経済学や経営学において、しばしば「イノベーションジレンマ」という言葉が登場します、このイノベーションジレンマとは改革をしなくてはいけないと解っていてもできない状況を指しています。
多くは大企業がその状況に陥ります、そしてその明確な理由も存在しています。
一つは、組織が大きすぎて末端まで浸透させるのに多くの時間とコストがかかってしまうからです。
この予算をどうやってひねり出すか、余裕の無い中では経営者が解っていてもなかなか実行できない理由がここにあります。
もう一つは、既存のサービスや業務フローが確立されており、これを壊すという行為が精神的に大きなストレスを生みます。
コンサルティングで多い質問が「既存のシステムと連動できるか?」、「既存のシステムからどうやって移行するのか?」が大半を占めます。
私は秩序が変わるとき一旦は生まれ変わる必要があると考えています、したがって旧来のシステムとしばらく併用させ、来たる時期に完全移行することが最良の方法だと思います、古い体質にしがみついていては新しいものが誕生し成長することは難しいでしょう。
よく例えられるのが「恐竜の絶滅」です、地球環境に大変動が起きたとき恐竜は対応できずに絶滅しました、方や小動物は新たな環境に適応するように進化を遂げて生き延びました。
現在あらゆる業界で新たなる秩序が生まれようとしています、それがデジタルトランスフォーメーションであり、これらの先に在るAIと結びついた未来形のIT技術です。
これらのIT技術革命はこれまでにない大きな地殻変動となります、アナログから完全デジタル時代への移行、どの業界もこの地殻変動に進化を遂げなければ生きてはいけません。
今後あらゆる業界で新たなる秩序が生まれます、そしてその中で淘汰されていく企業が後を絶たないでしょう。
変化するときに変化する、これができなかった企業は当然のこと淘汰されていくのです。
また企業のみならず人もまた大きく変化していかなくてはいけません、時代に合わせて変化を遂げて進化していく企業も人も生き残り未来において繁栄していくのです。
私は不動産に何かと縁があるようで不動産業に多くの知人友人がいます、その中でも昔から知っている不動産会社は以前は社員数名の印刷機械の販社だったそうです。
ところがひょんなことで不動産業にシフトしたのです、そのきっかけはお客さんの不動産を売却する際に買い手を探してあげたことが始まりだと言います。
買い手を探してあげただけなのに当時の会社の半年分ほどの利益に相当するお礼を頂いたと言うのです、なんとその売却額は10億円以上だったといいます。
もし不動産業であれば売り手買い手からの手数料は6000万円にもなります、この瞬間に不動産業にシフトしようと決めたのだそうです。
設立時の事業を10年以上続けている企業は統計では3%以下です、ほとんどの会社は何かのタイミングで事業を変更していきます、当社も設立来40年間で2回も定款を変更するほどの大きな事業変革を行いました。
会社も時代や世の中のニーズに合わせて変化させていくこと、これも生き残るためには重要な経営者の経営活動の一つです。
変化を拒んで淘汰されるよりも変化させて力強く成長していく会社の方が世間の評価は高く、また経営者はその潔さが立派だと評価されます。
企業の評価は何をしているかなどはどうでもよいのです、それは経営者の拘りや意地でしかありません。
それよりも従業員を雇用して利益を出して納税する、これが真の企業が考えなくてはならない社会貢献というものです。
少なくても利益も出ない事業を長く継続させていくことが企業の価値ではありません、収益事業を作り常に利益活動を継続させていくことが真の企業存続価値なのです。
「支援」という言葉を何か大きな勘違いをしている人が多いように感じることがあります、「支援」とはお手伝い・手助け・後ろ盾などを指しています、つまり主役はあくまでも依頼する当人でなければなりません。
したがって「経営支援」と言えば当然のことですが支援される経営者が主役なのです、つまり支援者は決定や事業推進のアドバイスはできても最終決定を行うことはできないのです。
