2024年3月11日 09:00
「兵法」について研究しているころ多くの戦国武将や三国志の歴史背景を調べました、中でも「戦」に関しての歴史的資料は大変興味深く大いに参考になったものです、最初のうちは勝者の戦法や武将周辺の家臣の行動や進言などに焦点を当てていたのですが逆に敗者に興味を持つようになりました。
「なぜ、負けたのか」、そこには必ず共通する事項があるはずなのです、そして私はその事項を見つけ出しました、敗者の多くはほとんど「軍師」の提言する作戦を鵜呑みにして実行した結果だったのです、現代社会においても会議でいろいろ提案するアイデアマンがいます、しかしそのアイデアをそのまま受け入れて実行するのは大きなリスクがあります。
なぜかというとトップと彼らとは立場と利害が180度違うからなのです、別の意味では経験の差、視野角の差、思考の差です、つまりトップはミクロでなくマクロを見て戦略を立てなければなりません、経営とは「その瞬間の問題ではなくて継続するもの」であるからです。
しかし社員や役員はそうではありません、その瞬間の問題に焦点を当てています、したがって各論的には合っているかもしれませんが総論的には多くの欠陥があります。
経営経験が少ないトップは話が上手くていろいろな情報を持っているアイデアマンに耳を貸す傾向があります、自分にない発想をするので重宝がるのでしょう、そして信頼感まで持つようになります、しかしそこに大きな罠があるのです。
そのアイデアマンが実経験で鍛え上げてきた経験豊富な人であれば問題ありませんが、書籍や人から聞いた情報を自分なりの頭で理解し(ているつもり)経験してないことを平気で提言するような人であったら極めて危険です。
このような人を「敗軍の軍師」と呼びます、「敗軍の軍師」には自分が間違っているという自覚は全くありません、むしろ自分のアイデアを実行してくれたら絶対に成功するくらいの自信があります。
トップもその意気込みや愛想の良さからつい提言を鵜呑みにしてしまうのでしょう、そこが経験不足のトップの最大の弱点でもあるのです、トップはあくまでもいろいろなアドバイスや提言はひとつの「茶呑み話し」くらいに考えなくてはなりません、例え役員であっても高い報酬を払っている顧問であってもです、主役はあくまでも最終責任を問われる経営者なのですから。
自分でいろいろな状況を考えて最終結論を出した戦略でなければ、途中で計算外のことが起きたときに速やかなる軌道修正や撤退の決定が遅れます、更には経営責任なんて取れるはずもありません。