにも関わらず、最終版の「ESJ」では21.3Kgとミドルクラス史上最大のメガトン級になります。
この時代のソニーは、サンスイに打ち勝つためにこれでもかという経営資源を投入しました。
また、最終版の「ESJ」は名機と謳われており、MOS-FET採用のサンスイに劣らぬ分厚い音質が最大の魅力です。
その後、シリーズが変わりTA-FA5ESがTA-F333ESシリーズの後継機、TA-FA7ESがTA-F555ESシリーズの後継機となります。
その弟分としてTA-FA3ESが誕生しています、数字がシフトしているので混乱を招いていますが正確に把握しておきたいデーターです。
新シリーズのTA-FAシリーズは、80年代と打って変わっての大人しいデザインで音質もナチュラルさを目指した上品な音質に変わりました。
90年代中盤以降のソニーは、サンスイから今度はデノンやオンキョーをライバルとしてロックオンしていたのでしょう。
この辺も、実に解り易い戦略です。