2024年9月10日 08:00
アトピーなどの皮膚疾患や精神疾患も、摂取した食品の消化分解不足によるところが大きいことが病理学的にも解ってきています。
食品の完全なる消化分解、これが実は健康には欠かせない事項なのです。
そこで、これを促す食品は何かを調べると醗酵食品だったわけです、つまり醗酵食品は「医食同源」どおりに「食べる薬」といっても過言ではありません。
醗酵食品は多数あります、麹や酵母による味噌・醤油・お酒に酢、そして乳酸菌によるヨーグルトに漬けもの、納豆菌による納豆など、また自身の消化酵素によりたんぱく質を分解し旨みが増す熟成ハムやチーズなども広義で言う醗酵食品とも言えます。
ところで「醗酵」とは何でしょう?
これを明確に答えられる人は少ないと思います、例えば醗酵を促す「酵素」は実はアミノ酸の一種であり微生物ではありません、しかし多くの人は麹や乳酸菌などと同様の菌の一種と勘違いしている人もいます。
これは、「酵素」も菌類と同様に食品の栄養素を分解し別の栄養素に換える働きがあり、分解過程では二酸化炭素や水が発生します、勘違いしても致し方ないというものでしょう。
「醗酵」には酵素の他に菌類の存在があります、人類発祥前から地球に存在していた生命体である菌類は、実は我々人間にとっては欠かすことができない存在だったのです。
さて、「醗酵」の原理を知る上で、大変参考になるのが醤油の製造過程です。
蒸した大豆と焦がした小麦に塩と水を加えます、そこに「麹」を入れると「1次醗酵」が始まります、しかしこの「麹」は実は初期段階に活躍する菌であり醤油を作る過程のわずか10%程度の役割しか果たしていません。
「醤油は麹が命」、これは間違ってはいませんが麹はあくまでも醗酵過程の一部にすぎないのです。
大豆と小麦がまず「麹」によってアミノ酸に分解されて行きます(1次醗酵)、これが旨み成分の基となります、有る程度まで分解されてくると塩分と酸によって「麹」は全て死滅してしまいます。
そこで今度は「麹」によって閉じ込められていた「乳酸菌」が「醗酵」を引き継ぎます。
「乳酸菌」で分解されてきた食品は、自ら保有していた「酵素」によって更に液体に近いところまで分解します、「乳酸菌」が有る程度まで増えると変わって発生するのが「酵母」です。
これも醗酵菌の一種でアミノ酸から分解された糖を酢酸やアルコールなどに分解します、お酒のアルコール成分はこの「酵母」を用いて糖を分解させ生成しています。
最後に誕生した「酵母」は更に醤油にまろやかさと旨みを香りを加えて美味しくなるのです。
この状態で、殺菌をして全ての菌を殺して醗酵を止め瓶詰めしたのが醤油となります。
醗酵を止めずにそのまま置いておいても、菌が食べる栄養素がすべてなくなると自然に醗酵を止め雑菌も繁殖せずに安定します。
「醗酵」の化学、要領さえ解れば「麹」を使わなくても乳酸菌で代用できますし食品に含まれる「酵素」だけを用いることもできます。
これらの醗酵食品はタンパク質をアミノ酸に変え、でんぷんを糖などに変えます、したがって身体で行われる消化が身体の外で既に行われているのです。
身体に負担をかけない醗酵食品、乳酸菌などが活きている場合は更に身体の中で他の食品を醗酵させて効率よく消化吸収が行われます。
身体に負担をかけずに消化吸収を行える食品を選んで食べることは健康の薬です、日頃から醗酵食品を多く取り入れましょう。