2022年7月28日 02:00
レコーディングなどの業務用オーディオ界には、エンハンサーという聴き慣れない編集装置があります。
このエンハンサーという機械は何をするのかというと、原音を元に各種の整形を行う装置なのです。
例えば、それぞれの楽器の音の強弱や波形をシャープにさせて刺激的な音にするなど音を詳細に加工するのです。
最近では、こういったエンハンス装置を使って古い録音を最近録音されたように加工するというリメイク版のCDなどは当たり前のように存在しています。
昔の録音のぼやけた音がくっきりした迫力ある音に変わるのです、まさに魔法の装置です。
また音だけではなく映像用のエンハンサーもあります、同じように昔のぼやけた映像がくっきりした現代の映像に変わります、更にモノクロ映像がカラーになったり1K動画が4K動画になったりと、この効果は凄いものがあります。
エンハンス技術は最近のものは全てソフトウェアによって行われます、つまりエンハンサーという装置にはCPU(DSP:デジタルシグナルプロセッサ)が入っており、高性能な信号処理を行う専用のパソコンだと思えば解りやすいでしょう。
こういった音や映像を加工する技術ですが、最近の高級ユニバーサルプレーヤー(DVDやCDなど全てのファイルを再生できるプレーヤー)や高級AVアンプにも搭載されています。
つまり、リアルタイムに自動で音や映像が加工され、それを愉しむことができるのです。
一度でもリアルタイムエンハンスの音や映像を体験してしまうと、麻薬のようにそれ無しでは物足りなく感じてしまうようになります。
こうして、どんどん高額の製品を買うようになってしまうのです、メーカーの戦略って凄いです。
ちなみに、プレーヤー類やAVアンプは誕生以来ですが、1990年以降のプリメインアンプにもセレクターなどにCPUを使っていますし、今ではデジタル対応と謳っている製品はすべてにCPUが入っています。
アナログな音の世界もスピーカーの直前まではデジタル加工によって音が作られている製品も多いです、そんな意味でも「オーディオもデジタル全盛時代」と言われているのです。