2018年4月 9日 12:00
急速に広まりつつある「フィンテック」という言葉ですが、まだ定義すら正式にはありません。
例えば、フィンテック関連のサイトを見ると、多くが金融機関のサービス変更などに関する情報や、これまで経済情報サイトに載っているような、とてもフィンテックとは呼べない情報で埋め尽くされていています。
フィンテックといえる情報は、1%程度しかありません、これが世間を混乱させている原因ではないかと思います。
事実、書店でフィンテック関連書籍は、何と工学ではなく、経済のエリアにあるのですから驚きます。
フィンテックとは、あくまでも金融のデジタル・トランスフォーメーション化であり、これまでできなかった金融業務を無人化するような高度なITを駆使したサービスを指していなければなりません。
そこで、私はフィンテックのカテゴリは大きく3つあると考え、このカテゴリに絞った次世代戦略を繰り広げようとしています。
その一つは、ブロックチェーンに代表される、P2P接続による金融機関などの管理者を通さない加入者同士の直接取引、またこの取引に重要な改ざんされない電子台帳技術、これが最もフィンテックと言えるものだとも考えています。
これが一般的に高度化すると、銀行は無人化し、多くの銀行は淘汰されていきます。
仮想通貨は、実際の通貨は存在せず、このブロックチェーンで取引される数字に過ぎないのです、つまり仮想通貨=ブロックチェーンであり、それが次世代の通貨の概念とも言えます。
そして、2つめが個人認証です。
現在、電話での個人認証は個人情報の照合です、個人情報が漏えいすれば全く意味の無い照合になります。
これが電子化し無人で行うためには、個人を特定するIT技術が不可欠になります。
例えば、世界で最も早く無人の個人認証を取り入れたのが世界第2位のHSBC(香港上海銀行)です。
携帯電話で幾つかの質問に答えるだけで、声帯認証という技術と音声認識という技術を使い、個人情報と声紋の両方による個人認証を行い、取り合えずの成果は出していますが、双子を識別できないなどの実験結果も出ており完全ではありません。
そこで、声帯認証と音声認識での情報照合に代わる携帯電話などでの個人認証方式が全世界の金融機関で望まれています。
これが可能になれば、人間のオペレーターは不要になり、人的な金融トラブルは激減します。
そして、最後の3つめがセキュリティです。
これまでの、暗号化通信やハイパー攻撃のブロッキングセキュリティに加えて、完全なる保証伝送という技術が不可欠になります。
例えば、P2P接続で双方のコンピューターが同じウイルスに感染していたら、これをブロックすることは現在では不可能です。
遠目で見る第三者的なコンピューターによる監視、そして伝送した内容を保証するという高度な技術が要求される分野でもあります。
保証伝送には、壊れたデータの自動復旧という、とんでもない技術分野が含まれています。
これが実現すれば、検索エンジンのように取引ノード内を巡回し、例え一時的に改ざんされた取引データでも、次の瞬間には自動復旧が行われ、改ざんされた情報で悪用されることを阻止できます。
ただ、フィンテック分野は一歩間違えば、経済パニックを起こす大事故に繋がるという、とてつもなくハイリスクな分野でもあります。
誰もが参入できる技術分野ではないのが、このフィンテックというIT分野なのです。
そして開発には、通常のITシステムの2桁も上という、まさに桁違いの資金が必要になります。
これも、参入障壁を更に高く厳しくしている要因だと思います。
だからこそ、ベンチャー企業であるなら、多いにチャレンジする意味があるのです。
他社と同様の事をやっていては勝ちぬけることはできないでしょう、チャレンジし続けることがベンチャーの宿命なのですから。
カテゴリ:フィンテック