2022年7月 1日 07:00
あまり知られてはいませんが、内閣府が進めるデジタル施策の一つに「給与のデジタル払いの推進」というのがあります。
当初は2020年度の実現を目指していましたが、今もなお課題が山積みで難航しているようです。
この「給与のデジタル払い」とは、給与を銀行口座に振り込んで支払うのではなくスマートフォンのアプリケーションを通してスマートフォンに直接振り込んで行うという代物です。
審議会が継続して開かれていますが、実現する為の課題の一つにスマートフォンのアプリケーションを運用する企業が倒産した場合はどうなるかとか、スマートフォンを落としてしまったらその保証はどうするかなどです。
まあ、世の中の新たな試みが次々と出てきますが、障壁は常に「リスクヘッジ」というのは何時の時代も変わらないと思うばかりです。
銀行の通帳だって言ってみればただの数字に過ぎませんし、カードを落とせば引き出されるリスクはあるし、銀行が破たんするリスクもあるのです。
さて、「給与のデジタル払い」はメリットとデメリットがあるのでしょうか?
メリットは企業の「振込手数料」の削減です、デメリットは銀行にある意味では縛られることになり金融の自由化が阻害される可能性があります。
確かに、社員1万人もいれば毎月数100万円が振込手数料で消え、年間にすればかなりの額となります、これの全てが銀行の収益となっているのです。
給与のデジタル払いが実現すれば、ビジネス上の支払いは事実上「デジタル払い」が普及していくことになります。
このデジタル払いは是か非か、そして内閣府の真の目的は何か、振り込む側ではなく貰う側がじっくりと見極めなければならないデジタル施策だと思います。