2024年1月15日 09:00
サンスイは、70年代後半にAU-DシリーズというDCアンプを引っ提げて低音キング・サンスイサウンドを確立します。
その後、1985年にAU-αシリーズが出るや空前の大ヒット作となり、1986年勃発のアンプ798戦争を制し約10年に渡りプリメインアンプ市場の40%前後というシェアを奪います。
他のメーカーはその時々で2番手を争い、ソニーやオンキョーなどはヒット商品が出た時は一瞬浮上しますが常に辛酸を味わっていました。
そんな中で、我関せずの独自路線でマイペースに商品化を進めていたのがデノンです。
そんなマイペースだったデノンが1996年に出したPMA-2000(定価10万円)というプリメインアンプが空前の大ヒットを飛ばし、これによってサンスイのシェアをどんどん奪い、あっという間にサンスイの強固な牙城を崩してしまったのです。
PMA-2000
その後もPMA-2000Ⅱ(1998年)・PMA-2000Ⅲ(2000年)・PMA-2000ⅢR(2000年)・PMA-2000Ⅳ(2002年)・PMA-2000AE(2005年)・PMA-2000SE(2009年)・PMA-2000RE(2012年)と数年単位でマイナーチューニング版をシリーズで輩出して行きます。
PMA-2000REが2012年発売ですから、実に16年の歴史を持つわけです。
その後、メジャーチューニングされたPMA-2500NE(2016年発売、定価23万円)が誕生します。
USB-DAC搭載でデジタル全盛期に対応したPMA-2500NEは、PMA-2000の後継機という位置付けよりも新たな別の系譜として捉えるべきでしょう。
つまり、PMA-2000はPMA-2000RE(2012年発売、定価18万円)が最後のバージョンということになります。
バブル崩壊後、世の中に冷たい風が吹く中でのPMA-2000の音質は実に福々しい音色でどんなジャンルもこなします。
クラシックは重厚に、ジャズやロックは軽快に、打ち込み系は刺激の無い聴きやすい音色に、そしてボーカルの生々しい表現力の豊かさはピカイチです。
またサイズも重量もミドルクラス最大級で横綱の如くどっしりとしています。
時代が変われば人々の趣向も変わるのです、その趣向の変化にいち早く気付き軌道修正した者が勝つのです。
何時の時代も同じ法則が当てはまるようです。
そしてオーディオの世界も次々と新たなメディアや技術が誕生してきます、現在の勝者が明日の勝者になるという保証はどこにもありません、現在無名のメーカーが明日の勝者になる可能性の方が高いのかもしれません。
どの業界も大変革期には必ず風雲児が誕生するのです。