マーケティングと言えば、その第一人者である「フィリップ・コトラー」を思い浮かべる人も多いことこでしょう。
「フィリップ・コトラー」は、マーケティング理論や手法に関して多くの書籍を残しているので理論を学びたい人はこれらの書籍を読んでいただくとして、私は特に小規模事業者に特化した具体的な手法をまとめてみることにします。
まず最初にマーケティングとは何かですが、「フィリップ・コトラー」の言葉を借りて簡単に言うと「企業が欲しいものを手に入れるための経営的プロセス」ということになります。
しかしその範囲は広く、多くの人が経営戦略や市場調査を含めた営業戦略などと何が違うのか戸惑うのも確かです。
一言ではマーケティングを語ることはできません、これらの経営戦略から営業手法までをすべてを含んでいると思っていただければ間違いないでしょう、小規模事業者では「マーケティング」とは経営そのものであると言っても過言ではありません。
よく間違われる事項に、「マーケティングリサーチ」があるのですが、これは「売るための事前調査」でありマーケティングの極一部です。
マーケティングの要素としては「商品やサービスを提供する事業」に的を当てると、概ね以下の項目に絞られます。
1:市場性
2:消費者ニーズ
3:営業&販売手法
4:事業の将来性
このうち、最も基本である項目は「市場性」なのですが、多くの人は何故か「営業&販売手法」のみに注目してしまいます。
更に言うと、「営業&販売手法」を指してマーケティングと勘違いしているのが現実なのです。
はっきり言いますと、市場性を調査し事業規模の把握なくしてマーケティングを語ることはできません。
ブランドは、メーカーによってではなくユーザーや販売代理店によって確立されます、一旦ブランドが確立された後が実はブランド戦略の本質が現れます。
メーカーは使う人の立場で商品やサービスを提供する、それは使う人の利害や価値観と一致しブランドが確立されます。
ここでメーカーがブランドが確立されたと安心してその後に何もしなかったらどうなるでしょう、おそらく折角確立されたそのブランドは長続きはしないでしょう。
つまり真のブランドにはなりません、偶然ヒットした一発屋と同じで一過性の単なる流行で終わってしまうに違いありません。
一旦確立されたブランドを維持すること、実はこれが本当のブランド戦略なのです。
確立されたブランドを維持することは並大抵の努力では継続できません、品質管理や修理などの保障サービス、そして継続した新商品の提供とブランドが確立されるまでの数十倍のお金と努力が必要となります。
これによってメーカーは多くのノウハウや優秀な人材を得ることになります、更には売り上げや利益は勿論のこと大きな社会的信頼・信用を得ることとなり、ようやくここで世界有数のブランドメーカーとして扱われることになるのです。
メーカーはユーザーに受け入られる商品やサービスを提供する、これはユーザーの満足度を満たしてヒット商品となりブランドが確立します。
確立したブランドを維持するためメーカーは更なる努力を継続する、努力が継続されたブランドは新たなる文化となりそのメーカーは世界的な信頼できる本物のブランドメーカーとなるのです。
世界的な紅茶の圧倒的ブランドであるリプトン社ですが日本にはもう1社ブランドを確立したブルックボンド社の存在があります、世界では無名のブルックボンド社は何故日本で紅茶の一流ブランドとして確立できたのでしょうか?
フランスの片隅で数十年間も細々と営んでいた手作りのカバン工場は世界有数のファッションブランドに成長しています、この世界ブランドは何故一夜にして生まれたのでしょうか?
スイスにある時計の手作り工場も同じように数十年間細々と営んでいましたが世界で最も信頼できる時計ブランドとして確立しました。
これらのブランド確立秘話の裏には一流のデパートに採用された、皇室や超有名人が好んで使っていたのが雑誌に紹介された、世界的なスポーツイベントの標準品として採用されたなどの特殊な理由があります。
メーカが積極的に営業したわけではありません、積極的にブランド戦略を展開したわけでもありません、では運が良かったのでしょうか?
