私のホームタウンである池袋は横浜中華街に次ぐ日本第二位のチャイナタウンであり、ここにきて更にチャイナタウンの拡大が急ピッチで進んでいます、特に北口方面は行きかう人の半数は中国人であり夜ともなれば聞こえてくる会話のほとんどが中国語です。
アフターコロナで自由に海外に行き来できるようになった今、これまで以上に日本に移住を希望する中国人が急増しているようです、これまで中国人海外移住者の多くはカナダ・イギリス・シンガポール・マレーシアだったそうですが、10年ほど前から日本が最有力地となっているようです。
その理由は物価が安定していて子供が一人歩きしても安全であり医療も発達していて将来への不安が少ないと言います、更には空気が綺麗で水道水でも飲める水の安全性が大きく加えて中華料理が日本の何処に行っても食べられ本国よりも美味しい店が多いということも理由に挙げられています。
そして最大の理由は政策により資産を守れない事情があるようです、それをどのように海外に移すかが重要な課題であり、その意味からも中国人が急増し暮らしやすい日本が最適だという結論に達したようです。
そんなわけで池袋は特に外国人には極めて寛大な街で私のホームマンションも半数は外国人です、更にはオーナーが中国人というマンションも多数見受けられるようになりました。
私的には外国人が多く住む街は活気があって大歓迎です、さらには居ながらにしてグローバル思考が身に付くことも気に入っているところです、私の外国人の友人もこれまでの中国人や韓国人に加えてネパール人やベトナム人と友人のグローバル化が進んでいます、更には新規事業の拡大でベトナム人を雇う計画まで持ち上がっています。
日本の不動産が外国人に買われて行くと嘆く人もいます、でもこう考えたらどうでしょう、少子高齢化が進んで経済力が失われて行くだけの日本において若い外国人移住者はこれ以上無い打開策なのだと、この広い心で外国人の日本移住を歓迎することが明るい未来の日本を考えるに重要なことだと思うのです。
経営とは利益を出し納税してこそのものです、その利益によって経営者も社員も給与を貰い事業に専念できます、他方では人の感覚は損失に先に目がいってしまい利益を素直に喜ぶことができない生き物のようです。
例えば10億円の先行投資で開発を行い初年度1億円の収益を上げたとしましょう、通常1億円も収益が上がったら喜ばしいことですが先行投資の10億円に目がいってしまい1億円の収益を素直に喜ぶことができません。
そればかりか10億円の損失を何とか取り戻そうとしてせっかく収益を出した1億円を有効活用させずに更なる投資に回しマイナススパイラルに陥ってしまうことさえあるのです、このように人間の感覚とは収益以上に損失に囚われてしまうようです。
これは1万円落とした後で友人から10万円損したという話を聞くと何故か救われた気持ちになるという心理学的なこととよく似ています、確かに損失は痛いのですが過去の話しです、経営とは過去を引きずるのではなく未来の収益を考え経営努力を行うことが肝要です。
一過性の先行投資のような損失は税法上9年間は赤字として消えることはありません、つまり10億円の先行投資での赤字はその後9年間で100億円の収益で10億円の利益が上がっても納税額はゼロとなるのです、一過性の損失は未来への節税の種というくらいの気持ちで前向きな経営を心掛けたいものです。
2023年12月、政府は家計金融資産の半分以上を占める現預金が投資に向かい企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで更なる投資や消費に繋がることが重要であるという見解を示しました、つまり「成長と分配の好循環」を実現していくことが重要であるということです、具体的には以下のよう取り組みを推進するということです。
1.家計に向けた取組
・NISAの抜本的拡充・恒久化(令和6年1月から新NISA開始)
・顧客の立場に立ったアドバイザーの普及/促進に向けた検討
・金融経済教育の充実
2.金融商品の販売会社に向けた取組)
・顧客本位の業務運営の確保に向け、顧客の最善の利益に資する金融商品の組成/販売/管理等に関する態勢整備を促すべくモニタリングを実施
・取組の定着/底上げを図るため金融事業者に対して、顧客の最善の利益を勘案しつつ誠実かつ公正に業務を遂行することを義務付ける
3.企業や金融資本市場に向けた取組
・スチュワードシップコードやコーポレートガバナンスコードの策定/改訂
・コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクションプログラムの策定
こういった取り組みにより保険会社等の金融機関はベンチャー向けファンドの組成などが既にニュースに流れています、今後は一般企業も積極的に投資や資産構築&運用を行う時代になっていくと思います。
