2022年6月17日 00:00
社会に出始めた若い頃に先輩などから、「優先順位が違う」と言われたことは誰しもあると思います。
ここで、言われている意味は理解できても何がどう違うのか、またどのように改善すれば良いのかと本質的に理解できない人がほとんどだと思います。
さて、そういった人に私がよくアドバイスするのが「因果関係を箇条書きにしろ」というものです。
例えば、有名なことわざに「風吹けば桶屋が儲かる」というのがあります。
このことわざは、「因果関係」を見事に一言で言い表したもので「因果関係」の説明にもよく引用されます。
このことわざは、次のようなプロセスが込められています。
「風が吹くと砂埃が舞う・砂埃で目を悪くする人が増える・目を悪くした人は三味線弾きになる・三味線が品薄になり三味線を大量生産する為に猫が減る・猫が減るとネズミが増える・ネズミが増えると桶がかじられ桶を買う人が増える・桶屋が儲かる」
ここで、強引過ぎるこじつけだと言ってしまえばお終いですが、何がどうなると結果的に何が起きるのかという一連のプロセスと結果を事前に考えられる思考を学ぶことが重要です。
プロセスを把握して結果を事前に予測できるかという思考はどんなビジネスにおいても必須事項であり、危機管理という極めて重要な能力の基本的思考でもあるのです。
ビジネスで上手くいかない人はこのプロセスと結果からの危機意識が無く、一つの失敗から次のステップにおいて改善することができず常に同じ過ちを繰り返してしまうからです。
ここで「因果関係」というのは、「Aが変化するときBも必ず変化する」という法則でのAとBの相関関係をいいます。
「家族が大事だ」と言う人に限って家族との時間を何よりも優先してしまいます、でも私に言わせると全然大事にしていないと思うのです。
皮肉を込めて言うと、ある意味で仕事ができない言い訳に家族を引き合いに出しているのです、これでは家族は喜びませんし家族の期待とは相反しています。
「家族が大事」なら「家族の生活を守る」ことが必要最低条件です、それであれば以下のような思考をしなくては家族の生活は守れません。
「我武者羅に仕事をする・仲間やクライアントから評価される・上司に引き立てられ昇進する・手取り額が増え時間の融通が利く・家族が不安なく暮らせる」
因果関係で示せば、優先順位の最高位は「我武者羅に仕事をすること」であって家族を守るという意味の「家族が不安なく暮らせる」というのは優先順位が最も低いはずなのです。
つまり、「風が吹けば桶屋が儲かる」的に言うと「我武者羅に仕事をすれば家族が不安なく暮らせる」ということになり、必死に仕事をした結果において家族を守ることができるのです、極めてシンプルな方程式なのです。
全ての事項においてこの「因果関係」が成り立ちます、何を優先すべきかを因果関係を真に理解して正しい優先順位を実行している人が成功を収める、昔も今も変わらない不変の法則なのです。
同様に、自身の子供よりも他者の子供を優先する、自身の利益よりも他者の利益を優先する、自身の業務よりも他者の業務を優先する、これらの優先順位も因果関係からみると結果的に自身の子供の将来が有望となり、自身の利益を確保することができ、自身の業務を完璧に完了させることができるのです。
ここで、「自身の子供よりも他者の子供を優先すると自身の子供の将来が有望になる」、この因果関係のプロセスと結果を正しく導けるでしょうか?
子供だけではなく社員など家族や身内に対しても適合できるのですが、かなり高度なプロセス思考が必要になる事項です、ここで正解を導き出せる人は相応の人間関係の各種経験を積んできた人だと思います。
また、正解を導き出せない人は自身の夢や目的を叶えたくても何をすれば良いのかも解らないのではないでしょうか、それは目的への確実なプロセスと結果が描けないからに他なりません。
また、ビジネス上では「自身の利益よりも他者の利益を優先する」、「自身の業務よりも他者の業務を優先する」という因果関係のプロセスと結果が理解できないと有益なビジネスや完璧な業務を行える人にはなりません。
一つの企業には複数の業務が並行して走っています、ここで何が優先されるかは総合的な視野で結論付けされるのであって、自身が抱えている業務はあくまでもその中のたった一つに過ぎないのです。
プロセス思考ができない人は自分の業務しか見えず、抱えている業務を完了させることしか考えていません、だから周囲にストレスを与え業務の評価は全くされないのです。
その業務を行うことによって他の業務に支障が出るという危機意識がないのです、そして自分の都合しか考えていません、これで組織の一員と言えるのでしょうか?
周囲の人は受け入れられない人だと判断します、他者のストレスと苦労を解っていないのは自分だけなのです。
オーバーな話が、その抱えている業務は組織から見ればお荷物業務であるかもしれません、つまり最初から無かったことのように何もやらない方がトータルでプラスになる可能性もあるのです、それを誰かが優先して推進すれば組織に軋轢が生まれるのは必然のことです。
自分が思ったようにならない人というのは、あらゆる因果関係を見極めることができずに優先順位を間違え、他者の迷惑も考えずに「評価されたい」意識での思い込みだけで勝手に突っ走っているのです。
組織にあって評価される人とは、全方位の視野で思考し期待された業務を粛々と完璧に行い、普段は他者に存在を意識されない人なのです。
空気が澄んでいれば空気の存在を意識しません、同じように業務が順調なら推進者は意識されないのです。
トップの意識とはそういうものなのです、だから存在を故意に意識させられる人にはストーカーよろしく強いストレスを感じるのです。