2019年11月13日 12:00
イマイマの時代、発売されているスピーカーはほぼ小型ブックシェルフ型とトールボーイ型だけとなってしまいました。
こんな時代の、フロア型や大型ブックシェルフ大好きな昔ながらのオーディオマニアはいったいどうしているのだろう?
久しぶりにオーディオ雑誌を買いまくり、ネットでのブログなどをネットサーフィンして調べてみました。
やはり、近年のスピーカー製品の超高級志向とローエンド化傾向を嘆く書き込みが多数あります。
私と同じように、マニアが求める国内のスピーカー製品がほぼ無いので新規購入するにも選択の余地がありません。
オーディオマニアが狙う層の中型や大型ブックシェルフで唯一現役なのが、オンキョーのD77シリーズの11代目に当たるD77EN(セットで35万円)のみです。
更に驚くことに、本格ホーン型のツイーターを使用した同じくオンキョーのセプターSC-3B(セットで60万円)という超高級小型ブックシェル型スピーカーが出ています。
このD77ENとSC-3Bはジャズやポップスを聴くなら最高です、極めて完成度の高いスピーカーだと思います。
特にSC-3Bですが、何故小さな箱からあんなにもエネルギッシュな音が出るのでしょう?
これが、イマイマのスピーカー最新技術なのですね。
また、特に繊細なクラシックの音を楽しみたい人向けに、ヤマハは本格3ウェイブックシェルフ型のNS-5000(セットで150万円)という製品を久々に出していました。
パイオニアも、超高級オーディオブランドのTADを立ち上げ過去の音作りノウハウを移行して超高級スピーカーの製品化を進めています。
ソニーは解り易く、ローエンド製品と高級ハイエンド製品とに完全に2極分化を意識した製品作りをしています。
つまり、昔ながらのオーディオマニアは音の変化を楽しむ為にミドルクラスのスピーカーを次々に買い繋ぎたいと思っても、イマイマの時代では海外製品か新品同様の2000年以前の中古品を根気よく探すしか手がありません。
そこで、新宿や秋葉原のオーディオショップに久々に足を運んでみました。
まず驚いたのが、昔は奥の方にひっそりと陳列されていた中古品コーナーが、何とメイン売り場の半分を占めているのです。
特にスピーカーコーナーが圧巻でした、山のように積まれているのですから。
そしてネットなどでも「中古オーディオ製品、高価買取!」という中古オーディオのネットショップが雨後のタケノコのように誕生しています。
なるほど、需要と供給がマッチしているということです。
考えてみれば、70~80年代のオーディオマニアの多くは既に還暦を迎えて隠居しています。
きっと年金暮らしの人も多いのでしょう、引っ越しで荷物になる大型のオーディオ製品を一斉に売り出しているに違いありません。
そっか、そういう意味ではオーディオメーカーがこういった大型のミドルクラス製品を新たに投入しても昔のようにバカ売れしないのかもしれません。
また、今の時代に70~80年代のような製品を作ったら、オンキョーのD77NEのようにセットで30万円は軽く超えてしまうのでしょうから。
私はというと、新しい大型ブックシャルフスピーカーを買うチャンスを伺いながら、手持ちのスピーカーをオーバーホールしては天の時まで繋ぐことにしています。
でも、そのうち中大型ブックシェルフの時代が必ず再来します。
その理由の一つには、オーディオマニアジュニアが順調に育ってきているからです。
そういったブログを読むと、心なしか嬉しくなります。
自分の若かった頃の奮闘状況が生々しく再現されているからです。
そして、流石に70~80年代のスピーカーもメンテナンスやオーバーホールだけでは材質的に持ちません。
中古市場が一巡後、供給数が激減し廃棄数が急増してくるという予測ができます。
その時です、再びオーディオ売り場に日本製のフロア型や大型ブックシェルフが並ぶことでしょう。
70~80年代のスピーカーエンクロージャ(箱)の材質はパーチクルボード、つまり小さな木片を樹脂で固めた板です。
このボードは極めて硬度が高く頑丈ですが、保管が悪いと湿気と乾燥の繰り返しで縁の方から木片が剥がれ出し、剥がれ出したと思ったらあっという間に一気にボロボロになります。
また、スピーカーユニットの多くは紙と布などの繊維を織り込んだものです、また稼動するエッジは和紙に水性ゴムを染み込ませたものや軽量ゴムや硬質ウレタンが使われています。
したがって、これも保管しているだけでボロボロになってくるでしょう。
ということで、天の時をじっと待つことにしてイマイマの小型ブックシェルフの音を確認しつつ、不足したホームシアターで使うサラウンド用スピーカーのみを補充していくことにしたのです。