2019年4月22日 00:00
「ブレイクスルー」という思考が、若き経営者を席巻した時代がありました。
この「ブレイクスルー思考」とは、簡単に言うと、プラス思考の単純な都合の良い発想に対して、障害となるべきものへの因果関係を自分にとって価値の有るものだとし、それを乗り越える思考法をいいます。
ただ、各種の書籍を読んでみて違和感を感じるのも確かです。
これは、私の感性からの一つの意見ということをまず申し上げておきます。
つまり「ブレイクスルー思考」を否定するものではなく、発展させたいという願いも含まれていると考えていただければ幸いです。
さて、「ブレイクスルー思考」では、発想法として「決してどのような状況でも悪く考えない」ということが述べられています。
都合の悪い情報などは、無視することで向上的意識を高めていくというもので、スピリチュアル的な意味合いも含まれています。
私の意見というのは、この「ブレイクスルー思考」の利用範囲として、例えばある組織の目標を達成させるという点などにおいて、限定的に用いることは有効性を発揮すると思います。
つまり組織を構成する要員に対して、一時的に用いることは何の問題はありません。
しかし組織をまとめる人、例えば経営者や役員など、判断や決定を行う人がこの「ブレイクスルー思考」をそのまま実践すると極めて危険であると考えます。
情報や状況に対して、良いとか悪いと思うこと自体がそもそも間違っているのです。
私からすれば、全ての状況は自己を成長させるための試練であり、全て自分の行動によって引き起こされた結果です。
したがって、責任という意味でもそれを認めることが冷静に状況を把握し、ベストな決断を行えるものと考えています。
その意味で、私が自ら実践しているのは「ブレイクスルー思考」ではなく、「肯定思考」なのです。
「肯定思考」とは、正確に起きた事実を認識し認めることで次の段階の軌道修正を積極的に行う思考をいいます。
組織をまとめる責任ある立場の人は、組織を構成する要員に関しては「ブレイクスルー思考」の推奨を、自らは「肯定思考」で責任ある立場を全うしていただきたいと願うばかりです。
世の中、様々な情報が溢れています、それをどう捉えるかはそれぞれの自由です。
ただ、自分の立場・責任・状況をしっかり「肯定思考」で把握してから、取り入れるなり無視するなりの決定を行っていただきたいと思います。