「ブレイクスルー思考」とは、プラス思考の単純な都合の良い前向きな発想に対して障害となるべきものへの因果関係を自分にとって価値の有るものとし、障害となるべき物を乗り越える思考法をいいます。
著書などではその具体策述べています、これを簡単にまとめると以下のようになります。
・迷ったときはワクワクできる方向を選択する。
・全ての事象には意味があるものとし順調な試練と考え無条件に信じる。
・嫌な気分になることは放置する。
・トラブルは全て順調であるとする。
・出会いには全て意味があるものとする。
・落ち込まないために期待しない。
・「しなければならない」から「するにこしたことはない」の発想に変える。
・自分に解けない問題はないと信じる。
・自分なりの発想を持ち、それを大切にする。
・具体的方法として「自分が成長すること」・「再出発すること」で非常事態を潜り抜ける。
また前回私の意見として、上記から組織を構成する要員ならよいが経営者や組織をまとめる人には危険だと言ったことをもう少し説明すると、経営者においては以下のような問題点が見つけることができるからです。
・重要な経営課題が本質を認めないまま刷り替わる可能性が極めて大きい。
・状況を素直に把握できずに危機管理上の問題がある。
・大きな障害が何故起きたのかの本質を見抜けず危機回避を行えない。
つまり、良いことだけを見ていては経営はできないということです、これが私の違和感の最大の理由です。
最後にもう一度言いますが、大手企業の組織運営上は目標達成などに有効と思えるのですが、ベンチャー企業や中小企業ではどうでしょうか?
これらから勘案して、経営者がブレークスルー思考では危険であると思えてならないのです。
「ブレイクスルー」という思考が若き経営者を席巻した時代がありました、「ブレイクスルー思考」とは簡単に言うとプラス思考の単純な都合の良い発想に対して、障害となるべきものへの因果関係を自分にとって価値の有るものだとして乗り越える思考法をいいます。
ただ各種の書籍を読んでみて違和感を感じるのも確かです、しかしこれは私の感性からの一つの意見ということをまず申し上げておきます。
つまり「ブレイクスルー思考」を否定するものではなく、発展させたいという願いも含まれていると考えていただければ幸いです。
さて、「ブレイクスルー思考」では発想法として「決してどのような状況でも悪く考えない」ということが述べられています、都合の悪い情報は無視することで向上的意識を高めていくというものでスピリチュアル的な意味合いも含まれています。
私の意見というのは、この「ブレイクスルー思考」の利用範囲として例えばある組織の目標を達成させるという点などに限定的に用いることは有効性を発揮すると思います、つまり組織を構成する要員に対して一時的に用いることは何の問題はありません。
しかし組織をまとめる経営者や役員など、判断や決定を行う人がこの「ブレイクスルー思考」をそのまま実践すると極めて危険であると考えます。
情報や状況に対して良いとか悪いと思うこと自体がそもそも間違っているのです、全ての状況は自己を成長させるための試練であり全て自分の行動によって引き起こされた結果です。
したがって、責任という意味でもそれをまず認めることが冷静に状況を把握しベストな決断を行えるものと考えています。
その意味で、私が自ら実践しているのは「ブレイクスルー思考」ではなく「肯定思考」なのです。
「肯定思考」とは、正確に起きた事実を認識し認めることで次の段階の軌道修正を積極的に行う思考をいいます。
組織をまとめる責任ある立場の人は、組織を構成する要員に関しては「ブレイクスルー思考」の推奨を自らは「肯定思考」で責任ある立場を全うしていただきたいと願うばかりです。
世の中には様々な情報が溢れています、それをどう捉えるかはそれぞれの自由です。
ただ、自分の立場・責任・状況をしっかり「肯定思考」で把握してから取り入れるなり無視するなりの決定を行っていただきたいと思います。
急成長のベンチャー企業の社長さんはたくさん報酬を貰ってるのでしょうね、芸能人と付き合っているとか、高級乗用車に乗ってるとか、ヨットを持っているとか、テレビやネットの世界でも何かと話題になります。
さて話は変わって、総務省発表の家計調査では全世帯の貯蓄額の平均は1世帯辺り約1800万円という結果が出ています、またサラリーマン世帯でも1世帯あたりの平均貯蓄額は約1200万円という結果です。
これはあくまでも貯蓄額です、土地・家・株・絵画や骨董品などの動産不動産などの資産を加えたら恐ろしいことに総資産1億円を超える世帯は日本に150万世帯もあります。
さらにこのデータはあくまでも資産1000万円以上の人の確定申告での自己申告であり、本当はどれほどの隠れた資産家がこの日本にいるのか解りません。
日本の全世帯の資産合計は、日本の国家予算の20倍の1400兆円という隠れた調査結果まであります。
この隠れた資産を現金化して市中に回すと一瞬で日本はGDP1位になるのです、これが日本の経済強国である底力となっているのです。
何が言いたいかというと、ベンチャー企業の社長さんの資産レベルなんてものはマジョリティ(多数派)だということです。
でも自分はお金持ちだと勘違いしているのです、正確に言うと社員より2倍程度の給料を貰っているというのが実際の話しです。
本物の資産家は数千万程度の儲け話には乗りません、黙っていてもその程度は毎年不労所得で入ってくるのですから。
ところで、何故詐欺師はちょいお金持ちをターゲットにしているのでしょうか?