運だけでは本物が解る人は採用しませんし買いません、これらのメーカに共通しているのは「自分が使うとしたら」を一番重要課題として数十年間という長い期間をかけて真摯に取り組んでいたからです。
その根底にある思想は「自分が使いたくないものを他者が買うか?」なのです、したがってそのメーカの製品には人間の温もりを感じるのです。
そういう人間を知り尽くした機能性とデザイン、また実際に使ってみた時のフィット感にしっかりと生きているのです。
最も重要なことは何年使っていても壊れない、飽きないということも安心感を生みます、そして使う度に味が出てくるのです。
そういう数十年も継続させた姿勢が何時か本物を見分けられる人の心を動かし採用されたのです、そして本物が解る人に採用されたことが一般の人への信頼感となり浸透していったのです。
あの会社が採用した、セレブな素敵な女性が愛用した、世界的な国を挙げてのイベントに採用されたなどが本物が解らなくても一般の人への信頼感となり、あっと言う間に広がっていくのです、こうして世界ブランドが一夜にして確立されたのです。
「ブランド戦略」の書籍をいろいろ読んではみるものの何かしっくりきません、過去の分析であったり小規模事業者が行うにはあまりにも非現実的で空論に近いものが多いからです。
また果たして「ブランド戦略」といいますが、「これが戦略なのか?」という疑問すら覚えるものも多数あります。
さて小規模事業者の「ブランド戦略」を考えるとき、過去の多くの失敗例はブランドを意図的に作っているということがあげられます。
そもそも「ブランド」とは何でしょう、一つ言えることはブランドはメーカーによって一方的に作り上げるものではなく市場によって作られるものでなくてはならないのです。
それは、消費するエンドユーザーであり販売を行う販売代理店によってです。
少なくても一般に行われているような、マーケティングによって商品コンセプトを考えロゴを作ってデザインを起こして広告を行い販売することがブランド戦略ではありません。
多くの失敗例は、上記の一連の行動によって現場や営業が間違った目的を作り出し更にはそれを行うことで間違った結果を得てしまうことにあります。
そして全てが一瞬にして終了してしまうわけです、本来の最大の目的を完全に見失ってしまっています。
結果、あれだけ多くの時間とお金を費やしたのに「何故売れない?」というストレスと、当然のこと大きな在庫損失を抱え込んでしまいます。
この時代は、冷静に真の「ブランド戦略」を考え実行しなくてはいけません。
ブレイクスルー思考とは、プラス思考の単純な都合の良い前向きな発想に対して障害となるべきものへの因果関係を自分にとって価値の有るものだとして、それを乗り越える思考法をいいます。
しかし、大手企業の組織運営上は良いがベンチャー企業や中小企業においては良いことだけを見ていては経営はできません、私が違和感があると感じる最大の理由です。
ただ一言でも、「どういう立場の人向けの思考である」ということを最初に謳っていただけていれば問題ないと思うのです。
また繰り返しになりますが、大企業での課内単位で行うには短期的目標達成には大きな成果が出るかもしれません。
しかしベンチャー企業や小さな組織でこれを用いると更に一つ大きな懸念されることがあります、それは「良い子は育つが強い子は育たない」ということです。
大企業では良い子は成果を発揮できますが、ベンチャー企業や中小企業では良い子ばかりが集まっても成果を出す前に会社がいざというときに持たない可能性があります。
ベンチャー企業や中小企業に必要な人材は、あくまでもいざという時に踏ん張り必ず成果につなげる強い社員です、決して「優秀な社員」ではありません。
ベンチャー企業や中小企業にとって重要な人材とは、都合よいときに普通に成果を上げる社員ではなく、非常事態に成果を上げつつ苦しい状況下でも最後まで踏ん張れる逞しい社員が必要なのです。
企業価値とは平和なときではなく非常事態のときに真価が問われるのです、危機を何度も潜り抜け成長し10年以上も同じ事業で営んでいる企業は何故潰れないのでしょうか?
そして、どんなに苦しい時でも銀行や社員は何故見捨てないのでしょうか?
理屈や計算で解けないものを認められない人はこの謎は一生解くことはできません、企業に真に重要なものとは頭ではなく心で感じ取らなければ解らないものなのです。
何故だか解りますか?
企業とは人によって作り上げられた組織であり法の下での「一人の人格者」なのです、「法人」という言葉を心で感じ取っていただきたいと思います。