2022年7月25日 02:00
近年になり「中華アンプ」と呼ばれるジャンルが台頭してきています、読んで字のごとく中国に本社を構えるオーディオブランドで2000年以降は特に大挙して誕生しています。
中華アンプは、真空管アンプとD級デジタルアンプが殆どで日本のオーディオメーカーのようなアナログを駆使したトランジスタやFETのディスクリート(単品部品だけ回路を構成)アンプはほとんど見当たりません。
その理由は明らかで、まず真空管アンプでは真空管を始め部品の多くがロシアや自国で安価に手に入るばかりか回路などは全て公開されていますから新たに設計する必要もありません。
また真空管アンプは回路が極めてシンプルで手作業で製作するのが基本なので、そういう労働環境も含めて都合が良いわけです。
D級デジタルアンプも部品数は極めて少なく、ICとその周辺の部品数点だけで成り立つ製品です。
そういった点で真空管とD級デジタルアンプ分野で中華アンプはこの数年間で特に多くのブランドを輩出してきているのです。
さて、こういった中華アンプの魅力は低価格ということですが、その実力はどうなのでしょうか?
少なくてもD級デジタルアンプではICによる性能が全てを決めてしまうため、定評あるICを使ったものは他社とそれほど遜色は無いと思います。
事実、サブウーハーなどのアクティブスピーカーに使われる内臓アンプの多くが中華アンプということでも頷けます。
ただ、真空管アンプは一部のブランドを除き安価に出している製品は怖い気がします。
何故なら、あまりにも安すぎるのです。
真空管は同じ品版でも大きく性能が異なります、ラックスマンなどでは1本1本を測定器で測り製品ごとにペアリングを行ったものを使用します、だから左右の音質や音量のバラツキが無いのです。
また、性能試験で弾かれた規格外ものをB級品と呼ぶのですが、こういった部品を使うとかなり安価にできることで知られています。
実際は解りませんが、こういった事情を知る者としてはあまりにも安価な中華真空管アンプはちょっと買えないと考えてしまいます。
ただ、興味本位でどれほどの実力なのかを知りたいとは思っているので、機会があれば是非買って検証してみたいと思っています。
尚、中華真空管アンプでも高音質と高性能で高価格な世界ブランドを確立しているブランドも近年では存在しています。
特にヨーロッパを中心に活路を見い出しており、日本にも徐々に浸透してきています。
こういったブランドの製品は日本メーカーと比べて価格もそれほどの差は無く、世界中に代理店もありメンテナンス等の面においても安心して使える製品ではないかと思います。
経済力とオーディオはシンクロするようで、中華アンプの躍進の裏には中国の経済力が伸びてきた背景があることは間違いありません。