2021年12月 3日 01:00
私の独立起業は28歳、第二次ITベンチャーブームに世の中が踊りGDPも倍々で増えたバブル景気直前の頃です。
そんな高度成長時代にフリーSEを3年間行って得た軍資金で起業し、当時まだほんの一握りの技術者しかいなかったマイコン開発分野で大手企業からは営業しなくても仕事が次々と舞い込み、当然私を含めた社員の鼻息は荒かったものです。
時に仕事量は社員数の数倍分にもなり、当時の若かりし私は手段を選ばず技術者確保に同業他社から政略によって引き抜きを行ったこともありました。
そんな手段を選ばない私に、「謙虚に生きる事」を教えてくれたのが孔子論語であり戦国武将や三国志などの書籍です。
これは経験上言えることですが、やはり政略を行うとしばらくは夜も眠れなくなります、心のどこかで知らぬ間に他者を陥れたやましさが増大してくるものなのです。
どんな人も、時に調子が良いと「自分天下」と勘違いを起こしてしまうものなのです、しかしここで「人の道に外れてないか?」と自身を省みることが肝要なのです。
孔子論語、どれほど当時の私の心に響き深く自身を戒めたかわかりません。
私はこれを機に180度方針を変えました、同業他社との関わり合いを競合から協業という関係に変えたのです。
「仲間内で争ってては真の成功は無い、共存してこその業界の成功であり自身の成功も有る」と考えるようになりました。
その後です、同業他社の社長たちと協業による関係改善を行い楽しく飲めるようになったのは。
あの時、方針を変えずにイケイケで成長させていたら早い時期に上場できていたかもしれません、事実周囲からも「何故、方向転換したの?」とよく言われていました。
でも、私はこれっぽちも後悔はしていません、自身の夢の実現よりももっと尊ぶべきことがあるのです。
人として正しい道を歩んで行きたい、何の不安もやましさも無く安心して暮らせること、それが人生の成功だと思えるようになったのです。