2019年2月 6日 00:00
売り上げが伸び悩む企業経営者は、必然的にコストダウンを行うことが定石のように考えてしまいます。
売り上げが一定であれば、コストダウンすれば利益が増えキャッシュフローが向上することは誰にも解ります。
これは、「利益=売上-コスト」という単純な計算により理解できます。
コストダウンという課題で、多くの経営者が思い付く事項は人件費や家賃の固定費を削減することです。
利益に繋がらない人に支払う金額を減らして、オフィスを安いところに移動するというものです。
しかし残念なことに、こういった直接的な事項に目を向け始めると将来先細りするばかりとなり、経営者が最もやってはいけない手法の一つです。
また、社内外に上手く行ってない事を強烈にアピールすることになります。
更に、周囲の人もまた去って行き、益々窮地に追い込まれてしまいます。
コストダウンを考えるなら直接的なコストダウンではなく、実は見えないところのコストダウンが有益であり、またその要素は多数あります。
私の過去の例では、レンタル倉庫に眠っていた在庫を思い切って全て廃棄したことがあります、損失額は3000万円以上に上りました。
そして、仕入れは1台辺りの価格は高くなっても、メーカ直送というノンストック方式に切り替えました。
結果的に管理コスト、ストックコストなどを総合的に計算すると、年間にして1000万円近くのコストダウンに成功したことがあります。
勿論、在庫処分の損失は出ます、しかし黒字の期に一気に行えば特別損失計上で節税対策にもなり、逆にキャッシュフロー向上に繋がるのです。
廃棄損は決算上の事で過去に既に支払い済みであり、未来のコストダウンは直接的にキャッシュフロー向上という形で現れます。
企業経営とは、一過性の損失や決算上の赤字・黒字に囚われるのではなく、現在そして未来のキャッシュフロー重視で思考することが重要です。
黒字でもキャッシュフローが回らなければ倒産し、赤字でもキャッシュフローが回り続ければ倒産しません。
見えないコストの話しに戻りますが、オフィスや店舗の照明をLEDに変え、最新のエアコンに替えるだけで、これも思いの他大きなコストダウンに繋がります。
設備投資などで一時的なコストはかかりますが、全てリースを使う事で、長期展望で見ればこれもキャッシュフロー向上に繋がります。
コストダウンで重要なのは、今だけを考えお金を使わない方法を考えるのではなく、長期戦略に基づいて計画的に行うことが肝要なのです。
更に重要なのは、方法ではなくて施策タイミングであることは言うまでもありません。
タイミングさえ間違えなければ、キャッシュフローの改善と節税との両面でのメリットが生まれるのです。
コストダウンを行うなら安直な家計簿思考ではなく、長期展望と各種のテクニックを駆使し、絶好のタイミングを狙って一気に行う事が肝要です。
コストダウンは一種の錬金術です、錬金術は金を得る為に多くの呼び金(種金)を先に使わなくてはならないのです。
この理論が明確に理解できる人は、既に立派な経営者と言えるでしょう。