もっとも比率の高いマジョリティだからです、そして詐欺師から見ると自分がお金持ちだと勘違いしている人が最も騙しやすい人達だということを解っているからです。
ベンチャー企業の社長さんは経営しながら管理や営業までこなし、おまけに開発まで先頭切ってやっているのですから確かにカリスマです。
でも、実はこれもまたマジョリティ(多数派)なのです。
そんな凄い人は世の中に沢山います、気がつかないのは意識していないからです、八百屋・魚屋・肉屋・パン屋、そしてレストランのオーナーにコンビニの店長さんと。
そうです、自営業や売り場などを任されている人の殆どが、実は世の多くの社長さんと同じようにマルチで業務をこなしています。
勘定(経営)をして、従業員やパートタイマーの管理をして、従業員の相談に乗って、更に先頭切っての営業や販売戦略や商品企画までもこなします。
むしろ、その仕事内容は今どきの社長さんよりも余程器用に業務をこなしています、これこそが真のカリスマではないでしょうか?
やって当たり前、出来て当たり前、努力して当たり前、頑張って当たり前、辛くて当たり前、寝る間もなくて当たり前、だってそれが社長という職業なのだから。
自分が選んだ道なのだから、成功を掴むまでは何よりも仕事を優先し没頭しなくてはならないのです。
毎朝3時に起きてパンを焼いているパン屋さん、20時間労働で営業時間以外は仕込みをしているラーメン屋さん、本当に稼ぐのに努力している人は当たり前のように世の中にたくさんいます。
この世に特別な人なんていないのです、みんな努力して頑張って生活しているのです、楽しんでいるように見える人はどれほどの努力と苦労を重ねてきたかを知る由もありません。
その状況になるまでは、毎日ヘトヘトになって家に帰って何もする元気もないほどに働いていたのです。
夢を描くのであれば愚痴を言う時間にやることをやりきることです、やりきった人は愚痴など一言も出ません、満足感でいっぱいなのですから。
「よくそんなこと考えつきますね!」と周囲に言わせる人がいます、ある商品を見せるとアイデアがドンドン出てきます、「あれにも使える」・「こうすればもっと売れる」などと。
でも、そういう人は特別なアイデアマンでも何でもないです、世の中にはそんな人はたくさん溢れています、何も言わない人は他者も同じ事を考えるだろうと思うから言わないだけなのです。
つまり、このような「ちょい賢い人」は実はマジョリティ(多数派)なのです。
本当のアイデアマンは、宇宙から飛んできたようなゼロからの発想ができる人のことを言うのです。
既存のものでアイデアが出せるのは元々人間に備わった応用能力の一つです、何も教えていないのにサルが棒を使って物を取れるように考えつくのと同じで生存本能の一つなのです。
問題は、このような本来はマジョリティである人があまりにも人から褒められるので自分は天才ではないかと勘違いを起こすことです。
そして何の根拠もなく起業したり事業化したりしてしまうのです、こうなると止まりません、そういう人は自信が有るから失敗なんていう言葉は頭の片隅にもありません。
私はこのような人を数多く見てきました、そしてその人たちの末路は言うまでもありません。