社会全体が動き出す前に一手先を読んで行動開始する準備を行うことが強い企業です、みんなが動き出した後では参加者に甘んじて先駆者にはなれません、先駆者利得というようにいち早く手掛けた企業が利益を独り占めできるのです。
過日2023年4~6月期の家計における金融資産の統計が発表されましたが、初めて2100兆円を突破し2115兆円であることが解りました、実に日本の国家予算の18.5倍です。
新型コロナウイルスパンデミックが起きた2020年に大きく落ち込んだ家計金融資産は、その半年後から一直線に伸び続け今やバブル経済期の頃とは比較にならないほどの額となっているのです。
この1年間の家計に関するニュースは数度に渡る値上げや消費者物価上昇などの負の情報ばかりがクローズアップされていますが、反面1億円以上資産家比率が増えていることや冒頭の家計金融資産が上昇し続けていることなどはほとんど報道されません。
世の中は確実に世帯間経済二極分化が進んでいるのです、1億総中流と言われた平和な昭和の時代は80年中期に崩壊し、バブル景気を境にその後からは年を追うごとに貧富の差が急拡大しているのです。
特に顕著なのが65歳以上の高齢者世帯です、現預貯金500万円以下と5000万円以上とに見事に分布図が分かれます、さらにここに金融資産を加えたら真ん中がほとんど無く真っ二つに層が分かれます、昭和時代の平均値層が出っ張った文鎮型と真逆の両端が出っ張ったフタコブラクダ型グラフになるのです。
バブル経済期に流行った「勝ち組VS負け組み」という言葉ですが、現在はそのバブル経済期とは比べ物にならないほどの格差が現れているのです。
報道機関はこういう事実をほとんど報道しません、何故なら現政権の基盤が揺らぐことになりかねないからです、こうして国民が知らないうちに更に日本の世帯間経済格差は広がり続けていき近未来SF映画のように経済2つの国状況になっていくのでしょう。
リーマンショック後に経済誌やテレビなどで「100年に一度のピンチは100年に一度の大チャンス」という経済評論家が後を絶ちませんでした、みなさん口をそろえて投資や会社建て直しの好機と説いていました。
私は天邪鬼(あまのじゃく)なのかこの言葉を聞くたびに「景気回復は相当延びるな」と思っていました、結果更に10年以上も低迷が続きました、これは私の予想よりもはるかに長い景気低迷期でした。
投資の世界で俗に言う「ブル/ベアの錯誤」は確実に景気判断にも生きています、「ブル/ベアの錯誤」とは強気派(ブル)が多数になると景気低迷し、弱気派(ベア)が多数になると景気回復するという状況と心理が不一致を起こすというものです。
オイルショック・バブル経済崩壊・リーマンショック(サブプライムローン壊滅)と、綺麗に約20年単位で景気が厳しくなると冒頭の話しが出ます。
その結果どうでしょう、予想をはるかに超える長期不景気が訪れています、バブル崩壊の後遺症はなんと12年も続いたのです。
この裏にいったい何が潜んでいるのでしょうか、土地が下がる、株が下がる、一流企業が赤字転落する、このときマスコミや評論家は常に「景気の底」と言ってきました。
そしてそれを信じて最後の賭けをする人が増えます、相場が上がることを信じて損を補う為に残った財産を投入するのです。
しかし現実は非情にも予測通りにはなりません、土地や株を買う人が増える一方で不良資産を抱えている企業や投資家は揃って売り逃げを仕掛けて損失を最小限に確定しつつ不良資産を解消し身軽になっていくのです。
そして、企業の確定売りが一巡して買い手がいなくなったとき「底なしの暴落=本格的な不景気」が始まるというのが相場シナリオの定石です、個人は売るにも売れない状況になりあっという間に資産が減少します、そして他の商品も買い手が付かなくなり巷には物が溢れ価格も暴落し恐ろしいデフレが発生するのです。
日本の会社の99%は中小企業です、その経営者がこういう事態に巻き込まれたらその会社はどうなるのでしょうか?
景気が一旦悪くなると大企業のリストラが盛んに行われます、一度に数千人という規模ですから大きなニュースになります、しかし中小企業の倒産が相次いだら1社当たりは少ないのですが数千社となれば大企業の比ではない失業者が発生します。
景気回復の直前が最も厳しい不景気になるという統計があります、それに照準を合わせて大企業は保有資産の確定売りを仕掛けてきます。
「100年に一度のピンチは100年に一度の大チャンス」などではありません、「100年に一度のピンチは現存する人類が一度も経験したことがない程の恐ろしい究極のピンチ」なのかもしれません。
妙な期待を持たず当面の経済状況は最悪の状況であることをまず認めることが肝要です、そして景気低迷期は事業の成長を仕掛けるときではなく体力を温存しつつ次の春に向けて培ってきた種をベースに次代にくる好景気に合わせて新たなる事業を作るときなのです。
場合によっては古い体質や陳腐化した事業を手放す絶好のタイミングでもあるのです、厳しい現実を潔く認めることができるのが真の「強い」経営者なのです。