2024年1月20日 08:00
水の話し-1
生命を維持する為に最低限必要なものとして空気・温度・栄養分などがあります。
しかし最も身近な存在で絶対不可欠なものは「水」です。
先にあげた空気・温度・栄養分ですが、これらは全て「水」に関係しています。
これらは「水」が無ければまったく意味のなさないものなのです。
みなさんはこの最も身近な存在である「水」とは何かをご存知でしょうか?
またそれはどの程度まで理解しているでしょうか?
「水」は化学式で「H2O」、つまり水素原子2個と酸素原子1個の「水素化合物」です、これはおそらく殆どの人は知っています。
でも正確に言うとこれですら間違っているのです。
そう、75年前のある発見によって「水=H2O」では化学的に見ると正確な答えではなくなってしまったのです。
実は、今現在発見されている限りで言うと、化学的に正確に「水」の化学式を書くと全部で18種類にも及ぶのです。
1931年、化学者ハロルド・ユーリーは、水の分子を形成する水素原子の中に異常原子を発見しました、ちなみにハロルド・ユーリーはこの発見で1934年にノーベル化学賞を受賞しました。
通常水素原子は電子1個と陽子1個で形成される最も単純な原子ですが、他の原子のように陽子に中性子がくっついた倍の質量を持つ水素原子があることを見つけたのです。
また、その後中性子が2つ在る水素原子も発見されました。
前者を重水素、後者を三重水素と名づけられました、これが同じ性質でも質量の異なる原子の存在、つまり「同位元素」の発見でした。
重水素はD(デューデリウム)で、三重水素はT(トリチウム)で表されます、これらによって水の分子は「HDO」、「D2O」、「HTO」、「DTO」・・・などの組み合わせによって成り立っているのです。
「HDO」の生成される割合は「H2O」の3000分の1、「D2O」は同様に400万分の1ということも判りました、その他は極めて稀にしか生成されません。
更に驚くことは地球上の自然にある水のこの分子の割合は何処で調査しても同じ割合だったということです。
また、酸素にも同じように同位元素がその後に複数発見されたことによって、結果的に先に説明したように「水」の分子構造は、水素原子と酸素原子のそれぞれの同位元素を区分けして考えるとその組み合わせは現在18種類にも及ぶということなのです。
ここで、重水素と酸素だけの「D2O」分子だけで「水」が構成された場合、重さは約10%重くなり粘度も25%も増し沸点は101.7度と「H2O」と違った性格の「水」が出来ます。
ただしあくまでも「水」ですから勿論飲んでも大きな問題はありませんが、多量に摂取すると下痢を起こすことが研究成果として知られています。
「D2O」はその重さに注目し「重水」と呼び、その対比として「H2O」は「軽水」と呼ばれるようになりました。
そして重水は非常に重要な役割を持っています。
それは原子力発電所の高速中性子を熱中性子に変換する「中性子減速材」として使用されているのです。
それまでの「H2O」に比べ「D2O」の中性子減速能力の高さに注目したのです。
<続く>