2020年11月26日 09:18
主演は本木雅弘、その友達として竹原ピストル。
一瞬だけ登場の主演の妻が深津絵里、愛人が黒木華、という感じ。
まず初っ端、主人公のダメっぷりがクローズアップ。
そんな中で妻が事故死するも、主人公は悲しむことができず、ただ、成り行きに身をまかせる日々。愛人含め、周りの人はそれを見て苛立ち、本人に当たり散らすも、主人公はそれがなぜなのか理解できない。
そんな時に出会うのが、主人公の妻の親友の夫である竹原ピストル。この親友も、実は妻と一緒に事故で亡くなっていて、残された夫として、悲しみや怒りの同調を主人公に求めるも、残念ながら主人公にはそんな感情はない。ただ、人目があり、あるフリは一応する、という具合。
ここまで書くと、本当に主人公がダメダメで、最悪、サイテーとなってしまうところだが、そうはならないのが不思議なところ。「あぁ、人ってそういうこともあるよね、きっと。生きているんだもんね、絶対に完璧なんてない。」と思わせてしまうのは、モックンの為せる業なのかも。
結果、主人公は、妻の親友一家との交流で自分自身を見つめ直していくことに。自分のどこがどうダメなのかに気づき、ついに妻の死に向き合い、意味を知り、受け止めていく。
その過程がとてもいい。
きっかけとして描かれるのが妻のメール。壊れていたはずのスマホが、息も絶え絶えに一瞬だけ立ち上がる。主人公は、とっさに未送信メールを探す。すると、自分宛てが一通。それを見つけた時、きっと嬉しさもあったのかもしれない。しかしそこには「もう愛していない、ひとかけらも」の言葉。失望か怒りか、主人公はスマホを投げつける。今度こそ本当に壊れてしまったスマホ。でもスマホ以上に壊れたのは、主人公の心。自分自身はサイテーだったはずなのに、きっと妻には愛されている、そんな自負があったのだろう。未送信メールの発見は、まさにそれが打ち砕かれた瞬間だったのではないか。
でも、最終的に主人公は立ち直る。いろいろな人との関係を修復し、本業でも成果を残す。生活もとても丁寧になり、妻もきちんと弔っている。
そんな様子から感じたのは、「やはり妻は、自分を愛していたのだ」と感じることができたからなのかも。というのも私は、妻のメールの内容、本当に愛想をつかした夫に送る文面では無いように感じる。そういうメールを実際に送れば、夫ともう一度正面から向き合える。つまり、妻は修復を望んでいたのではないか。それに主人公も気づいたからこそ、立ち直ることができた。それはまさしく、妻の望んでいたであろう姿へ。
とても深い作品。
一度、ぜひ見て欲しい。