2024年11月 2日 08:00
「ご飯を良く噛んで食べると甘くなる」、こういう状況を「味の向こう側」などと称するようです。
このご飯が甘くなるというのは本当で、唾液に含まれる消化酵素によってでんぷんが糖質に変化してくるからです。
この酵素による味の変化も「味の向こう側」であるなら、食べ合わせによる美味しさも「味の向こう側」と呼べるのではないかと思います。
例えば刺身はそのまま食べても美味しいのは確かですが、ご飯と一緒に食べてみてください。
全く違う味に変化するのが解ると思います、この場合ワサビは必須です。
これはご飯の甘みが刺身の旨み(グルタミン酸やアミノ酸など)と醤油の塩分、更にはワサビの辛みと混ざり合うことで一気に旨みが増すからです。
そこで、いろいろな食材を一緒に食べるという検証をスタッフと行ってみました。
出てきた答えは、「3種類以上の味が混ざるとより一層美味く感じる」というものでした。
例えば酸み・塩み・甘み・辛み・苦み・渋み・旨みなどのうち3種類以上の味が混ざると単品で食べるよりも美味くなるのです。
例えばカレーは、辛み・酸味・苦み・甘みが一体になっています、実験でそれぞれを単独で味見するととても食べられたものではありません。
ところが1つずつ味を加えて行くと、突然単体の味が消えてまろやかになるのです。
これって何でしょう?
実はこれ、舌にある味センサーの機能が原因なのです。
もともと動物は自身の身体にとって必要な成分は美味しく感じ、毒となる成分を不味いと感じるように味センサーが機能するようになっています。
人間の味センサーは甘み・塩み・苦味・酸みの4つです、辛みや渋みなどはこれらの味センサーの合成によって得られる味となります。
そこで、この4つの味のうち3つ以上を一緒に食べるとどうなるか?
それは各味センサーが麻痺してしまい、単体の味が薄らいで総合した味として美味く感じるようになるのです。
これは、料理の基本?
そう、美味しくない料理は何かの味が足りない、もしくは何かの味が強すぎるのです。
更に、年齢と共に味センサーである味神経細胞は減少していきます、そこで一つの味だけが強調されてしまうようになったり感じなくなったりするのです。
レストランなどで出された料理に自分で調味料を加えるのはマナー違反的なことを言われる事もあります、しかし本来は美味しく食べてほしいのが本当のサービスというもの。
塩とコショーくらいは好きに使わせるというのが本来のサービスではないかと思う次第です。