2022年4月23日 08:00
真空管アンプで名を馳せ音作りでは定評のある日本のニューブランドであるトライオードがトランジスタに挑戦したレアなアンプ、それがトライオードFuture2000(2000年発売、定価7万円)です。
トライオード Future2000(一番上)
オンキョーのハイファイデジタルアンプA-5VLと音質を比較中
極めてシンプルな設計のアンプで、入力セレクタとアッテネーターが付いたパワーアンプという代物です。
ところが音出し一番、ストレートに押し出してくる快音にはビックリしました。
何の味付けも無しでCDプレーヤーにヘッドフォンを繋いで聴くのとほぼ同じ音色がします、これは真に「増幅する導線」概念そのものを地で行くアンプだと思います。
低音域も締まっており申し分ありません、そのカチッとした安定の低音域にシャープな中高音域が綺麗に乗るのですから心地良いに決まっています。
こんな曇りの無いスカッとした音のするアンプはそうそう出会えません、音色的には私個人的に名機だと言えます。
ただ、人によってはこういう音色を「荒っぽい」と評価するのですから、本当にオーディオの評価は難しいです、個人の好みというバイアスがどうしてもかかってしまいますから。
トライオードが、「真空管だけではなく真面目にトランジスタでアンプを作るとこうなる」と言っているような存在感を露骨に出しています。
作りも極めてしっかりしており、フロントパネルの厚みといいダイキャストのハンドルも贅沢な作りをしています。
私的な趣向ですが、こういったストレートに押し出してくる音色のアンプは入力直結というスペックをそのまま活用して、AVアンプのフロント出力の音質改善用パワーアンプとして使ってみたい気がします。
このまま素直な使い方ですと、どうしても聴き入ってしまい他の事ができない状態になります、それほどはっとする愉音なのです。
オーディオファンなら是非一度は聴いてほしい音色です、アンプの原点がここに在ります。