「何も解らない、だから代わりにやってほしい」、これは支援ではなくて代行もしくは代理です、もしも経営者に変わって経営を代行するのであれば、その会社の代表を交代するということです。
それができなくて経営だけを代行するのであれば責任上相応の報酬を頂かなくてはできません、何故なら責任に応じた相応の時間と労力を取られることで自身の生業での収入が減るからです。
ボランティアに近い価格で行っている支援であれば、当然その金額に見合うアドバイスや相談を受ける程度しかできるはずもありません。
ビジネスとは双方のフェアな関係の上に成り立つものです、支援する側もされる側も同じ経営者としてフェアな関係であることが前提です。
その意味で言えばリスクと責任に応じた報酬は当然のことです、「何も解らない」という前に経営者になったら会計や納税の仕組み、そして事業構築と推進の仕方を相応の時間と費用を投資して自身で身につけることです。
私は40年前に起業と同時にベテランの財務顧問を雇い3年間で2000万円以上の報酬を支払って経営と財務テクニックを学びました、10年先を考えたらそれだけの価値を見い出したからです。
本来は経営者自らができないことを他者には任せられないはずです、経営責任そして経営者とは何かを一度じっくりと考えてほしいと思うばかりです。
人は平等に価値有るものを必ず持っています、ただ多くの人は自身のそれを価値有るものだと気付いていません。
オーバーな話をしましょう、あなたは河原に多数転がっている石がお金になるという価値を見い出せますか、おそらく一人を除いてそれを感じることはないでしょう。
これに価値を見出した人がいます、その人はIT業界第一号上場企業の元CSKオーナーである大川功氏です。
大川氏は失業し一文無しの時に毎日失意の念に絡げられ河原で考えこんでいたそうです、その時にふと天から降ってきたのが「この石売れないかな?」という閃きでした。
そこから、市役所や県庁を毎日訪問し数ヶ月をかけてついに無料で「採石権」を得てしまいました、そして庭石として全国に売りまくり大きな利益を得たのです。
その利益を更に当時はビジネスとして成り立つかどうかと誰しも疑問を持っていた情報処理企業(現在IT企業と呼ばれる)を設立し、河原の石で稼いだ私財の全てを投下しキーパンチャー(データ入力要員)を数十人雇ったのです、これがものの見事に数年で時代の波に乗り数万倍の利益を上げたのです。
これが「成功者とは河原に転がっている石っころでもお金に換えることができる人」、という後世に語り継がれるレジェンドを産みました。
大川氏は「次代に来るべきものを正確に読んだ」という天才的な発想もありましたが、何よりも「欲しい物は何としても得る」という執念が成功を呼び込んだとも言えます。
どんな人でもアイデアだけでは成功しないのです、アイデアを具現化するテクニックに加えて執念と人一倍の努力が必須なのです。
皆さんも他者から見ると欲しいものをたくさん持っています、その他者が欲しがる自分の中にある価値にいち早く気付いた人がお金を得る権利を取得する第一歩となります。
でもこれだけではお金を得ることはできません、重要なのがそれをお金に換えるマネタイズテクニックが重要になるのです。
その人しか持っていない価値を適正に評価し、それを具体的にお金に換える方法がビジネスとして確立するなら大きな事業として成り立つのです。
「一度も成功したことがない」という人、その人はこれまで生きてきた中で常に成功しない方法と生き方を選択してきている人です。
それは逆の見方をすると「こうすれば成功しない」というノウハウに変わります、ノウハウは負であっても一つの価値となるのです、もっともお金を払って買う人がいるかは別の次元ですが要はそういうことです。
どんなものにも価値が存在します、重要なのはその価値に気付くということ、そして価値に気付いたらそれをお金に換えるというマネタイズテクニックを生みだすことが重要だということです。
それで結果を出すという執念と努力が更に重要です、ほとんどの人はこれをなかなか自身だけではできません、できていたら皆が裕福になっているでしょう。
自身でできないことであれば、他者に支援してもらうことも重要な成功者の思考というものです。