2021年2月23日 12:00
90年代に入ると、ミニコンポやマイクロコンポなどサイズを小さくしたコンポが生まれます。
これらのうち、単体でも発売された音質に拘る製品をハイコンポと呼びました。
このハイコンポに各社一斉に新商品を次から次へと継ぎ込み、90年代中盤にはハイコンポ戦争が勃発します。
ここで、もう一つ面白い現象が起きています。
それは、ハイコンポ戦争の裏側にもう一つの戦争が静かに起きていたことです。
それは、エントリークラスの薄型コンポです。
ハイコンポは横幅をダウンサイジングしたのに対して、フルサイズコンポの高さを半分程度にしたのが薄型コンポです。
この薄型コンポは、後にデノン・オンキョー・マランツの三つ巴となり定格出力を抑えながらハイスペックなアンプが排出され、音質的には極めてハイコストパフォーマンスが高いアンプ群です。
きっかけはデノンのPMA-390でしょう、1989年発売で約4万円ですが高音質に驚きます。
更に、PMA-390はその後大ブレークし、マイナーチューニングを施しながら今もなお後続機が発売する大ロングライフなシリーズに発展しました。
次いでオンキョーはインテグラA-913を投入し、徐々に参戦するメーカーが増えてきます。
パイオニアやヤマハも加わり、オーディオ氷河期の90年代も低価格のエントリークラスではハイコンポ戦争の影で静かなる熱き戦いが繰り広げられていたのです。
マランツは、遅れて2000年に入るとミドルクラスからエントリークラスまでを揃えての参戦で、これはこれで実に見応えのある形相を博していました。
ところで、この薄型コンポですが、オンキョーA-913(後にA-912が誕生する)やデノンPMA-390などの音質は抜群で、価格からは想像できないほどの愉音を発します。
80年代のアンプ798戦争時代の再来がこの薄型コンポ戦争と先のハイコンポ戦争です。
戦争が勃発するところには、必ずハイコストパフォーマンスな優秀なアンプが誕生します。
それらを確実に拾ってコレクションするのもまた愉しいのです。