2024年10月15日 08:00
動物の乳は、水にタンパク質や脂質などが細分化し溶け込んだ状態の液体です。
このような本来水に溶けない成分が細分化し、水分子によって保たれている状態を「乳化」と呼んでいます。
さて、このような状態の液体である哺乳類の乳を実に4000年も前から人類は飲み続けています。
ちなみに、ヤギや牛など他の動物の乳を飲むのは人間だけです、また人間は成長後の大人になっても乳を飲み続けています。
そして、最近になり特に牛乳摂取量の多いアメリカから、各種の過剰摂取による身体への影響報告が出され、ついには摂取注意まで発令されるまでに至りました。
過去、身体に良いとされ摂取奨励され続けた牛乳ですが、果たして身体に良いのか悪いのか大いに疑問が残ります。
各国で牛乳が推奨され続けてきた要因は栄養素にあります、手軽にタンパク質と資質が摂取でき、成長に欠かせないカルシウムを始めとしたミネラルも豊富であるからです。
しかし、2013年に出されたハーバード大学の報告では、「栄養素的に現代においては他の食品から充分に摂取でき、牛乳を推奨する科学的根拠は何も無い」というものでした。
また、牛乳の成分の80%に当たるカゼインというタンパク質を正常に分解できない成人が存在することも解ってきています。
この正常に分解できない場合には、腸から血液に取り込まれ身体中に回り皮膚から排除しようとします。
これが、各種の皮膚疾患の原因とまで言われるようになりました。
更には、イギリスの報告は深刻で癌発生率が上昇するというものです、しかし全く逆の報告も同時期に出されており、正直何を信じたらよいか解らない状況に至っています。
このイギリスでの論争の原因は、牛乳に含まれる「インスリン様成長因子」というホルモンの存在です。
これは、素早く細胞分裂を促し成長させるホルモンで、乳児には必須ホルモンです。
しかし、成人がこのホルモンを過剰摂取した場合には、各種の問題が身体内で起こるということが論争の焦点になっているのです。
結局、牛乳を人間が摂取した場合に身体に良いのか悪いのか、未だに正確な根拠は示されていない状況です。
ただ、解っている事だけで言えることは、乳は子供のころには成長のため必要な存在であるが、大人になってからの過剰摂取は注意が必要ということ。
そして、牛乳を飲むと必ず下痢や嘔吐の症状、また湿疹が出る人はカゼイン分解酵素が少ない、もしくは全く無い人なので飲まない方が良いということです。
カゼイン分解酵素は成長期を過ぎると急激に少なくなります、また人によっては生まれつき全く持たない事も解ってきています。
ただ、カゼインは決して悪モノではなく、正常に分解された場合には各種のアミノ酸に変わり内臓や筋肉を作るためには重要な存在です。
更には、温めた牛乳を飲むと精神が安定し、熟睡できる事も解っています。
牛乳も他の食品と同様に、その食品と自身の身体機能の個性を正確に知って工夫することで、手軽にタンパク質とミネラルを摂取できる食品であることは間違いないのです。