経営とは利益を出し納税してこそのものです、その利益によって経営者も社員も給与を貰い事業に専念できます、他方では人の感覚は損失に先に目がいってしまい利益を素直に喜ぶことができない生き物のようです。
例えば10億円の先行投資で開発を行い初年度1億円の収益を上げたとしましょう、通常1億円も収益が上がったら喜ばしいことですが先行投資の10億円に目がいってしまい1億円の収益を素直に喜ぶことができません。
そればかりか10億円の損失を何とか取り戻そうとしてせっかく収益を出した1億円を有効活用させずに更なる投資に回しマイナススパイラルに陥ってしまうことさえあるのです、このように人間の感覚とは収益以上に損失に囚われてしまうようです。
これは1万円落とした後で友人から10万円損したという話を聞くと何故か救われた気持ちになるという心理学的なこととよく似ています、確かに損失は痛いのですが過去の話しです、経営とは過去を引きずるのではなく未来の収益を考え経営努力を行うことが肝要です。
一過性の先行投資のような損失は税法上9年間は赤字として消えることはありません、つまり10億円の先行投資での赤字はその後9年間で100億円の収益で10億円の利益が上がっても納税額はゼロとなるのです、一過性の損失は未来への節税の種というくらいの気持ちで前向きな経営を心掛けたいものです。
2023年12月、政府は家計金融資産の半分以上を占める現預金が投資に向かい企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで更なる投資や消費に繋がることが重要であるという見解を示しました、つまり「成長と分配の好循環」を実現していくことが重要であるということです、具体的には以下のよう取り組みを推進するということです。
1.家計に向けた取組
・NISAの抜本的拡充・恒久化(令和6年1月から新NISA開始)
・顧客の立場に立ったアドバイザーの普及/促進に向けた検討
・金融経済教育の充実
2.金融商品の販売会社に向けた取組)
・顧客本位の業務運営の確保に向け、顧客の最善の利益に資する金融商品の組成/販売/管理等に関する態勢整備を促すべくモニタリングを実施
・取組の定着/底上げを図るため金融事業者に対して、顧客の最善の利益を勘案しつつ誠実かつ公正に業務を遂行することを義務付ける
3.企業や金融資本市場に向けた取組
・スチュワードシップコードやコーポレートガバナンスコードの策定/改訂
・コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクションプログラムの策定
こういった取り組みにより保険会社等の金融機関はベンチャー向けファンドの組成などが既にニュースに流れています、今後は一般企業も積極的に投資や資産構築&運用を行う時代になっていくと思います。
社会全体が動き出す前に一手先を読んで行動開始する準備を行うことが強い企業です、みんなが動き出した後では参加者に甘んじて先駆者にはなれません、先駆者利得というようにいち早く手掛けた企業が利益を独り占めできるのです。
過日2023年4~6月期の家計における金融資産の統計が発表されましたが、初めて2100兆円を突破し2115兆円であることが解りました、実に日本の国家予算の18.5倍です。
新型コロナウイルスパンデミックが起きた2020年に大きく落ち込んだ家計金融資産は、その半年後から一直線に伸び続け今やバブル経済期の頃とは比較にならないほどの額となっているのです。
この1年間の家計に関するニュースは数度に渡る値上げや消費者物価上昇などの負の情報ばかりがクローズアップされていますが、反面1億円以上資産家比率が増えていることや冒頭の家計金融資産が上昇し続けていることなどはほとんど報道されません。
世の中は確実に世帯間経済二極分化が進んでいるのです、1億総中流と言われた平和な昭和の時代は80年中期に崩壊し、バブル景気を境にその後からは年を追うごとに貧富の差が急拡大しているのです。
特に顕著なのが65歳以上の高齢者世帯です、現預貯金500万円以下と5000万円以上とに見事に分布図が分かれます、さらにここに金融資産を加えたら真ん中がほとんど無く真っ二つに層が分かれます、昭和時代の平均値層が出っ張った文鎮型と真逆の両端が出っ張ったフタコブラクダ型グラフになるのです。
バブル経済期に流行った「勝ち組VS負け組み」という言葉ですが、現在はそのバブル経済期とは比べ物にならないほどの格差が現れているのです。
報道機関はこういう事実をほとんど報道しません、何故なら現政権の基盤が揺らぐことになりかねないからです、こうして国民が知らないうちに更に日本の世帯間経済格差は広がり続けていき近未来SF映画のように経済2つの国状況になっていくのでしょう。