2021年2月17日 10:00
医療の分野は、保健医療行政のさまざまな規制やプライバシー保護の問題もあり、他の産業分野に比べ情報化が著しく遅れていました。
診療記録に関する医師法第24条などの諸法が、紙記録を前提としたものであり、1990年代から先駆的な電子カルテ導入の試みが開始されましたが、紙の診療録への記載が必要とされました。
この時は、入力と記載の二重の手間が発生し、電子カルテの普及の妨げになっていました。
1988年の厚生省(現厚生労働省)の通知「診療録等の記載方法について」では、作成した医師の責任が明白であればワープロなどのOA機器で印刷し、作成できるとされましたが、フロッピーディスク(FD)など電子媒体への保存の可否については明白にされませんでした。
その後、1994年の通知「エックス線写真等の光磁気ディスク等への保存について」では、法令により、保存義務が規定されているX線写真などについて、一定の技術的基準に適合している画像関連機器を用いる場合には、フィルムに代わって光磁気ディスクなどへ保存しても差し支えないとされました。
このときも診療録そのものの電子媒体への保存については触れられませんでした。
しかし、1999年4月、規制緩和の一環として、また、情報通信技術の著しい進歩に対応するため、「診療録等の電子媒体による保存について」と題する通知が出され、保存する文書、保存する条件を明示した上で、診療録等の電子媒体への保存が容認され、電子カルテの本格利用が可能となりました。
この通知により、電子媒体に保存する場合には、保存義務のある情報として、「真正性」、「見読性」、「保存性」の3条件を満たさなければならないとされています。
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